秘密の小屋創作掲示板

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子役転生(あらすじ) - 夢喰

2018/04/02 (Mon) 23:29:08

何度も修正追加をしそうなので、アイデアだけだけとこちらに

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転生前「美少女ものをこっそり二次創作するぐらいのコアな隠れファン」である、表向き正義感の強い20歳前半
生まれ変わったら、3歳ぐらいから「夢」で前世を思い出す、事実上の睡眠英才教育。

そして4歳後半。古くなって改築が予定されているスタジオの訪問客向けコース訪問で「子供にしか通れない足下通気口」「ちょっと崩れた穴」などのコンビで、撮影裏手に出てしまう。当然、カメラクルーに見つかるも、撮影中なので、一区切りつくまで待機。
その一区切りのタイミングで「女の子」の子役(台詞なし)が来れないことが分かって、騒動が始まり、その中をカメラクルーに連れ出されようとして見つかる。

その役は、後日、8〜9歳の少女として主役をはる女の子が初めて使い魔の猫と出会う場面で、親からはぐれて泣きかけているところに猫が声をかけ、はじめは化け猫とばかりに怯えていた様子から次第に笑っていく流れを示すもの。台詞は後日登場する少女のアフレコを使うので、棒読みでも構わないし、どんな天才子役でも表情を指示通りに出せるような年齢ではないから、そこは物とかお話とかで誘導することになっている。要するに不細工でない女の子で、喜怒哀楽を出せる子なら誰でも勤まる役。そんな役なので、他のシーンと違って本番直前にいきなりリハをやって、2〜3回撮って終わりだ。

もともと、たとい女の子であってもウイッグをする予定だった上に、年齢も4〜6歳程度で男女の違いは小さい時期なので、後ろめたいような心残りのあるような表情の男の子に、監督が「とりあえず、猫の撮影はあれでいいんじゃねえ」とダメ元で女装演技させることになる。具体的には、子供の背中を見せつつ猫を映して、シーンだけ確保し、後日子役だけを改めて撮るというものだ。どうせカメラは多重に置いているから、子供の方の「演技」もお土産用に写し「迷子対策の不備へのお詫び」と称して親に渡せば全てが丸く収まる。男の子は女装なんて嫌がるだろうが、少なくとも親は喜ぶ筈だ。

一方、主人公はもと「美少女ものオタク」だから、それを不可抗力で演じる機会は最高で、申し訳程度に「女の子の服=嫌」「でもファンだから変装(コスプレ)ってことでOK」というやり取りだけで、当然乗り、しかも、コアなオタクだけに、ファンの喜ぶ仕草は完全に再現出来る。ましてや今は幼児。体型の男女の違いも気にならず、本来使う筈だった子役を遥かに超える仕草と表情で、監督を喜ばせ、結局、実際に使えるぐらいにきちんと撮る。

で、親が来て、遅かりし書類をそろえて一気にデビュー。

その後、当然、男の子の演技も試してみたが、こっちは全然だめ。年齢=彼女なしの男は、幼児にもどっても男の子は演技出来ない。そういう経緯で女装専門の子役となる。

ちなみに幼稚園では完全に男の子だから、秘密も守られる。家から出る時も男の子の服で、スタジオの中だけの女装。ロケも一旦スタジオ等で着替えてから。ただし、ロケでは引率付きで女子トイレ。子供だから引率付きなら問題なし。こうして、次第に女装が生活を浸食して行く。

四月馬鹿2編 - 夢喰

2018/04/01 (Sun) 15:08:12

1.
 今日は4月1日。着任する先生と定年引退する先生の挨拶で登校日になっている。毎年クラスメート(毎年メンバーは違うけど)で四月馬鹿を楽しんでいるけど、僕の嘘は完全にから回りだった。昨年は他のクラスメートがアイドルの動向とか、漫画の最新版の裏情報とか、先生に恋人が出来たらしいとか、そんな話をしているなか、ユニークさで勝負とばかり
「この陽気にカエルを見つけた」
と言ったら逆手に取られて
「うん、オレも見つけたので、おまえののかばんに入れといたぞ」
と言われ、びっくりしてあわてて鞄の中を調べたりして笑われる始末だ。
 どうしてもぎゃふんと言わせてやりたい、と思い悩んでいると、終業式の日に女子のクラスメート2人(僕が密かに好意を抱いているトップ5の2人)から「転校生の振りをする」という提案を受けた。カツラをして、ちょっと顔をいじれって、女の子の振りをすれば、登校日の数時間ぐらいは分からないだろうとのことだ。他ならぬこの二人が僕を助ける為に、そこまでしてくれるなんて、と感激したし、衣装合わせというか顔をいじる練習の為に彼女たちに何度も会えると思うと、思わず嬉しくなって、嬉々として提案に乗った。もっとも、その為に
「そんなに嬉しそうにして、もしかして装してみたかったの?」
とニヤニヤされてしまったのは全くの不覚で、顔が熱くなるのを感じてしまったのは二重に失態だったけど。
 こうして僕と彼女たちの「メイクアップ」練習が始まったのだけど、その初日にびっくりしたのが、カツラが本物の黒髪ボブの自然なカツラだったことだ。なんでも親戚から中古のカツラを借りたか貰ったかしたらしい。そこまでされると、僕みたいなモテない男の子に、と気持ち悪くなりそうだが、裏があることはすぐに分かった。だって、メイクアップ中は、いかにも「実験台で練習していますよ」という会話を続けているし、
「そのかつら気に入ったら、○○のゲームと交換でもう一回貸してあげるわよ」
とあけすけに僕がお年玉で買ったゲームを指定してくるのだから。ここまで下心満載だと、かえって安心してしまうのは、モブ男のう悲しい性かもしれない。それでも彼女たちの近くにいることに幸せを感じる僕は、エープリルフール作戦への協力という名目を守って、彼女たちの練習台にすすんで付き合った。顔だけでなく、カツラの付け方とか、姿勢とか歩き方とか、スカートを留める位置とか。
 ネット情報を集め、試行錯誤を繰り返したのだけど、僕には3回目以降は2回目との違いなんて全然わからなかった。でも、彼女たちに言わせれば「より女の子らしくなっている」とのことで、彼女たちの化粧の練習台の言い訳だけでもなさそうだった。いや化粧練習の言い訳でもこっちが好意を持っている女の子と一緒にいるのは楽しいから良いのだけど。
 それにしても、無駄な知識ばかりが増えていく。中には、腰(骨の位置をさすこと)とウエスト(腰の骨と肋骨の骨の間の空白地域)の意味が全然違うこと、要するに「ウエスト」に合う正しい訳語が未だに日本語に存在しないこととか、男のウエストの位置と女のウエストの位置が全然違っていること、子供でも女のほうが膝、肩など関節が細く、胸囲は男のほうが大きいことなど、役に立つかもしれない知識もあったけど、大抵はどうでも良い知識が増えてしまった。タックとかブラジャーのサイズの呼び方とかは言うに及ばず、スカートをホックで留める場所は僕の場合は肋骨でなければならないことや、それだと簡単にずれ落ちるから、肩から吊るすタイプのスカートの方が良いこと、スカートに女の子っぽい輪郭を与える為に、タオルや古パンストをパンツの裏に入れなければならないこと、それがずれ落ちないようにするには、いっそのこと二重履きにして、あそこをタックしやすくする技術とか、本当にどうでも良いことだらけだった。女装の難しい。

 こうして迎えた4月1日。まず彼女達のうちの登校路に近い方の家に寄り、そこで着替えと変装を済ませて一緒に登校した。

 結果は散々だった。いきなり彼女が、教室でたむろしている女友達に
「あ、こっち**君ね、女の子になりたいんだって。だからちょっと似合うかどうか試してみたの」
と紹介したからだ。僕がどんなに否定しても、もうひとりの女の子の「証言」もあって、エープリルフールとは思われなかった。ネタ明かしは始業式の日にまで延ばされて、その後も誤解を完全に解くことは出来なかった。あとから彼女たちに言い訳を聞くと、当日の朝、突然、この「二重嘘」を思いついたそうだ。
 こうして僕はイベント要員として、イベントがあるごとに女装を要求されるようになった。でも良いこともあった。再び同じクラスになった彼女たちと一緒に過ごす時間が増えたのだ。もっとも家を訪問すると3回に1回は「新しく入手した方法」による化粧の練習台となって、そのついでに女装もさせられるけど。
 それにしても人間は慣れる動物だとくつずく実感した、2学期には女装を楽しみ始めている自分を発見したから。男では絶対に着れないような服とか、怪盗と同じく変装している気分になれるからだ。それも女の子公認。普通は「現実」の女装はキモいって思われるそうだ。だから、いつしか下着女装にすら目覚めるようになってしまったけど、しかたないよね。中学では女装デビューしてみても面白いかな、と変な好奇心が生まれて来て、ちょっと困っている。


2.
 スーパーの折り込み広告だって衣料品ではモデルの写真があったりするけど、そのうちの子供服は、服のメーカーから提供される写真以外はそれこそ家族親戚ご近所でまかなうのが常識だ。今回のチラシは新学期特集で、特に子供服が多い。というのも子供の新学期デビューが上手く行くことを願って、親の財布の紐が緩む時期だからだ。
 普段のように3学年おきの男女1名ずつではとても間に合わない。もちろん、モデルが風邪をひいて撮影の日に来れなかったからという理由(他の時期なら良いのだけど)で人を省略するなんて、他の時期は良くてもこの時期は戦略的にまずい。特に女の子の服はそうだ。
 とはいえ、3月下旬はみなバタバタして、毎年綱渡りだった。今年もその例にもれず、いや、例年より悪く、撮影の日に実際に来れたのは男子がギリギリ数で、女子は2人不足。小学校高学年と中学生が足りない。高校1年(2年直前)がひとりいるので、その年齢レンジはカバー出来るが、10歳代前半がまったく無理なのだ。反抗期前(人によっては手遅れだけど)の親が子供を着飾れる最後の年代で、当然、親の財布は緩む。その写真を外すなんてあり得ないが、このままでが4月1日のセール開始に間に合わない。

 4月1日、4月1日、ぶつぶつ。

 このとき閃いたんだ。四月馬鹿「嘘を探せ」企画を。そう、男の子に女の子の服のモデルをやって貰うことを。
 チラシに堂々と「モデルの中に変装で騙している人がいます。当てた方から先着抽選で3名様に**をプレゼント」と書けば、チラシを丁寧に見てくれるだろうし「男の子ですらこんなに可愛くなれる服」ということで売りやすいかもしれない。幸いこの年代の男子は背の高さだけなら女子と変わらないし、何故か運良くサイズのあう男の子は3人もいた。そこで2人に女の子役をしてもらうことのした。一人だけの女装なら気が引けても仲間もいて、かつお小遣いも貰えるな協力してくれる可能性があがるからだ。
 あとはカツラだけ。たしか専門店のほうに売り物があったな。早速電話して協力を取り付けた。ついでに企画の中に「変装のウイッグもセール中です。詳しくはそちらのページを」とやって、変装者のウイッグの種類のヒントも入れておく。

 半年後。どういう訳か、その時の男子のうちの一人は、あまりにも好評で、女装モデルとしてうちのチラシの「顔」になってしまった。そのせいか、今や女の子の服のほうは男の子の服よりしっくりするほどだ。男の娘ってわけじゃないのに、回りがそう思ってしまうのって、やはり人間は社会的動物って気がする。あるいは着こなしの場数か。となると、彼が学校ではどういう格好をしているのか。彼の親は何も教えてくれない。

ドーピング - 夢喰

2018/03/17 (Sat) 17:22:30


 ドーピングは常にスポーツ界を悩ませる問題だ。
 昔は問題なかった。勝てれば良いのだから。買ったところでアマチュアである限り、金とは無関係だからだ。
 しかし、現代は違う。たとい賞金がなくとも「名誉」はがからむスポーツは「金」も動くし、名誉は金をも引き寄せる。メジャーレースに優勝した者は、その実績だけで、その後3年は参加するだけで大きな報酬がもらえる。ビッグネームは視聴率が稼げるからだ。
 そうなると、その昔設定された「才能と努力と精神的強さなどだけで人類のベストを決めるフェアな戦い」というが要求が、厳格の守られるようになる。視聴者が建前を本気にしてしまうからだ。その結果、建前を守れないレースは「メジャーレース」の座から転げ落ち、スポンサーもつかなくなる。2002年のソルトレーク五輪で大規模なドーピングが摘発された距離スキーなどは、テレビ放映権の大幅な値下がりで、その後1年以上にも渡ってワールドカップの開催自治体が大きな赤字を抱えるほどになった。
 ドーピング禁止の建前が生まれた元をたどると、事情はもっと複雑だ。
 その昔の冷戦時代、東側の選手には、国指導の元に男性ホルモンで筋肉作りをしているのではないか、という疑惑があった。それは今でも残る。だからこそロシアの国ぐるみドーピングに不思議さを感じなかったりするのだ。とはいえ、国レベルの介入を避難するのは冷戦時代には禁じ手だった。そこで登場したドーピング規制の理屈が「長い目で人体に悪影響を与える」という健康面からの配慮だ。
 西側の選手でも男性ホルモンの使用ケースはあり、その副作用として、女性が毛深くなったり男性的な体つきになったり(彼女らが「女装」すると、まさにムキムキ男の女装のように見えることもあった)するのは当然だが、実は男性にも男性機能不全などの副作用が出ていたのである。
 この種の長期的な「男性的」筋肉作りを目的とするドーピングの他にも、興奮剤のように試合前に使用する類いがある。身体機能の限界を超えて酷使させるので、当然これも体に悪影響を残す。規制の理由としては十分だ。
 しかしだからと言って、ドーピングのすべてが体に悪いかというと、それは限らない。スキージャンプではアルコールすらドーピングとして禁止される。適量であれば度胸がついて飛距離が伸びるからだ。ただし、その「適量」に個人差があり、それを超えると事故リスクが一気にあがる。だからこそ「公平」を期して一律禁止なのだ。
 健康問題という「建前上の規制理由」がかくも希薄である以上、ドーピング薬の需要は消えない。バレさえしなければ、僅かな健康リスクだけで生涯収入が大きくかわる可能性があるからだ。しかも新開発の直後は、検査の項目にない故に、バレるリスクがゼロに近い。だからこそ、この種の「新規開発」に対抗すべく「検体を一定期間保管して1〜2年後の新しい検査リストに照らし合わせる」という対策が提案されているのだ。しかし、痴漢えん罪と同じく、ドーピングえん罪という厄介な事件が増え始めた現代、完全な検査は難しいだろう。そこに抜け道がある。
 その意味で、究極の長期ドーピング薬は、始めからドーピングリストに入りそうにない薬だ。たとえば、使用による身体的特徴の変化が、より華奢な方向に向かえば、たとい筋肉の質が圧倒的に上がるような薬でも、女性ホルモン同様に、はじめから登録されないだろう。特に、骨格までも女性的に変化させることができれば、間違ってもドーピングとは思われない。となれば、「骨を削り」「肉を削って」、筋肉の効率を一時的に高めるような薬は、むしろ盲点となろう。たとい多少の副作用があろうとも、それは医薬品・医薬代用品という厚労省的な意味で問題になろうとも、ドーピングというスポーツ庁的な意味では問題になりそうにないからだ。たとい長い目では男性機能を奪う事実上の去勢薬だとしてもだ。


 そんな夢のような薬なんて開発不可能だろう。そう、誰もが思っていた。我が社だってそうだ。というか我が社は、そんなグレーな薬は作らない全うな会社だ。その我が社が、そんなドーピング薬を開発してしまったのは偶然だった。
 我が社は色々な医薬品や医薬部外品を製造・販売しているが、その中でもウエートが高いのがダイエット薬と成人病予防薬だ。しかし、これら人気の高い分野は競争も激しく、利益率はそこまででもない。そこで開発を始めたのがメタボ対策薬だ。
 メタボ対策は中年太りの始まった男性が一度は考え、その配偶者が、口に出す出さないの差はあるにせと、本気で心配する、潜在需要の極めて高い分野だ。贅肉化した筋肉はエントロピー増大の法則に従って脂肪の塊と化し、成人病の元となるからだ。そのくせダイエットや運動等を試した99%が失敗して、最終的に諦める。
 そこで登場するのがダイエット薬だが、女性と違い男性はただ痩せればよいのではない。脂肪を筋肉に戻したいのだ。そんなの無理に決まっている、と誰もが思い、いつまでも開発されなかった。そこに我が社は注目したのだ。対象を男性に絞ることで、無差別に脂肪を減らす(それは女性の象徴からも脂肪を消して筋肉に変えることを意味するからダイエット薬としては禁忌だった)という発想と、脂肪のみに限らず「無駄な組織を全て筋肉に変える」という発想で開発を続けた結果、多くの偶然が重なって薬は完成した。
 効果は覿面だった。皮下脂肪はもちろんのこと、年齢相当に発達した内臓脂肪も筋肉と変わり、骨すらも一部が筋肉に変わったのだから。骨だって老人の例を見れば分かるように軽くなることがある。それが新陳代謝ってやつだ。具体的には消失する無駄な組織の容積の半分が筋肉となり、半分が、この「若返り新陳代謝」のエネルギーとして消失した。特にメタボ内蔵の圧力で肥大化していた肋骨の矮小化は速かった。肋骨が小さくなれば、肩だっていかり肩からなで肩になり、その分が筋肉に変わる。細マッチョの誕生である。
 そうして生まれた薬は、何らかの形で臨床実験しないと売り物にならない。しかも各種の規制をクリアーしないといけない。そこで思いついたのが、これをドーピング薬として裏で捌くことだった。というのも、薬の性質上、普通に発売したら、自転車やスケート、馬術など、軽量な体と良質の筋肉の組み合わせが最適となる競技を中心に、ドーピングリストに載ることは間違いないからだ。そして、普通のメタボ対策薬でなく、ドーピング薬として「臨床実験」させた場合、10倍以上の価格を設定出来そうだからだ。
 こうして、我が社は「メタボ対策薬」を「筋肉の質、特に持久力をを高める」「まだドーピングリストに載っていない」薬として水面下で流通させることを始めた。それは決して違法行為ではない。ドーピングという点においてのみグレーなだけだ。
 こうして流通を始めた薬は、ドーピングに頼ってしまいそうな心の弱い男子選手に究極の選択を与えたあたえた。その結果は我が社に取っては若干不十分だったといえよう。というのも、意志の弱さ故に、この「グレーゾーン」の薬に頼ってしまった選手は、確かに3年間だけの栄光を得た。しかし、その後はすっかり女子と見まごう輪郭となったことによる「性同一性障害」疑惑への恥ずかしさから、引退を余儀なくされる結末を与えたからだ。以下は、その被験者の体験談だ。


 私が大学1年のとき、とある会社から「筋肉の質、特に持久力をを高める」という薬の1年間モニターを提案された。会社の説明を鵜呑みにした私は、大学生1年夏休み直後(どんなに頑張っても無理だと夏休みで悟った)から使用しはじめて、部活の最下辺から1年でエースにのしあがり、念願の彼女も出来た。だから、2年目以降は、ちょっと高いと思いつつも購入することにしたのだ。それは私に輝かしい戦績を残した。
 ただ、気になったのが、使用1年半を過ぎたあたりから、次第にシャツと靴がブカブカになりはじめたことだ、そのくせ骨盤のサイズだけは変わらないので、サイズのあうズボンが見つからなくなってきた。そうして2年半、リクルートスーツを買う季節となったが、どんなに細めを選んでもブカブカすぎて面接で調子が出ない。極めつけは4年の後半、ズボンの裾が広がって踏みつけそうなりはじめたのだ。面接で悪印象を与えないことを望むしかない状態だった。
 とはいえ、就職自体は部活のエースという経験のお陰で、なんとか第3志望(本音)に滑り込めたが、そもそもエースというだけで、人を統率する能力があった訳ではないから(だから部長にもキャプテンにもなれなかった)、仕事は縁の下系の内容が多く、同期に比べて外部の人に会う機会も少なかった。まあ、私のようにスーツが体型的に似合っていない社員を表に出すのはためらわれるだろうし、持久系スポーツの能力から我慢強いと思われたのだろう。
 会社に入っても私はスポーツを続けた。頻度こそ週4回に減ったが、年齢的にまだまだ伸びる時期だからだ。練習不足分は薬で補っているものの、量を増やしているのに効果が落ちていて、私はそれを練習不足の為だと単純に思っていた。
 そうして更に1年。体が華奢になっただけでなく、その代償のお陰で高まっていた筋肉の質は、入社以来停滞し、最後の数ヶ月は筋力が目に見えて落ち始めたのだ。だから才能に見切りをつけた私はスポーツを完全に趣程度にして、薬も減らした。
 その頃からだろうか、女子社員から変な質問を受けるようになった。どうやって内股にするのか、とか、腰の括れってどうやって作るのとか、レディースのズボンを持っていないのかとか。そんな質問を男にするのが解せない。いや、こういう質問を受けて、私は自分の体が単に華奢なだけでなく、女性的になっていることに気がついて愕然とし、その副次作用にショックを受けた。例えば飲み会。忘年会あたりから芸のリクエストでコスプレを要求されるようになった。女のコスプレだ。
 深刻なのが朝の満員電車だ。変な体験は増えているのだ。尻を触られ、そして直ぐに引っ込められるというものだ。痴漢が触ってみて、男の尻筋肉だと気付くパターンだと気付くまでに時間がかかったが、それに気付いてから自分の体を姿見で見ると、確かに女性的だ。おそらく骨と脂肪の比率は同じなのだろうけど、体のサイズが一回り大きい分(でも何故だか肋骨は女子のそれと変わらない)、尻と腿が張って見えてしまうのだ。それどころか、尻と太腿は、女子社員のそれより女性的だった。痴漢に対して不快感が急速に上がっただけでなく、恐怖を覚えるようにすらなった。同じ車両に乗りたくないと。
 体型変化はドーピング薬のせいに違いない。そう思った私は薬を完全に止めて、筋肉トレーニングに精を出し、プロテインを飲んだ。でもそ転落は早かった。華奢な体つきのまま、筋肉がどんどん贅肉に変わり、女性的な弾力を持つようになったからだ。女性専用車をこの時ほど羨ましく思ったことはない。今の私なら、女装して香水をすれば女性専用車でもバレないだろう。でもそれはやっぱり犯罪だよなあ、
 入社して1年半。研修を終えた1年後輩の新入社員には「なぜあの人は男装が許されているの?」と陰口を叩かれたこともある。通勤時に尻を触られる頻度も遥かに増えてしまった。それだけではない。こっちが男と気付かないケースが急速に増えているのだ。以前思った女装という考えが頭をよぎる。
 女装は女子社員からも冗談半分に薦められたりしている。実際、完全なネタのつもりで言っているのだろうが、こっちとしては深刻に考える問題となってしまったのだ。
 だから、女装の練習を兼ねて、飲み会で覚えたコスプレに最近はまっている。コスプレ会場なら女装も公認だからだ。そして私の心の中では、会場だけでなく、自宅からの往復も女装を試してみたい挑戦心が芽生えている。

無題 - 夢喰

2017/12/31 (Sun) 00:36:42

国際できちゃった婚では、出産クライシス(出産後3ヶ月〜1年で妻の夫に対する愛情が急速に消える現象)を経た母親が、それまでなんとか新婚モードで乗り切ってきた異国文化になじめなくなって、勝手に帰国し、そのまま離婚に至る例が一定割合存在する。そうでなくとも数年・十数年後に夫婦の関係が冷えきって離婚する例は更に多くある。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/wakaru/topics/vol82/index.html
その場合、その後、子供の親権を得ようとする母親は非常に多い。しかし、日本人の父親と違って白人の父親は、簡単には親権を手放さない。勝手に逃げて、更に子供まで奪うというのは、非常識な欲求だからだ。現に、ハーグ条約では、父親が家庭内暴力などの犯罪行為をしていない限り、父親側の親権主張を優先させる。

問題は、母親が子供を拉致して日本につれて帰った場合だ。日本も条約制定から30年後の2013年にようやく批准したものの、それでも母親が日本に連れ帰る例が少なからずある。口実はDVだが、これは痴漢えん罪と同じ構造で、実際にDVであった例はほとんどない。

ハーグ条約では子供は母親・父親を選ぶことは出来ない。それこそ中学の生徒会長でもしそうなしっかりした子供が明確な意思表明をした場合は裁判所が考慮することもあるが、さもなくば拉致された子供は、速やかに父親の元に戻らなければならない。

もっとも、国内の離婚と異なり、国際離婚では親権は両親双方に与えられるのが普通で、航空券さえ確保出来れば、子供が毎年一定期間母親の元で過ごすことは可能である。だからその母親は、その期間を利用して、息子を「父親が欲しがらない」ような嗜好を持つように洗脳したいと考えた。

僕はヒーローになりたい - 夢喰

2017/08/13 (Sun) 18:01:57

 ヒーロー。それは全ての男の子の夢だ。何であっても良い。他人に優る何かを持ち、あるいは何かで世界で唯一の存在となることだ。そうして、その何かが世の中に認められて、女の子にもて、男から羨望のまなざしを受ける。男の子はオトナになるまで、いや大人になってすらヒーローになる夢を持ち続けるものなのだ。それは中二どころか、もっと根源的な望みであり、小学生中学年以上の、月々能力が上がっていくのを実感する時期は極めて強くなる。だからこそ、ヒーローものの子供向け番組は小学生の圧倒的支持を受ける。
 一方、自ら体を鍛えることで、そのようなヒーローになろうと志すのは小学校高学年から中学だ。いや、ヒーローは無理でもクラスの平均以上にはなりたいと願って、体や特殊能力、例えばサバイバル知識とかを鍛える。その結果、遊びから次第に真面目な「部活」と変化する。それが中学に入る前後だ。かく言う僕も、皆が部活をやり始めてから、そういう気合いが入った。
 僕のコンプレックスは、他のクラスメートより体が細いこと。胸囲がクラスの平均より2cm以上も小さい。昔は早生まれだから、って思っていたけど、元々運動が苦手で、それで痩せているのは歳とともに分かる。早生まれの中だけで比較しても1cm以上小さいのだから。
 そんな弱いコンプレックスがあったけど、中学にあがってそれが一気に強くなった。他の小学校から来た子の体格が良いのだ。そういう目で同じ小学校から来たクラスメートをみると、こっちも良い。ずっと近くにいたから、友達の急成長に気付かなかったのだ。我が身を振り返ると、学ランは成長を見越して身長プラス10cmの細めのサイズを買ったけど、肩がぶかぶかで、いかにも貧弱だ。実際、春の身体測定では平均より3cmも小さかった。
 既に差がついているのに、クラスメートの男子の多くは運動部に入っている。これでは取り残されると焦った僕は、まず運動部を模索したけど、1年坊主は先輩の奴隷みたいなもので、ちょっと嫌だし、練習も僕には激しすぎる。挫折した僕は自己流で体を鍛えることにした。

1. 筋肉負荷ギブス:中学1年
 僕にあるのはマンガの知識。まず、星飛馬のように肉体改造ギブスを使うこと。星飛馬なんてお祖父ちゃんの世代のマンガだけど、やっぱりギブスは定番なんだよね。ただ手に入れようとネットを調べると「体に悪い」「児童虐待」と書かれていて、もちろん売っていない。でも代わりにマススーツなるものをみつけた。エキスパンダーみたいなものを上半身に張り巡らせるみたい。マススーツは値段が高いからお小遣いではとても変えないけど、要はエキスパンダーみたいなものを上半身に張り巡らせて場良いわけだ。星飛馬ギブスが悪いのは腕のところであって、大胸筋とかだと問題ないのだろうと勝手に納得した。
 エキスパンダーも値段が高いのでどうしようかと思ったけど、技術実習室の奥にしまってある昔のエンジンを見て、そこに使われているようなベルトなら良いと気付いたんだ。中古の分解品なら、近くの下町工場街にいっぱい捨ててあるし。
 水商売で忙しい母親は、何より生活費を稼ぐのに精一杯で、僕がベルトで何か工作しているのを見ても、何の干渉もしてこない。完成した手製の筋肉負荷ギブスを見ても、この種の健康問題を調べる余裕なぞないから
「体に悪いんじゃないの」
と少し心配しただけで、引き止めなかった。父親は何処にいるか知らない。生きているらしいけど、母親は全く話さないので、僕のほうから話題にすることもない。
 こうして始めた筋肉負荷ギプスだけど、まだ成長期だったのが悪かったのか、大胸筋や腹筋、肩、上腕の筋を傷め、更には肋骨や肩、二の腕の骨まで痛みを覚えるようになった。でも、それを「成長の為の筋肉痛」を思い込んだ僕は、丸1年、自宅にいる時だけでなく、体育等で学生服を脱がずに済む日もギブスの着用を続けた。
 その結果、中学2年春の身体検査で、僕の胸囲(チェスト)は成長するどころか昨年よりも細くなっていたことが判明した。他のクラスメートが軒並み3〜4cm胸囲が大きくなっているので、今ではその差が8cmに近い。きっとこれは体の密度が高まったお陰で、最後に笑うのは僕だと中二病の僕は信じていたが、体重が横ばいだったことから、校医に注目さたのが運の尽き。その後のレントゲン健康診断で、肋骨や肩の骨が変形していることが分かり、いろいろ問いつめられた結果、筋肉負荷ギプスのことがバレて、その禁止はもちろんのこと、上半身を使う運動までも禁止となってしまった。ギプス禁止になる予感があったから黙ってたのだけど母親経由で調べられたんじゃしょうがない。五月半ばのことだ。
 体重が落ちていたのは、筋肉負荷ギプスに胃を小さくする効果もあったからで、校医によると、食べ足りないのが原因で第二次性徴だというのに背があまり伸びていないとのこと。確かにクラス内の相対的な高さではチビに近くなったけど、今まで年に4〜5cmしか伸びていなかった背が、この1年間で6cm近く伸びたのだから、背が伸びていないってのは間違いだろう。そんな間違いをする校医なんて信じられない。僕はぷよぷよな体じゃなくて引き締まった体が欲しいんだい。そう思いつつ、僕は別の方法を考えることにした。

2. 蹴り訓練:中学2年
 上半身の運動がだめなら下半身。格好よいのは、もちろん蹴り技だ。有名なのは空手とキックボクシングだけ。どちらも腕との混合技だけど、蹴りだけでも強烈だ。ただ、中学校に部活はないから、動画やアニメなんかの見よう見まねの「自主トレ」になる。5月末に始めた。
 先ずは上半身に痛みが来ないように、体幹を動かさないタイプの蹴りを試してみる。とういうか、それが一番格好良くねえ? 上級者は体幹を動かさずに蹴るはずだ。始めのうちは、毎週のように次第に足がより上がるようになるのを感じ、1ヶ月もしない内に、頭の中で仮想模擬戦を始める。中2は何でも想像出来る歳なんだ。
 模擬戦となると、防御の動きも入ってきて、それはそれで新しい練習として刺激になる。蹴りの熟達が頭打ち気味だったので、ちょうど良い。上半身をあまり動かせない僕には、足を相手の太腿のまで届かせるのが精一杯だけど、脳内模擬戦では、相手の蹴りはこっちの腰まで届く。金的ももちろんありだ。それから逃れつつ相手を倒すからヒーローなんだ。しだいに脳内模擬戦の蹴りと回避の練習に熱中するようになって、もっと高く蹴り上げたいという欲求と、もっと鉄壁の防御が欲しいという欲求が高まった。
 前者は上半身を少し傾ける必要があるが、その際に体幹をまっすぐに維持しないと、肋骨に痛みを感ずるのが傷だ。今更認めたくはないけど、確かに取り返しのつかないところまで上半身の骨や筋肉を痛めてしまったらしい。だから、肋骨を固定すべく、サラシを頑丈に巻く事を考える。母親に言うと、簡単に賛成してくれて、古いシーツやカーテン、古着で作ってくれた。それを練習の時に巻くが、大抵は冷房の効いた部屋で汗をかかない程度の練習密度、つまり5分やっては長い休憩、10分やっては長い休憩という具合なので、
「また暫くしたら続けるかも」
と思いつつ風呂までサラシのしっぱなし、風呂を上がったあとも1回だけ練習して、そのあとは就眠までサラシのしっぱなしだ。
 後者、つまり鉄壁防御は膝をとっさに内股にクロスさせる練習のほか、空手上級者が使うという伝説(それが正しいかどうか知らないけど、誰かから借りたマンガで、そういうのが出ていたた)のタックというのを試してみる。ブリーフで股間を押さえつつ試すけど結構難しい。もっときっちり股間を押さえてくれるパンツがあったらなあ、とは思ったものの、そういうパンツをガードル呼ぶこと、そしてガードルというのはブラジャーと同じく大人の女性だけが使うものであることを知っていたので、さすがに母親には言えない。だから、持っているブリーフと水泳着だけで練習する。両者を組み合わせて、タック自体は出来るようなったけど、一回蹴るだけで外れるので、そのうち飽きて忘れてしまった。
 そんな具合で夏休みが過ぎて1学期になった。1学期は体育が長期見学になってしまったけど(体育で肋骨を今以上に傷めたら責任がどうのこうのと言っていた)、2学期は参加出来るものは参加したい。例えば、運動会のハードル走と徒歩だ。そこで運動服の下にサラシを巻いて参加した。蹴りの練習で、サラシが痛みを抑えることを知ったからだ。校医も運動の必要を認めたみたいで、跳び箱や鉄棒、バスケットボールみたいに上半身を使う競技以外ではサラシ着用での体育参加が認められた。
 
3. サラシ:中学2年後半
 冬服になって、学ランに袖を通したとき、改めてぶかぶかなのを痛感した。肩幅だけじゃなく、肋骨もだ。この半年、上半身は骨も筋肉もあまり変わらなかったらしい。まあ、半年で急に変化する筈もないが、校医の言った、筋肉負荷ギブスのせいで体が大きくならないってのはやっぱり信用ならない。これはむしろ体育が見学だから食欲がわかず、それで栄養が行き渡っていないと考えるべきじゃないのかな。食べる量がクラスメートより圧倒的に少ないのは事実で、当然胃も小さい。だから、僕は、サラシのせいで食欲が上がらないままだなんて知らなかった。夏休み以来毎日のサラシは、肋骨のサイズの回復(膨張)を押さえこんで、胃を小さくしたってのが真相らしいことは、後から知った。
 ともかくも、問題はこのブカブカ感だ。このままでは通学路で見かけるヤバそうな上級生に目を付けられかねない。昨年までは底までヤバい感じじゃなかったんだけど、今年はちょっと違うんだ。だから、せめて見た目だけでも筋肉もりもりの体のように見せるべく、さらしを肋骨全体を覆うように強めに巻いて、体を太めにみせる。学生服だから分からないはずだ。その際に、肩には母親のお古の服の肩パッドをいれて脇下からサラシで固定した。
運動してもほどけないぐらいの強さで巻くと、どうしても、一番細いところにサラシが集まる。この時初めて気がついたのだけど、僕の胴囲の一番細い場所は腰ではなくて、肋骨の一番下の部分だった。筋肉ギブスで肋骨が縮小したために内蔵が腹の方に押し出されて膨らんだのに比べて、肋骨が小さくなってしまったからだ。ともかく、肋骨に当たる部分を、全体が太くなるよう、若干逆三角形気味に巻いて行く。つまり、体の細いところは分厚く、比較的厚めのところは薄くサラシが巻かれるから、巻いた量に比例して、体の細めの部分、つまり肋骨の下半分が集中的に締め付けられる。あと、脇下もパッドを固定するためと逆三角形の体にする為に太めだ。
 始めのうちは、登校時と下校時だけ巻いていたが、朝の慌ただしい時に巻くのが面倒になって、直ぐに夜のうちに巻いて、朝そのまま制服を着て、そのまま夕方までサラシを巻いたまま過ごすようになった。友達も、僕の肋骨の健康問題に関する処置だろうと判断してスルーだ。唯一の脱着は体育で汗をかきすぎて交換しなければならない場合だけど、冬なのと、汗を大量にだすような運動が見学なのとで、そういう機会はほとんどない。そもそも、上半身に筋肉があまりないから、胸回りが暑くならず、汗もあまりかかないのだ。だから一日20時間、サラシを巻き続けた。
 筋肉ギプスの時ほどでは無くとも肋骨も胃も締め付けられて、女子以下の食欲しか出ないこともあって、僕の見た目の成長は遅いけど、中学に入った時と違って、僕には蹴り技があるし、アニメとかではそんな華奢な体で敵をなぎ倒すのが格好良いから、コンプレックスにはならない。中学3年の春の健康診断ではクラスメートより胸囲が10cm、身長が9cmも小さくなっていた。それでもここ5年で初めて女子の平均身長に追いついた訳だし、胸囲や体重も昨年や一昨年より太く重くなっているわけで、校医からは少なくともサラシに関して注意を受ける事はなかった。それが、実は諦められていた為だとはあとから知ったことだ。

4. 太鼓腹対策:中学2年後半
 サラシは皮下脂肪を押し出す。押し出された脂肪は、サラシが一番薄い場所に集まる。それは腹(サラシからはみ出ている部分)と乳首の高さだ。サラシで肋骨ごと締め付けられた内蔵も腹にあつまり、サラシをしている時は太鼓腹の肥満児みたいになってしまった。胸にも肥満児より少ない程度の膨らみが出来たものの、太鼓腹に比べてはるかに小さく、僕も母親もクラスメートも全く気付かなかった。
 太鼓腹自体はサラシを体格偽装のために厚めに巻くようになった日から気になっていたので、それを押さえる為に、わざと腹の下に本を敷いて腹這いに寝たりしてみたが(畳で寝ているので、下は十分に堅い)効果は薄い。やがて、以前タック用にと考えていたガードルが、まさにこういう太鼓腹のための補正下着ではないかと気がついた。ネットで調べると、一女性下着にはなっているけど、男でも履けそうなスパッツ状のシンプルなデザインがユニクロから1000円で出ている。
 意を決して母親に太鼓腹対策というか、上半身だけでなく腹部も固定するような服がないか相談すると、さすが水商売だけあって、自分の古着を出してきた
「さすがにこんなデザインはいやだ」
というと
「良かった、女装したい訳じゃないのね」
と独り言をいった(小声だけどギリギリ聞こえた)あとに
「心配しなくても男の子がはけるデザインがユニクロにあるから買ってくるわ」
とこっちの言いたい事を先回りして言ってくれた。
 こうして僕はガードルを履くようになったんだ。ただしスパッツ同様ブリーフの上で、学校には恥ずかしくて着れないので夕方と週末だけ。でも、太鼓腹が恥ずかしいのって着替えの時なんだよね。なので、皆に見られない方法を考えた末、ガードルの太腿部をブリーフの形に切って、ガードルの上からブリーフをはけば良いって気付いたんだ。股間を二重に押さえるから、夏に挫折したタックも可能だ。もっとも、蹴りの動きをするとタックが外れてしまうのが難点で、仮想模擬戦では、まずタックで相手の攻めをしのぎ、そのカウンターで蹴りだすスタイルが中心になった。複数の敵との戦いはまだ。
 そう、もうこの時は、カウンタースタイルを思いついて有頂天になり、そのまま、タックが必須だと思い込んでしまった。しかも今のタックでは通学で足を使うだけでも外れてしまう。練習すればどうにかなるだろうけど、もっと頑丈なタックの仕方も必要だと感じるようになってしまった。いろいろ試してみるけど上手く行かない。
 ネットをしらべると、どういうわけか
「女装」とか「女の子の股間」
という文字が目につく。なぜ女の子なのか理由がよくわからない。というのも、僕の知っている知識では、タマを守る為に隠すのであって、男の象徴の棒の方は前にでているからだ。ぜんぜん女の子の股間ではない。ただ、それでも「女の子の股間」というキーワードは僕ぐらいの歳の男の子には興味深いので、ついつい読んでしまう。なので、棒を表に出すことにこだわらなければ、タマを守るのは可能だとわかった。
 でも僕は格好良い男の子ヒーローになりたい訳で女装はごめんだ。そんな訳で、僕はブリーフ状にカットしたガードルとブリーフの重ね履きでのタックの練習に専念するようになった。もちろん当初の目的である太鼓腹対策としても少しは役立っている。本当に少しだけど。

5. サッカーでの事故:中学2年初冬
 そんな日々を過ごしているうちに、12月となり、体育はサッカーとなった。肋骨を傷めた僕でも出来る球技だが、体格も運動能力も劣る僕はフルバックぐらいしかポジションがない。だから滅多にボールには触れず、ボールを触るような機会は、サイドを越えてしまったボール拾いの時ぐらいだ。あとは試合の順番待ちでのパスの練習ぐらい。運動場に限りがあるので、パスの練習は花壇とか階段とかのある通学路一部でも行なう。というか僕みたいなみそっかすは、そういう障害物の多いところぐらいしか練習場所がない。
 その日、僕がパスの練習をしていると、試合フィールドからボールが飛んできた。滅多に無い「思い切り蹴り返す」機会だ。そこで蹴り返す事だけに専念しておれば良かったものを、ボールの高さが仮想模擬戦での敵のキックの位置だったもので、そっちの蹴りで蹴り返そうという欲がでて、見事にバランスを崩し、1メートルほど下の花壇の角に転倒した。なんとか頭は守ったものの、代わりに尻を激しく打ち、しかもその振動で、近くに立てかけてあった鉄骨(新しく作る準備だったらしい)が落下してきて、これまた尻を前の方から強打。ぎきっという音とともに激しい痛みに襲われた。
 無理に立ち上がろうとしたのが悪かったらしく、もう一度、鈍い音とともに激しい痛みに襲われて、そのまま僕が倒れ込んだ。立ち上がれない様子に、先ずはパートナー、次に近くでパスの練習をしていた人が僕の元に駆け寄って、それ教師に伝わって、もちろん授業は中断し、僕は救急車で運ばれた。
 診断の結果、骨盤に複数のヒビが入りって折れかけているとの事。その際に、ガードルを履いていることを医者と看護師に見られたのは黒歴史だ。しかもその後着替えの際にサラシと肩パッドを見られたことで、病院の関係者に僕が女性の(華奢な)体を望んでいる風に誤解されるのだけど、そのことは退院するまで知らなかった。それだけなら恥ずかしいで済むけれど、その時の誤解が手術の方法に影響してしまったって誰が想像でよう。
 治療に当たって医者は2つのオプションを示してきた。一つが人工骨で骨盤を支える手術で、もう一つは人工骨を使わずに、骨盤のヒビを時間をかけて修復させる方法。前者は頑丈で、かつ退院までの時間も短いけど、すこし金がかかる。ただし、今回は体育の授業が原因なので、健康保険の自己負担分は、学校の保険から全額補填される筈で、お金の心配はいらないとの事だ。前者のもう一つの欠点は、尻の見た目が今より大きくなるとのこと。それで、スタイルを気にする人は後者を選ぶらしい。
 チビで華奢な僕にスタイルは無理だ。ならば、早く日常生活に戻れる前者一択だ。そして、肝心の手術の際に、病院側の誤解が、僕の骨盤そのものを広げるような補強方法を選択させてしまったのだ。ようするに割れかけた部分を無理矢理押さえつけるのではなく、少しの空間があっても良いように、ひびの隙間にも骨素材を流しこんだのだ。そして、その外側を人工骨が覆うので、僕の尻は今までより大きくなってしまった。
 母親だけに知らされて僕は知らなかったけど、骨盤の人工骨は規格品で、僕に入れられたのは女性用だったらしく、そのためか骨盤の確度がかわって、何となく足が内股気味になっている。もっとも、手術直後でから激しい歩き方が出来なかったから、その意味でも足は内股気味になるわけで、その内股で骨盤の形が固定されてしまうとは想像もしなかったのだけど。
 ともかくも年末前に無事に退院して、正月は家で楽しめた。そして3学期。ズボンが股間に食い込むのだ。尻がデカくなって、ベルトの位置がずれ上がったのが原因で、ベルトを緩めにすれば元の高さに戻るものの、その位置だと人工骨盤の最上部に当たって、それを締める圧力が骨盤に響くのでヤバい。といって、ズボンが股間に食い込む状態は、尻にゆとりがなくて、前屈みしただけでズボンが破れそうだ。
 結局、格好指定のジャージで登校。掃除とかはそれでやって、始業式だけ持って行ったズボンに着替えたけど、その騒動で、担任にもクラスメートにも、僕の尻サイズが大きくなった事が知れ渡った。結局2サイズ大きなズボンを買う事になったのだけど、ベルトを締める位置が肋骨の上になってしまったで違和感がある。本来なら僕の少し弱まった肋骨をベルトのようなきついもので締めるのは良くないのだろうけど、サラシのお陰で痛みはないので、気にしない。

6. 回復期:中学2年1〜5月
 さて、3学期は再び体育禁止で、僕は体操服に着替える機会を失い、結果的に僕はガードルの太腿部を切らずに済むようになった。そして、ブリーフの代わりに、ブリーフ状に切ったガードルをその下に履くという二枚重ねになった。というのも、その方が尻の手術跡をしっかりと支えられるからだ。それは医者からのアドバスだ。普通の男性にはそのようなアドバイスをしないらしいが、事故時に既にガードルを履いていた僕は、普通にガードルを薦められてしまったという訳だ。ちなみに新しく買ったんはMサイズ。以前のSサイズでは尻を十分に押さえきれない為だけど、その分太腿部が全然締め付けられる、それはそれで履きやすい。
 そうして、2枚重ね始めるようになった気付いたのが2点。一つは太鼓腹を押さえる為にちょっと堅い円盤状のものを2枚のガードルの間に挟むと、効果的にお腹を押さえられること。それは仮想模擬戦でのお腹の防衛にも役に立つ。もう一つは、2枚重ねにすると、登下校ぐらいではタックが外れず、特に棒を前でなく下に隠したら、丸一日タックの状態を維持出来るって事だった。まだ蹴りの練習は始められないが、今のうちに太鼓腹隠しとタックをマスターするのも悪くない。ガードルがリハビリに使えるという医者のお墨付きを貰って、僕は女装っぽいタックに対してあまり拒否感を抱かなくなったわけだ。もちろん女装なんてする気はしない。ガードルはあくまで骨盤のサポーターだ。もっともお腹を押さえる為の堅い円盤は学校ではちょっと着用出来ないが。
 こうして股間を完全に隠すようになって数日後、雨上がりの水たまりが広がっていて、しかたなくズボンを裾がぬれないようにとベルトの位置を思い切り上げたで、下を見ながら水たまりを渡ったあとに気がついたのだ。股間に食い込んだズボンの前が、完全にフラットになっていることに。こんなのクラスメートに見られたら女装と思われてしまう。
 僕は女装じゃないと最近意識し始めたので、かえって女装に見えかねない部分が気になったのだ。だから、僕は股間に何かがあるように2枚重ねのガードルの合間に、固めのクッションを入れて、男の股間を作り出した。せっかくだからと、ちょっと大きめの男性器を偽装したのは僕の見栄だ。その結果、タックが今まで以上に固定された、同時に間違ってタック部に衝撃が加わった際の守りになったのは望外の副産物だ。もっとも、クッションは熱をためる素材で、睾丸の温度を更に上げてしまったけれど、そういう不快感も暫くすると消えてしまった。
 大きめの男性器を偽装すると、それをそれとなく見せびらかしたくなるものだ。だから、ズボンは常時一番高い位置でベルトを止める。そんな訳で、肋骨の下端ではなく、胃の真上ぐらいでベルトを締めるようになった。それが女の人の腰の括れでの位置である事を知ったのは、中学3年も夏服になった時で、その頃には、このベルトの位置以外は僕には考えられなくなっていた。たしかに掃除とかで上着を脱ぐ機会は1月からあったし、体育も3月には復帰したけど、掃除は男女別で異なる場所をローテーションしていた為に、腰の位置とか気にしない男子は気付かなかったのだ。いや、気付いていたかも知れないけど噂話とかにはしなかった。だから、夏服で女子に指摘されるまで分からなかったわけだ。
 体育の再開時は、僕はうっかりして太腿までのガードルで学校に行ってしまった。女装だという認識よりも、骨盤サポーターという認識が強かった為だけど、クラスメートの男子はガードルとは呼ばずに
「それって腰のサポーター?」
と質問形式の助け舟を出してくれた。どんなに僕が体育のみそっかすでも、けが人に優しいのは常識で、僕はそのまま、ガードルを常用するようになった。だから夏になってハーフパンツになってもガードルのままで、それがハーフパンツから見えていたものの、女子の見せパンと同じ扱いで、気にされることも無かった。
 そんな事をいているうちにも、骨盤は順調に回復し、骨の回復を促進する薬の効果もあって、かなり拡大した。人工骨の方は衝撃的な圧力には対抗するけど、成長のようなじわじわとして変化だと、それに合わせて位置が動く。そのため少しずつ人工骨の位置が少し高めとなって、大きいだけでなく深い尻になって行った。しかも太鼓腹対策の堅い円盤(丸形のまな板を使った)が骨盤を内側から広げていたのだから、医者の想定していたよりも大きな尻となってしまった。具体的には手術の段階でクラスの女子の一番尻の大きな子並みになっていたらしいのだけど、それが中学を卒業する頃には、高校3年生の美尻組の平均ぐらいになっていたらしい。でも、そんな超ゆっくりして変化に身近な人間が気がつく筈もない。しかもダブダブのズボンを一番高い位置でとめているから、尻の位置が少し上がったところでズボンに影響が出る訳もなく、手遅れになるまで僕も全く気付かなかった。

7. 骨を守る為に:中学3年
 そうこうしているうちに夏服の季節になった。通学路の怖い先輩がいなくなったので、サラシで筋肉もりもりを偽装する必要がなくなったものの、体育で体を動かす時に、サラシで締め付けておかないと肋骨が悲鳴をあげそうな気がして、サラシは夏服になっても続けた。それは肩パッドもそうで、肩の関節を衝撃から守るために、こちらも続けた。肩パッドは夏服初日は恥ずかしかったものの、肩を守るという理由が自然に受け入れられ、逆にこれを外すほうがおかしいという雰囲気になったので、そのままだ。ただ、あまりに太く肩を偽装するのも変なので、肩パッドそのものを細く短く変形させてしようしたから、結果的には肩を今まで以上に(それこそ万力で前後を圧縮するようなぐらいに)締め付ける事になってしまった。
 水泳の季節になった。昨年が見学だったので2年ぶりの水泳だ。困ったのが水泳着。締め付けが足りないのだ。骨盤に不安のある下半身はもとより、ずっとサラシで固定してきた上半身にも不安がある。でも水泳はしたい。というわけで、普通の水泳パンツ(脱げないように締め付けるボクサータイプ)だけでは不安で、体育の先生と校医に相談した。
「2枚重ねならどうにかなるとは思いますが、動きが制限されますよね」
という提案をすると、体育の先生からは、無理せずゆっくり泳げば大丈夫だ、とのお墨付きを貰い、更に肋骨対策として全身型はどうかという意見が校医から出た。全身型は値段が高く、しかも誰かに手伝ってもらわないと脱着出来ない。そこで出た妥協案が、女子用のセパレート水着だ。
「でも恥ずかしいよな?」
と体育の先生に言われた時、僕は、自分の履いているガードルの事を思い出して、女装の為でなく、骨を守る為の服がたまたま女性用の服だったことを、ここで恥ずがるのはおかしいという意地が沸いて
「そんなことありませんよ。必要なんだから。現に骨盤のためにガードルを履いているし」
と見栄を切っていまった。
 こうして僕は女子用水泳着を使う事になった。もっとも着替えの時に、女子用の水泳パンツのその下に男子用の水着を着ているのを見せているので、クラスメートも自然に受け入れてくれている。ただ、このころから、何となく、仲間同士で親しくするという距離感じゃなく、腫れ物にさわるような接し方をされ始めたように思う。
 女子用の水着はもう一つの隠れた懸念を解消してくれた。それは胸に集まった脂肪だ。肋骨をサラシで押さえつけ、ガードルで腹を押さえつけてはいるけど、じゃあ余った脂肪がなくなるかというとそうじゃない。一番締め付けの緩い場所と脂肪の集まりやすい場所に脂肪は集まる。そして、それは胸、特に乳首のまわりだ。裸で鏡を見ると、そこが他の場所に比べて盛り上がっているのが分かる。これが肋骨の太い普通の男子なら、大胸筋の一部の格好良さに繋がるのだけど、僕のように肋骨が女子より細く、脇下も女子並みしかないと、小学校5年生のおっぱいぐらいには見えるのだ。それを晒すのは恥ずかしく、今回みたいに別の理由で胸を隠す服を着れるのはホッとするのだ。着替えの時は、僕は壁を向いてやっていて、そんな僕に正面を向けなどという同級生はいないから問題ない。
 一学期が終わる頃、僕は女子用の水泳着にすっかり慣れていて、もはや女子用の水着以外を着るのが怖いほどになっていた。それは骨を守るという意味だけでなく、胸を隠すという意味でも。こうして、胸に対する恥じらいを知った僕は、胸の脂肪が完全に埋もれるように、他の部分のサラシをより分厚く巻くようになった。それが更に他の部分に脂肪を溜まりにくくして、その分胸に脂肪が集まるようになったけれど、そんな事は僕の知った事ではないのだ。
 それでいて、サラシに押し出された太鼓腹の部分は、それを無理矢理引っ込めようと、丸形のまな板で押さえ込んで、結果的に骨盤を内側から広げていたのだから、僕の行動は矛盾している。でもお腹って、なんだか引っ込めやすい弾力があって、ついついそうしてしまったのだ。
 女子用の水着に慣れた僕は、パンツ系、シャツ系であれば女性用の服を着る事にも免疫ができた。だから、夏休みに入る直前にTシャツやジーンズを買いに母親と出かけた時、男性用の服が横にダブダブで動きにくい事を知ったとき、試着室に母が持ってきた服(テナントだったので直ぐ近くに女性用もおいてあった)が、試着後女性用だと判明したあとも、気にならなかった。ただただ、自分一人で買いにはこれないよなあ、と思っただけだ。
 昨年は肋骨の療養と蹴りの練習の為に主に室内にいたけど、今年はもう少し外に出る機会が増えた。中学生とは好奇心の塊だからだ。そうなると、サラシは暑い。そして、昨年までのTシャツ類は丈が短く幅だけが広い。なので、早速買った女性用アウターを使う機会が増えた。同級生にばったり出会うこともあるけど、Tシャツとジーンズでは女物だと誰も思わないらしく、よしんばTシャツの前がゆったりしているのに気付いても、そっちの方が涼しいという事実にこれまた不審に思われなかった。だから、僕はこの時に僕のシルエットが中学3年女子よりも華奢な上半身と、その割に高校1年生なみの豊かな尻と女性的な括れ(しかも正しい位置)を持ったものであることにとうとう気付かずに夏を終えた。大人の女性のように性的魅力のあるシルエットではないから、そういう指摘を受けなかったのだ。
 夏が終わり、またしても学生服の季節になった。僕は肩の細さと狭さを改めて実感しつつも、ようやく上げられる等になった足で蹴りの練習を再開させた。そのとき気付いたのが、昨年より遥かに内股になっている事で、でも、そのお陰でタックが安定していることだ。内股は悪くない。考えてみればバレーボールでのレシーブなんか内股で構える。スポーツには悪くないはずなのだ。だから、僕は椅子に座っている時も意識して内股にしている。いや、骨盤が変形した関係で、自然に内股にはなっているのだけど、それをより自然に内股にしているのだ。内股で座れば、骨盤は更に広がって内股が自然な確度を作って行く。こうして中学卒業までに、僕の骨盤(正確には人工骨)は単に大きくなっただけでなく女性的な形になっていった。もちろん、僕がそんな事に気付く筈もなかった。

8. ボクはヒーロー:中学卒業
 僕は予想より早く成長期のピークを終えた。中学を卒業する際の身体検査では、クラスメートより胸囲が12cm、身長も11cm小さくなっていた。身長は女子の平均のままだけど、胸囲は女子より圧倒的に細く、肩幅や肋骨の下の方(腰の括れってやつ)も、女子の一番細い子と同じぐらいだ。足も内向きで股間はタックしている。成長期の食事の量が足りなかったせいか、あるいは股間をタックし続けたせいか(最後の1年は夜もタックしていた)、髭は無く明快な声変わりもない。それでもボーイソプラノではなく、ゆっくり声変わりをしたのだろう。その証拠にとっても小さいながらも喉に突起がある。見た目では分からないけど触れば確かに喉仏を感ずるのだ。
 そんな僕だけど、蹴りの練習をしている事は数人の同級生が知っている。僕の進むこうこうと別の高校に行く彼らが最後に僕にアドバイスしてくれた。
「まあ、背の低いことを気にすんな。最近じゃ、男の娘のように見えるけど、実は武芸の達人っていうヒーローが流行りなんだ。お前もそれを目指せよ」
 それは天啓だった。春休みにコスプレで武闘系の男の娘ってのを捜したら、あるはあるは。それもヒラヒラスカートとか女子制服とかそんな感じのコスプレで、僕はその格好で、下にスパッツを履いたまま、足技を披露した。
 でも僕は失念していたのだ。そのコスプレ会に、他の中学から同じ高校に進学する奴も来ている可能性を。そいつに名前と年齢を覚えられる可能性を。

 だから僕は高校では女装担当を務めている。始めはイベント(週末)ベースで、次第に日常的に。
 制服こそ男物だが、いつしかサラシの代わりにコルセットの類いや寄せブラを着るようになり、元々薄い体毛は完全に剃られ、髪も伸びっぱなしだ。
 なぜなら、それが面白くなってきているからだ。皆が僕を(コスプレでの)男の娘ヒーローと崇めるの様子に快感に覚えるからだ。もっともっと有名になる為には、女装が似合う今の体型を維持しなければならない。そして、その上で、おっぱいと尻をより魅惑的にできれば尚さらユニークだ。
 男はホルモンを使わずにどれだけ女性に近づけるのか? ホルモンを使わずにどれだけ他人を騙せるのか。そんな挑戦は何となく格好良い! どんなに皆が僕を
「将来性転換して女の子になる
違いない」
と信じていようとも。そして、僕の蹴りを、武術というより
「ラインダンスみたい」
と囃していようとも。


とりあえず終わり(高校編は類似の話が沢山ありそうなので、当面棚上げです)

幽鬼の転生譚(本編:5) - 偽筆屋

2017/08/11 (Fri) 22:26:07

先ずは例の確認です。微量の精が私に入ってきたときに、その精の元にたどり着くと、私と関係なしに単純に女装をして興奮しています。本来なら、私が初心者幽霊だった頃に会った女装連中と同様、私に精が入る筈がないのです。もしかして、女装のきっかけが私だったから、私の事を忘れてしまった状態での女装でも、それで興奮したら精が僅かに入ってくるのかも知れません。

これはサンプルをもっと増やして確認したいものです。現実世界で女性服を買ってくれる男が必要ですが、キモい女装は見てて嫌ですし、できれば女装に抵抗の少なそうな男の子のほうが効率が良いでしょう。だから、顔はともかく体格的に女装できそうな若い子のうち長髪の男の子を捜して誘惑します。華奢な体格のくせに髪の毛を伸ばしているような子であれば、女装の素質がある可能性が高いと思ったからです。精を吸い尽くすことが目的ではないので、条件にさえ見合えば誰でも構いませんし、罪悪感もありません、

あとは今まで華奢系のターゲットで試したことを繰り返すだけです。レベルが上がった事で、幻覚や夢での現実感が強くなり、ネットショップの購入待ちの状態まで誘導出来るようになっています。つまり、目が覚めたあと、記憶と現実を混同していたら、そのまま私の為の下着と思って購入手続きを済ませる可能性が高くなったのです。ネットショップは一度でも行なえば、敷居は低くなります。案の定、新しいターゲット達の半数は、この後も私の為の服や下着を買ってくれるようになりました。

彼らが現実に買った女性下着類を、私の誘導の元に着用させる、最後に別れるということを繰り返して、ターゲットのサンプルは20人近くとなっています。そうなると、確かに彼らが単純に女装で興奮している時に、射精の0.1%未満の精しか入ってこないようでした。

そういう検証の傍ら、私はリンクが切れて夢に入れなくなった男達のアパートや家を訪れました。すると、その半数は新しいパートナーを見つけています。残りの半分は一夜限りの契りかも知りません。そう思ってソープを調べると、私の元ターゲットで来ている男がいます。でも、彼との精的リンクは切れていません。どうやら、女の方からの好意がないといけないようで、それは納得するのですが、それでは消えた半分はどうなっているのだろうか、と思ってみてみると、いずれも衰弱の気配があり、しかも何故か近づけません。どうやら、別の幽霊、私には見えない幽霊が取り憑いているようです。可哀想に、私が理性で離れても、彼らは精を搾り取られる運命だったようです。

気になっていた2件が分かって、もう輪廻の輪に戻っても良いなと思った頃合いに、またも奇妙な精の入り方をする体験をしました。最低限単位の精、それこそ精子数個程度に相当する精が連続的に私の元に入って来るのです。24時間で換算すると、普通の男が毎日生み出す精力の3000分の1に対応する精が、私の元に入ってきているようです。しかも、それは必ずしも連続的でなく、始めのうちは数時間単位、日が経つにつれてより長時間単位で起こります。

これは非常に気になります。早速精のもとに近づくと、なんと彼は股間が全く消えてしまうような女装をしているではありませんか。それはもはや興奮の為の女装ではなく、女としてみられる為の女装です。あの女装プロの連中のやっているのと同じなのです。

睾丸を暖めすぎたり痛めつけたりしたら精子が死ぬことは、現代では良く知られています。それは「子孫を殺す」という行為であり、その分の精のうち、ごく一部が、女装のきっかけとなった私の元に来ているのです。考えてみれば当りまえです。

興味が出た私は、更にサンプルを増やす事にしました。この程度では、まだ鬼にはならない筈だからです。その結果、もともと女装を少しだけ始めていた男の子を女装にのめり込ませても精は入ってきませんが、女装に興味程度しかなかった男の子を女装趣味に目覚めさせると毎日の精力の10000分の1程度、ネカマしかしたことのない男の子だと毎日の精力の3000分の1程度、ノーマルに近い男の子で毎日の精力の1000分の1程度が入ってくる事がわかりました。

女装を毛嫌いしている子も調べたのですが、私が輪廻の輪に戻る前には分かりませんでした。というのも、私は緊急に輪廻の輪に戻らなければならないと感ずる事態が生じたからです。

それは2年の在世期限の2種間前の事でした。いきなり大量の精が入ってきたのです。人ひとりを2ヶ月かけて取り憑き殺して得る精の総量の半分程度といえば、その凄まじさが想像できるでしょう。その元となる人はまだ生きていて、彼の元に行って理由が分かりました。なんと、去勢手術(いわゆるタマ抜き)を受けていたのです。しかも彼は、私が
「貴方が女の子になってくれたらいいのに」
という夢を見せ続け、かつ別れる際にも
「女の子じゃないとこれ以上は一緒にいられない」
という夢を見せて別れたサンプルの一人です。
あまりにも可哀想になって、その夜は久々に具現化してあげました。そして、その時に気付いたのです。私の男性器が既に10歳児並みまで回復し、しかも勃起を始めてしまった事に。

目の前にいるのは、女性器こそないものの、完全な女装をしたニューハーフで、しかもどうやら女性ホルモンに手を出しているらしく、彼がブラジャーを脱いだあとに見える乳首が腫れ上がっています。

その時に直感したのが、ここで私が欲望に負けたら、鬼に堕ちてしまうだろうことです。必死に我慢して、慰める事だけに専念しましたが、今後理性が続くか自信がありません。彼(彼女)だけでなく、女装趣味が嵩じて去勢するかもしれない候補は他にもいます。

こうして、突如私は輪廻の輪に戻ることにしたのです。

ただ、最後に、私の得た吸精の秘密を、ターゲットの一人に夢の中で話聞かせることだけは忘れませんでした。知識とは、それを得てしまうと、誰かに話したくなるものだからです。そうする「知識に関する欲望まみれ」の行為が私を鬼に近づけるとしてでもです。私が無事に輪廻の輪に戻れたのは、本当にギリギリの幸運だったかも知れない。

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幽鬼の転生譚(止)

こうして主人公の幽霊が男への転生を遂げた。しかし因果応報とは良く言ったもので、彼は男の娘として育ち、結局童貞のまま一生をおえた。そして、その後何度輪廻転生しようとも、彼は二度と「マトモ」な男には転生できなかった。

夢で吸精の秘密を聞かされた男が、それをどうしたかについては、日記に書いた言われているが、その行方は分からない。ただし、何処かの幽霊がその日記を読んだのではないかという噂はある。それが草食男子や男の娘を更に流行させたのではないかとも言われている。真相は闇の中だ。

執筆 2017年8月
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幽鬼の転生譚(本編:4) - 偽筆屋

2017/08/10 (Thu) 19:20:27

精を集めたからといって今直ぐ輪廻の輪に戻る必要はありません。三回忌の法事(期限)までに戻れば良いのです。だから、それまで幽霊として滞在することにしました。というのも、幽霊としてのレベルが上がった結果、精を多くの人からす少しずつだけ吸い取ったらどうなるか興味が沸いたからです。興味、すなわち知的好奇心というのは、社会的秩序を守る為の「理性」と同じく「魂」の働きであって、初心者幽霊ならほとんど失っているものですが、精を十分に吸収したお陰で魂が強化されて、そのまま知的好奇心に繋がったようです。

こうなるとターゲットは誰でも良くなります。というのも、現代人は性交のほとんど純粋快楽の為に行なっていて、子づくりの為の性交ではないからです。中には子供を作らない前提の人もいます。ならば「子供はいらない」とか「結婚は面倒」とか公言している男をターゲットにすれば良いだけです。そんな男達のうち、性欲の強い人なら、「精を少しだけ吸い取った上で、幽霊の本能にあがなって離れる」ことができるか試しても構わないでしょう。

となれば、狙いは、子供を作らないと公言しているうち、ソープに訪れるような男です。接触して始めの2人には「素人相手は怖い」と逃げられましたが、3人は見事に引っかかりました。ただし、私も幽霊本能の暴走が怖いので、一夜限りの吸精で離れます。もっとも、これも対象を増やすうちに2晩、3晩と増やして行き、最終的には3週間ぐらい吸精を続けても、そのターゲットから離れられるようになりました。もちろん、その男だけにかかり切りではありません。同じ夜に複数の男の夢から異なる時刻に精を貪っています。

数をこなしたせいか、男達の中には服をプレゼントしようとする者もいました。幽霊である私は昼間具現化することは出来ないので、一緒の買い物は無理ですが、それでも一緒に買い物にいく夢は見せてあげられます。デートをしたいという男の欲望が夢に反映されたら、自然と買い物まで付き合ってね、とねだることになるからです。そして、その際に買うのは、私が既に持っている服(の気配)と同じものであり、そういう服を夢の中で店の中に陳列させる訳ですが、そんな夢をみた男達の一部は、私への秘密のプレゼントとして色々買ってくれる人も出てきます。もちろん買ってくれる人もいます。私のサイズは夢の中で伝えているし、私の着ている服(の気配)からサイズを推定だって出来るからです。中にはネットショップでエロい下着を買ってくる強者もいます。いかに婦人服や女性下着が男にとって敷居が高くとも、恋は盲目で、プレゼントの為なら買える。それが現実のようです。

彼らが買った日の夜には、夢の中で私に渡してきますから、その記憶は単純な夢として処理して、夢の中で玄関のチャイムを鳴らし、彼らが起きたあとは具現化して部屋に入ります。夢ではなく幻覚なのは、彼らに具体的な行動を起こさせるためです。そして、幽霊である私は実在物を持ち運び出来ないためです。具体的には、私がその場で開けるような幻覚を見せつつも、実際には彼が服を取り出して、そのまま、彼が普段使っていないような場所(たとえば押し入れの奥とか、箪笥の奥とか)にしまってもらいます。

それらの服を捨てないのは、もしかすると実物が後日必要になることがあるかも知れないと思ったからです。例えば下着だと、翌日に着用してくる事が期待されます。服だって何度か使えば選択する必要があるでしょう。いかに夢だけで済ませることは可能とはいえ、半同棲状態であれば洗濯物も出る訳で、それが全くないのは不審に思われるかもしれませんし、何より、別れたあとに服を残せば
「プレゼントはお返しします」
という拒絶のメッセージにもなるでしょう。

だから、下着の場合場、翌日も具現化して、彼に件の下着を彼のアパートの洗濯機の底に入れるように仕向けます。こうすれば、私の存在が夢でなかったと思うでしょう。服の場合は、別れる直前の洗濯に紛れ込むようにします。

だから、彼らとはすっぱり縁が切れたと思ったのですが、しばらしくして、ポツポツと精が入ってくる事があったのです。性交の夢の時の1%未満の微々たる量で、幽霊にとって全く意味をなさないのですが、それでも3度も起こると気になります。翌日、その精の持ち主の様子を見にいくと、私の為に買った服を取り出して、それに情欲しています。

でも、その程度の情欲では私に精は入ってきません。不思議に思って、何日か見張っていると、又も精が入ってきました。見ると、彼が女装して興奮しています。私に対する情欲が行き過ぎで、私が着た(と彼が思っている)服を身につけることで発散したようです、とんでもない変態さんで、生前の私には到底思いもよらなかった方法です。

でも、とにかく、新らしい形の吸精手段は見つかったのは確かで、そうなると、この女装興奮でどれだけ効率が上がるか気になります。でも女装はそれが似合う人でないと、いくら幽霊の私でも見る気になりませんし、醜い女装に至っては吐き気を催します。幸い、私のターゲットの中には、とても華奢で、女装コンテスト上位者や女装メイド喫茶の連中より女装が似合いそうな子も数人います。その中で、私に服をプレゼントして来た子もいたので、彼で試してみることにしました。

先ずは具現化して、幻覚で操作します。服は彼が買ってくれた奴で、彼が迫ってくる時に
「私、本当は女装した男の人の方が燃えるの」
「私がその服をきるから、貴方は私の服を着て下さらない?」
と彼に迫ります。華奢な男なので、サイズはギリギリ大丈夫です。そうして、くだんの服を仕舞っていた場所から彼に取り出させ、そのまま彼に着させます。その上で、幻覚上で性交したら、なんと、精の1割しか入ってきません。幽霊という非実在物より、服という実在物に精を奪われたからでしょう。いや、あるいは女装状態だったからか。

検証の為に、こんどは幻想上での女装を別の子で試します。夢で彼を私の部屋に連れ込み、そこでカレーとワインを盛大にこぼして彼の服を着られない状態にしました。夢ですから、下着までべちゃべちゃです。もちろんシャワーという流れになります。部屋には女物の服しかありませんし、乾燥機もないので、彼は、手洗いで大きな汚れを落とした上で、そのまま家に帰るという提案をしますが、
「パンツ系のあるから、それを着れば良いわ」
という言葉に納得して、服を洗濯機に放り込みます。

そして、パンツ系はサイズが小さすぎて入らないという流れになります。なので、夢の中の(彼の潜在意識が起こす)行動は、伸縮性のあるレギンスとゆったりしたチュニックを選びます。下着は、新品がそれしかない、という設定で、フリル付きのショーツを渡します。すると、もう、それを手にした段階で彼は興奮を始め、彼のショーツがテントを張っているのを私が凝視した(と夢の中で思わせる)だけで、夢精しました。その時に私に入ってきた精の量は、彼が失った精の量の1割程度。性交の夢ではないので、こちらでも確かに少なくなっています。

夢を続けます。だから、彼はその格好で家に帰らなければなりません。そうなると、完全な女装にしないと悪目立ちします。そういう事で(あくまで夢の中ですが)髪型を変え、化粧を施し、ブラジャーもしてもらいます。夢の中だから、サイズはどうとでもなるのです。そして、それら下着は、彼のものとなり、代わりに私は新品を買うようにおねだりします。もちろん、
「貴方、そっちの方が魅力的だわ」
と褒めるのも忘れません。
そうして、女装のままで私と一緒に彼のアパートに戻り、改めて男の服に着替えて、一緒に女物の下着を買いに行く流れで、彼に選んでもらった下着を買う流れです。その際、彼が恥ずかしさに何度も視線を外すうちに、同じデザインの異なるサイズを買うという設定を忘れません。下着の数が増えているのに彼が気付くのは財布としてお金を払う段で、そのまま私のアパートに着て、大きなサイズの下着を
「あれ、貴方とお揃いの下着にするから一緒に出かけたのよ」
と無理矢理言いくるめます。夢の中だから、コントロールは完璧で、そうして下着を着せ、更に、一旦持ち帰ってもらったレギンスとチュニックも、もう一度着てもらいます。その段階で、今日2度目の夢精となり、やはり彼が失った精の量の1割程度しか入ってこない事を確認します。

ここまで面倒な流れにしたのは、夢の記憶で婦人服売り場や、ネットの女性下着購入に慣れて、彼が女物の服や下着を現実でも買ってくれれば儲け物だと思ったからです。5人の華奢ターゲットのうちの3人までが、実際に私の為のネットで買ってくれるようになりました。幻覚状態でネットショッピングをさせることが出来れば、こんな面倒なことは必要ないのですが、私の見える範囲内でしか幻覚による直接的影響を及ぼす事が出来ず、いかにキーボードが目の前にあっても電話とカードがあっても、その向こう側へ影響を及ぼす事ができないのです。

現物が手に入った華奢ターゲット計4人から精を絞る際は、手を変え品を変え、彼に「実在する」私用の女性服を着させました。もちろん、事が終わったあとは洗濯機行きです。彼が正気に戻った時には、部屋に私用の服が干してあるという状態になるのです。その為か、私が彼から離れたあとも、彼らは時折女装するようになったのです。それは極僅かの量の精が彼らから入ってくることで分かりました。要するに、現実女装での性交の夢や、幻想上の女装で私を思ってのセックスなしの射精の夢は精の1割程度、現実女装でのセックスなしの射精だと精の1%程度が私に入ってくるようです。

もっとも、その後、彼らから、それまでの微量の精より更に少ない量(本来の0.1%未満)の精が入ってくる事がありました。これは検証しなければならないな、と思っているうちに、私はまたも幽霊としてのレベルが上がりました。男転生に必要な精が溜まってから約2ヶ月語のことです。

今回はレベル上昇では、幽霊としての破格な能力を得ました。それは、相手が私に接触しないでも、触りたいと思っただけで、私の方から相手に触る能力です。なんだか、パッシブな幽霊というより、アクティプな鬼に一歩踏み出した感じです。

いや、実際、私は狭間に近づいているのです。例えば、今まで退化しきっていた男性器が、3歳の幼児並みながらも復活し始めています。恐らく今のレベルは幽霊としての最高レベルで、次のレベルは「鬼」になるでしょう。そう直感が訴えています。鬼とは輪廻から踏み外した連中の作る世界で、一旦鬼の世界に踏み込んでしまったら、それこそお特の高いお坊さんや道士による祈祷がないと、二度と人の世界には戻れません。だから、幽霊や鬼のうち、男性器がはっきりあるのは鬼だけで、幽霊にはありません。その意味では確かに私は鬼に近づいているのです。

私は余り精を集めすぎてはいけないと悟りました。一番の安全策は、このまま輪廻の輪に戻って転生する事です。でも、射精の0.1%未満という微量の精が、それも勝手に入って来るのか気になります。これも、今の私には関係ない事とはいえ、気になります。知りたい事はもう一つあります。精を何度か吸っただけで別れた男達には、それでも精的リンクが残っていて、いつでも夢に入れるのですが、そのリンクが突然消えるようなことが数度あったのです。別れた順でも、精を吸う量が少なかった順でもありません。

だから、私は少し冒険することにしました。というのも、女装がらみだったら余り大量には精が入ってこないし、その程度の精の量なら、輪廻の輪に戻る期限(2ヶ月後)まで更なるレベルアップはないと思ったからです。よしんば大量に精が入っても、今までの経験から危険レベルは推定できているので、そこから自分自信の危険度もわかります。だから、レベルが上がる前に輪廻の輪に戻るのは難しくないでしょう。鬼にはならない筈です。そもそも、鬼になってしまうような連中は、鬼になる事を怖れていないのです。私は違います。
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幽鬼の転生譚(本編:3) - 偽筆屋

2017/08/09 (Wed) 21:40:30

痴漢男の初七日、私は自身の幽霊としてのレベルが再び上がったことを直感しました。試しに実体化してみると、影こそないものの、鏡に映ります。それは私の「誘惑姿」を修正するのに多いに役立ちました。なぜ胸部を締め付けて細くする必要があるのか、なぜ尻だけでなく太腿にも詰め物をしなければならないのか、どういう立ち方歩き方がもっとも女っぽいのか、女装メイドのプロ連中の話からだけでは分からないものなのです。

幸い、幽霊としての私の体の変形能力も上がっています。今までは縦横厚みそれぞれ一定の比率でしか変形出来ませんでしたが、今は異なる高さで異なる比率の変形が出来ます。肩の部分をより細く、尻の部分を太く、胸の直ぐしたを思い切り細くといった具合です。だから、例えば一度でも補正下着(の気配、男の娘を怖がらせたときに手に入った)で体の一部を締め付けると、補正下着を外したあとでも、その形を概ね維持出来るようになったのです。現世の女性達や女装男達にとっては垂涎ものの能力でしょう。

ただし、輪切りごとの比例拡大・縮小より細かな変形はできません、例えば寄せブラで寄せた偽乳は、ブラなしでは維持出来ません。美尻と呼ばれる膨らみも、女性特有の滑らかな太腿も作れません。それでも、私の基本体型は男の娘たちのそれよりはるかに女性に近くあり、お陰で女装はほとんど完璧になりました。

こうなると、女装している連中に、私が見分けられるかどうか再挑戦したくなります。先ずはコスプレ参加者からです。前回みたいにプロ級は狙いません。ちょっとおどおどしている感じの、それでいてリアルの友達らしき人が見たら無い参加者をターゲットにします。前回より幽霊としてのレベルが上がったお陰で、そういうところが判断できるぐらいの距離まで会場の熱気に近づけるようになったのです。

会場近くの少し暗めの場所でターゲットに接近して
「あのう、もしかして今日のコスプレに参加された方ではありませんか」
と声(テレパシー)をかけます。
「とても可愛らしいコスプレで、すっかり気に入ってしまいました!」
「この次はいつ参加されるんですか?」
「どちらにお住まいで」
とぐいぐい押して行きます。私も女装に自信がついたお陰で、それこそ「私が可愛いって思われていることは知っているから」と自分の美貌を武器にする積極女と同じように彼に迫りました。

どうやら、今までと違って、私の女装に気付かないようです。お陰で、翌々日の夕方に彼の家の近くで会う約束まで取り付けました。大学の1年生で、来月の学祭で女装コンテストがあり、そういう話が回りで盛り上がったので、以前から興味のあったコスプレに初参加したとのことです。なので衣装は主催者が初心者向けに用意した借り物で女性用の服は持っていないとの事。でも、女装に興味がありそうなので、翌々日の彼が情欲ももったら取り憑き、そうでなければ、これ以上の接触はしない事にします。というのも、その学祭で新たなターゲットを見つけられそうだからです。

そして当日。公園で待ち合わせして、人通りが少なめの所をぶらぶら歩きます。定番の喫茶店? それは私のような幽霊には敷居が高いのです。それに夕方、人通りの少ない場所というのは、相手の本性を見定めるのに優れています。そうして、分かったことは、彼が完全な奥手で、どんなに誘惑しても私を触らないということでした。スカートが半分めくれるような転び方を演じても、情欲より心配で体を支えてきたほどで、結局私は彼への誘惑を諦めざるを得ませんでした。こういう事もあるのでしょう。

でも、成果はゼロではありませんでした。というのも、彼の同学年の男子に、ネカマを自慢している男がいることを聞き出したからです。よくよく聞けば、ソーシャルネットワークで女を演じていているそうで、リアルバレしらた不味いよね、と私に心配を振って来るほどです。

こうして私の次のターゲットはネカマ野郎に決りました。リアルで女装しているとか、MMOのみでのネカマならともかく、普通の男生活をして、彼女を欲しがっている男がネットワークでネカマしているのは、出会い厨しかありません。
「それなら、彼をいさめる為に私が会ってあげるわ」
「私、ソーシャルネットワークは苦手だから、ネット上では貴方が相手してくださらない?」
と持ちかけて、話はトントン拍子で進みました。コスプレ女装をするような男の子ですから、ネカマプレーを練習するのは悪くありませんし、私という(彼から見てリアルな)女性の代理という名目があれば、そのアカウントを作る事にも抵抗が少ない筈です。

こうして私は無事に、ネカマ野郎に出会い、ほとんど努力する必要もなく取り憑くことが出来ました。ネカマをやっているのですから、一度くらいは男性器を完全退化してしまう経験をしても良いのです。念のため、紹介してくれた超奥手には、
「ちゃんと説教したから大丈夫ですよ」
と伝えて、ネカマ野郎には四六時中張り付いて、
「ネカマしたら別れる」
と脅かしたので、ネカマ野郎に私が取り憑いていることなんて、奥手さんには分からないでしょう。

こうして2ヶ月後、またもや新しい転落死者が生まれました。事故なのか自殺なのかはっきりしませんが、ネカマプレーを懺悔する遺書らしきものが見つかって、自殺として処理されました。

こうして私は更に精を集めましたが、男転生にはまだまだ足りません。というのも、今までの4人はいずれも不健康で精が弱かったからです。痴漢男などは性欲は強かったものの、精の量は少なく、男としては全然だめなのです。だから、今のまま女装男やネカマ、強姦魔ばかりを狙っていては、あと3〜4人から精を搾り取りださないと駄目でしょう。でも、だからといって健康的な男を狙う気にはなりません。

そんな具合で、私は直ぐに次のターゲットに移りました。それはネカマ野郎がですら、こいつは汚い、と罵る男です。ネカマではなく、ネット上で紳士然としているにも関わらず、巧みな会話術で信用を得てオフ会に持ち込み、始めの3回ほどだけ紳士的にして、その間にネットやリアルで秘密を探り、ギリギリ合法範囲で脅す事で女をモノに、ついでに金銭的にも寄生するという、古典的な詐欺師です。

問題は呼び出し方法です。私は実体がないので、キーボードをたたく事もスマフォンを操作することも出来ません。しかし、ネカマ野郎から、彼が何処に住んでいるかは分かっています。だから、彼を見張って、次の女のターゲットと接触する日程をあらかじめ調べて、先回りして彼を道路で待ち受けます。
「もしかして○×さんでしょうか?」
「お店が分からなかったので、ここあたりで待てば見つかるかと思ったの」
「服とか聞いていたからばっちりでした」
もちろん、相手の容貌や誉め称え、信頼感がある人だと告げます。

妙齢の女性(中身は女ではありませんが)から、そのように「待たれる」というのは、この詐欺師にとっては、仕事をやりやすい、と思ったのでしょう。だめ押しに、本当は捜しもののために店を回っていて、オフ会はその序で、みたいなことを話します。そうすると、彼の方から、他の人たちとの合同オフ会を止めて2人だけでオフ会する提案がありました。私から2人だけになる提案をするつもりでしたが、必要なかったようです。

あとはお決まり通りで、この日のうちに彼に取り憑くことが出来ました。そして、2ヶ月後は、彼も幽霊になっていました。死因は水難事故。真冬に海の海は冷たく荒れているのです。

さて、この頃になると、私が以前取り憑き殺した者たちが、私同様に、新たな幽霊を生み出し始めます。一番手は、案の定、女装未熟男(2人目の幽霊)で、普通に歩いていたのに男からナンパされたようです。どうやら、脅かし方こそマイルドだったものの、その数が多かったお陰で、早い段階で具現化出来るようになり、そうなると女装が楽しくなって、必要のないときまで具現化していたようで、それならナンパされるのも仕方ないでしょう。それが3ヶ月余前。今は既に2人目に取り憑いていて、あと1ヶ月半もすれば、女転生に必要な精がたまりそうです。ちなみに、彼の一人目の犠牲者である幽霊は私には見えません。どうやら直接手を下した相手だけしか見られないようです。

それから、レイプ男(1人目)も、ようやく一人目に取り憑いたようです。彼の場合、闇雲の女性のそばを歩こうとするだけで、覗きとか、恐怖の陥れるといった事はしていません。なので痴漢男(3人目)のような餓鬼の風体でなく、単純に精を失って痩せ細った姿となっていうだけです。それゆえに死んでから火葬の服が失われて、女物の服(の気配)だけが残ったのです。それでもふらふらと女の尻を追いかけ、今なら女装だから怖がられるまいと勝手に思い込んで具現化して近づくということを繰り返していました。それを繰り返すうちに、男色家系の女装男にぶつかって、キスされてしまったことから、幽霊としての本能が、ナンパ趣味(魂の一部)を上回って、男色家を餌食にしたようです。この分だと、彼みたいな男でも転生できてしまうかも知れませんが、私はそこまで心配していません。というのも、よしんば転生出来ても女どまりだからです。

今までに合計5人を幽霊に引きづり込んだことで、私は男転生の為の条件をよりはっきり認識できるようになりました。それは死んでから2年(三回忌)以内に必要な精を集めることです。もしも、期限までに、女転生に必要な魂の量しか集まっていなかったら、よほど強く「男」へ未練が無い限り輪廻の輪に戻され、男に執着した場合は、反対側の世界、すなわち鬼の世界の住人になってしまいます。今の私のペースですら、既に1年と3ヶ月もかかっていて、このままだとあと最低でも半年かかります。レイプ男のペースでそれだけの量を集めるには、よほど精の強い男に出会う幸運がないと不可能でしょう。

痴漢男のほうは、ますます地獄の餓鬼亡者に近い姿となっており、もはや地獄に落とされるのは時間の問題です。彼ぐらいになると、鬼の世界にすら入れてもらえないでしょう。一方、2ヶ月前に幽霊になったネカマ男は、女装を上達することで、女の子に近づこうしています。なので、レイプ男(1人目)と同様に転生できてしまうかもしれません。

閑話休題。私は男転生に向けて次のターゲットと接触しなければなりません。めぼしい候補は、3ヶ月前の女装コンテストで見つけています。コスプレの時と違って、超奥手男とネカマ野郎から前情報を貰っているので、複数の参加者の行動パターンや下宿先を把握しています。なので、彼らのうち、密かに女装に興味のある者を特定するのにほとんど苦労はありませんでした。そのターゲットには、出来るだけ下宿の近くで顔を合わせるようにします。そしてその際に会釈をします。相手には私を知りませんから、近くに引っ越してきた女性とぐらいしか認識しませんが、そういう事を何度か続けたあとなら、声をかけてもおかしくありません。
「このあたりに住んでいらっしゃるんですよね」
こうして日常会話が始まって1週間もすればかなり親しくなります。ここからは、彼の趣味(私は知っている)に合わせた話をして、一気に引き込みます。果たして、彼と出会って半月後、彼は私に情欲をもって、軽く触りました。

2ヶ月後、私はまたしても幽霊としてのレベルが上がった事を直感しました。具体的には女性器を除いて体を自由に変形出来るようになったのです。つまり、偽乳も美尻も魅惑的な足も自由自在で、顔も多少は整形出来るのです。男の娘どころか、女性達からも羨まれる能力といえるでしょう。しかも、女の人を脅さずとも、一度でも見ただけでその人の着ている服と同じものを手に入れられるようになったのです。季節は初夏。薄着が当たり前ですから、今まで以上に誘惑が簡単になります。だから、7人目、8人目の餌食はも簡単に手に入りました。しかも2人をほぼ同時に、異なる時間帯に夢で相手したので、2人合わせて3ヶ月かかっていません。

幽霊としてのレベルが上がった利益はもう一つあります。それは、一旦取り憑いても、幽霊の本能を暴走させずに殺す前に手を引く余裕が出てきたことです。恐らく精が溜まることで「魂=理性」が強化されたのでしょう。それでも7人目を8人目を幽霊にしたのは、7人目が糞野郎で、8人目が精神疾患系の現実逃避者だったからです。後者は「男」として生きる事からの逃避として女装したりしていたほどで、それぐらいなら「男でなくなってしまう」経験をさせるべく幽霊になってもらうべきだと思ったのです。

ともかくも、私は晴れて男転生に必要な精を期限まで4ヶ月以上の余裕をもって集めることができました。
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幽鬼の転生譚(本編:2) - 偽筆屋

2017/08/09 (Wed) 18:17:26

レイプ男を取り憑き殺して数日、僅かに残った理性による罪悪感で、私は少し落ち込みました。車での事故までは要らなかったのではないかと。でも、あの時は私はハイになって最後まで突っ走ってしまったのです。もしかすると、それが幽霊の性なのかもしれません。一旦精を絞り始めたら、よほどのことが無いと最後までいってしまうと。

落ち込んだ理由はもう一つあります。それは、レイプ男から得た精の量が、期待より少なく、最低限の輪廻(女転生)すらできない程度だったことです。この分だと、男転生には更に5人以上取り憑き殺さなければなりません。もちろん人によって精の量は違いますから、運が良ければ1人で済む筈なのですが、そういう「マトモ」な好人物に取り憑くのは悪いと思ってしまいます。勢い、精の量の少なめの者が対象になるわけですから、僅かに残った良心に従うなら、女転生で我慢すべきということになってしまいます。でも、こちらはもっと嫌です。

レイプ男の初七日、私は自身の幽霊としてのレベルが上がったことを直感しました。明らかな違いは髪の毛で、今まではカツラを意識しないと伸ばせなかった髪が、肩までながらも、自由に伸ばせることに気付いたからです。試しに女装を念じてみると、いままでは単純な拡大・縮小しかできなかった体が、縦横別の比率で変えられるようになり、女の細い体に合わせた服によりフィットしたからです。おかげで、中学1年の子供にむりやり女性服を着せるような違和感(肩幅に合わせるから、袖等が長くなる)が減りました。それから、これは直感ですが、キスでなく、もしも相手が情欲を持って私のどこかに触ったら、それだけで情欲を増幅させる気がします。

こうなると、ちょっと試したくなります。もちろん、今まで同様に女装は嫌ですが、それとこれとは違います。早かれ遅かれ次のターゲットから精を搾り取らなければならないのです。いつまでも落ち込んではいられません。それに、レベルが上がったことで、取り憑いた相手を殺す寸前で離れるだけの自制心がついた可能性もあります。あくまで可能性ですが、私が2人目を探し始めるには十分な動機でした。

とりあえず、保険の為に、始めの予定通り「女になってみるのも一興」と考えている男(の娘)を捜します。喫茶の女装メイドの通勤時に、道を尋ねたり、何度も偶然を装って顔を合わせたりして接触しました。幽霊としてのレベルがあがっているお陰で、完全な人間と見なされたいます。

でも、さすがに女装のプロだけあって、薄暗い時刻だというのに、私が男であることを見抜かれてしまいました。そして同好の志という扱いでと見なされてしまいました。そうなると、彼らが私の体に接触することはあっても、そこに情欲はなく、幻覚も発動しません。そういう意味では接触は失敗ですが、代わりに女装技術を丁寧に教えてくれたりします。それには歩き方や仕草まで含まれていて、結果的には参考になりました。

次のターゲットはどうするか。プロを相手にしたのが間違っていたのですから、たまにしか女装をしない人を選ぶのが良いでしょう。例えばコスプレ会とか、大学祭の女装コンテストとかです。問題なのは熱気です。祭りとは、多くの人の陽の気が発散されるので、陰の気の塊である幽霊には入りづらいのです。遠目から眺めてターゲットを絞り、ターゲットが普段基本的に男装であることを確認してから、祭りの翌週あたりのテンションの落ちた状態で接触するしかありません。

一番始めに接触したターゲットは一番女装の上手かった男でしたが、さすがにプロ級で私の女装を一発で見抜きました。普段が男装だからといって、上手い人は目が違うようです。次のコスプレ会まで時間がありますから、私はその間、別のターゲットを捜すことにしました。それは強姦魔です。すでに強姦とまではいかない男を取り憑き殺していますから、それよりタチの悪い男なら良心も傷まないでしょう。幸い、レベルの上がった私は、塀の上ぐらいまで浮遊出来るようになったので、痴漢注意の看板のある場所で、何かが起こるのを待ちました。

暇。暇暇。暇暇暇。

と、目の前に不細工な女装でおどおど歩いている20歳前後の男がいます。初女装外出でしょうか。

本来なら彼をつけて女装のきっかけとか性癖とか調査するのですが、プロの女装娘に見抜かれ続ける日々と、余の暇に、ついちょっかいを出してしまいました。

「すみませーん、**神社への道を尋ねたいのでけど」
とか細い声を出し(幽霊の基本能力であるテレパシーなのですが)、しばらくの会話のあと
「お兄さんって魅力的よね」
と相手が男であることを前提に話をつづけます。
「その格好、私好きよ。安心出来きるから。ほらここって痴漢が出るって噂じゃない。でもあなたと一緒なら安心だし」
と女装を持ち上げて
「そうそう、神社って薄暗いじゃないの、私怖いわ」
と相手を誘います。女装未熟男は女の子に慣れていないのか、顔を赤くしつつ
「行く方向が同じだから送ってあげようか」
と切れ切れに言って、エスコートしてくれます。
そうして10分ぐらい私が誘惑し続けたら、ついに落ちたのか、偶然を装って、私の手をそっと触ってきました。

瞬間、彼の情欲の念が流れてきます。こうなったら私のものです。情欲を増幅させた彼に唇を近づけるや、向こうから貪ってきました。キスの瞬間から、彼は私の胸を触る幻覚、体を接触させる幻覚を覚えます。
「あなたが好き、見た瞬間運命の人だと思ったの」
といいながら、あたかも私は彼の体を触り回る幻覚を起こして、今回もまた、彼のアパートに行く流れとなりました。

そこは確かに「初めての女装」に相応しく、男の子の部屋でした。服も男物ばかりで、女物の服は2着だけ。初めての外出は恥ずかしいから、暗めの道を選んだとのこと。

あとのことは語る必要もないでしょう。ひとたび彼から精を吸うや、幽霊の本能のままに、2ヶ月後に彼が死ぬまで精を貪り続けました。彼の死因は、急性の白血病です、20代男の死亡数は年3000人余りです。その5割が自殺、6分の1が事故ですが、実は成人病と呼ばれる心臓病・癌・脳出血も合わせて6分の1で、彼はそのうちの一人に過ぎないのです。

直接の死因は白血病でも、私がその主因なので、彼も輪廻の輪から転げ落ちて幽霊となりました。もっとも、彼の場合、自身が幽霊であることに気付いても、そして自身の男性器が大きく退化しているのに気付いても、前回のレイプ男みたいに、取り乱していません。いや、むしろそれを経験として楽しんでいる風すらあります。幽霊の基本知識として、転生の可能性があり、その際に男か女か確定すると分かっているという安心材料があるとはいえ、さすが女装願望の男です。実際、たまたま女性を脅して服(の気配)を手に入れるや、彼は、さっそく女装を始め、更に服を集めるべく行動を始めました。しかも、彼の脅し方は非常にマイルドで
「ちょっとぞっとした」
程度に収めています。私の良心を痛めるようなことは全くありません。ただ、ちょっと可哀想なのは、紳士的な脅し方ゆえに、強い恐怖で肌着も手に入れられる事に気付いていない点ですが、彼なら肌着の残り香を使わなくても男を騙せるでしょう。私もうかうかしていられません。

一方のレイプ男ですが、こちらは生前の性が直っていないらしく、近くをたまたま美しい女性が通りかかるや、姿を隠したまま横を歩き始めます。あわよくば、女の肌を触りたいと思っているのでしょう。女の方は、幽霊を見る時ほどの恐怖はなくとも、なにか怖さを感じるのか足を速めて明るいところに出ます。そうなると、幽霊は明るさと生きた人の出す陽気(二酸化炭素のようなもの)に耐えられません。そんな不毛な日々で、彼の体に僅かに残った精気が少しずつ消耗しています。要するに、より青白く細くなっていきます。このままでは、転生なんか不可能でしょう。そういう意味では、私は現世や来世での(レイプ男による)未来の被害を未然に防いだことになりそうで、彼を取り憑き殺したことに対する僅かな良心も消えてしまいました。

こうなると、私は男転生のために、もう少し精を集めても良さそうです。少なくとも、そういう行為に、僅かに残った良心は全く反応しません。

実は2人から得た精気は、女転生で良いのなら輪廻に戻るにギリギリ十分です。要するに私が
「女でも良いから転生したい」
と願った瞬間に私は輪廻の輪に戻るはずです。このことは幽霊の本能として直感的に分かります。そして、余り罪のない女装願望男を「制御の効かない幽霊本能の暴走」で取り憑き殺してしまったことに再び落ち込んだ私は、女転生で妥協することも少しだけ考えていました。でも、彼の49日もたたないうち、そういう考えはすっぱり消えてしまったのです。

さて、女転生で妥協するかどうか少しだけ悩んでいた1ヶ月余りのあいだ、私はただただ、暗闇の塀の上や木の枝で人通りをぼんやりを眺めていました。場所は痴漢が出てもおかしくない人の少ない場所で、人家もありません。だから、視野範囲で男が急に女に近づくのを目撃することもありました。大抵は100m近く離れているため、それが痴漢なのか、あるいは単純に女が男を呼び止めただけなのか分かりませんが、悪質な痴漢である強姦の場合だと、私がこっそり近づくあいだも続いていますし、その後の女の様子が他と違いますから、分かります。だから、私が男転生を決めたときに複数の痴漢事件を起こした犯人は既に特定していました。

あとは語るべくもありません。その2ヶ月後、1人目よりも悪質な痴漢男は、睡眠薬の過剰接種で死にました。私が
「最近よく眠れないので、睡眠薬を買ってくれない?」
とお願いした結果、その睡眠薬を間違って大量に飲んでしまったのです。他の人に私は見えませんから、第3者には彼が自分の意志で睡眠薬を買って飲んだと解釈されたでしょう。しかも自殺か他殺かを確認する調査の過程で、彼が痴漢を繰り返していたことが分かり、かつ2ヶ月ほどは全く被害者を出していないことから、罪を苦にしての自殺か、精神的な不安定による自殺と判断されました。

痴漢男が幽霊になった時は、レイプ男以上に取り乱していましたが、直ぐにレイプ男以上の痴漢行為に走ろうと女達に近づきます。でも、初心者幽霊の場合、幽霊から人間の直接触れることは出来ません。人間が情欲を持って幽霊に接触しない限り(完全な初心者の場合はキスを求めない限り)、幽霊からは手出しできないのです。ただただ、人間が、ぞわーっとした恐怖を感じるだけで、大抵の女性は足を速めてその場から逃げようとします。そして、その場に服(の気配)が残るのです。

痴漢男の行為はそれだけにとどまりません。風呂場を覗き、果ては女の寝室に入り込んで、完全に退化した男性器でセックスしようとします。もちろん、接触自体が不可能ですし、女も寝ていて恐怖を感じないのですから、彼は得るものがなにもありません。その為か、彼の体に僅かに残った精気も急速に失われ、49日を過ぎてほどないのに、その姿は地獄の餓鬼のようです。このままでは、地獄の獄卒に連行されてしまうでしょう。そう思ったとき、私は直感的に悟ったのです。この手の悪霊は、生理の苦しみと出産の苦しみを延々と与えられ続ける罰を受けることを。そして、その穴はどんなに丁寧に扱っても、決して快楽を得る事がないことを。生理と出産以外は男に戻って、男に犯されること。その際も一切の快楽はなく、恐怖と苦痛のみに支配されること。罰の期間こそ分かりませんが、痴漢男に相応しい罰と言えるでしょう。

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幽鬼の転生譚(本編:1) - 偽筆屋

2017/08/06 (Sun) 18:22:48

幽霊初心者の私は、始めのうちこそ、自身の転生のために他の若者を犠牲にすることをためらっていましたが、次第に転生本能=吸精本能が強くなることを止めることは出来ませんでした。幽霊とは転生欲以外の欲望・楽しみの全くない苦しいものです。生きているうちに楽しんでいた娯楽はすべて味気なく感ぜられ、知識欲すら消えてしまっています。地獄をいうのを経験したことはありませんが、これは一種の地獄ではないかと思うほどで、できれば早くこの状態から逃れたい。それが唯一の欲である転生欲をますます強めるのです。

だから、数週間もしないうちに、条件次第では生者の精を奪って衰弱させても構わないと思うようになっていました。そのきっかけになったのが、フワフワと漂っていううちにテレビの映像に映った女装男の話。そうです。今の現世には「男の娘化」を望む男が少なからず存在するはずです。そんな簡単なことを私はなぜ今まで忘れていたのでしょう。私の今の体は、体型こそ男ですが、生前より華奢で色白で体臭もなく、何より男の象徴がほとんど消えています。陰嚢や陰茎の入れ物こそ残っていますが、その中身がないのです。女装趣味のある男達には理想的な体ではありませんか。

しかも、幽霊になってみてわかったことですが、男(オス)に転生するためは、女(メス)に転生するのに比べて数倍もの精気が必要となります。私は今でも出来れば男で転生したいと思っていますが、女に転生したがっている男や、女というのを体験してみたがっている男なら、私に精を取り尽くされて幽霊になっても、転生の敷居はそこまで高くないでしょう。せいぜい、別の女装男を一人衰弱させる程度の精気で十分の転生できるでしょう。だから、そのような男から精を得ることに、私に僅かに残った理性(魂)も差し障りを感じなくなったのです。

こうして、私は女装趣味の男を見つけるべく、女装メイド喫茶を張るようになりました。メイド達の顔と名前、性癖も覚え、常連客のうちの女装者の顔も覚えて、いよいよ彼らを誘惑する方法を考え始めたとき、私ははたと問題に気付いたのです。女装に慣れている男が、私のような去勢男に情欲するものだろうか、と。体型はともかく、少なくとも彼ら以上に「セックス対象」としての女の子を感じさせる衣装でないと、誘惑そのものが出来ません。不幸にして、私にはその手の知識はないし、私の持つ服装も限られています。それは、死を感じた瞬間から火葬までの間に着せられた服です、具体的には、私が衰弱で倒れたときの服と、死出衣装、病院服です。少なくとも情欲を抱かせる服ではありません。

そのことに気付いて落ち込んだ私は、更に理性を失い、別の方法を模索するようになりました。それは「精の有り余っているものからなら奪っても構わないだろう」というものです。そんな連中の行く場所はただ一つ、ソープランドです。

ソープランドで一番始めに気付いたこと、それは女装メイド喫茶の女装連中と、娼婦連中との、性的魅力の圧倒的な差です。顔は同等程度、いや、むしろ女装メイドのほうが平均的には可愛い程度です。でも肉体の魅力と、それを全面に出す衣装が全然違うのです。娼婦のなかには、露出度が低くとも「この女とヤりたい」と思わせるような服を着ている強者すらいます。となれば、私はこの連中の仕草を真似、さらに衣装をなんとか調達しなければなりません。そこで、私は、露出度の低い強者に目をつけて、彼女を追うようになりました。更には彼女に直接尋ねてみたいと思うようになりました。今の私には理性というのが余り残っていないので、その善し悪しを判断出来なくなっていたのです。

そうして数日後、彼女の仕事からの帰り道、彼女の回りに誰もいない瞬間が現れました。彼女に直接尋ねるチャンスです。街頭と街頭のあいまのちょっとした闇を使って、私は彼女の前に立ち、姿を現そうとしました。死んでからこのかた、姿を人目にさらすのは初めてなので上手く行くかどうかは分かりません。同時に声もかけます。

彼女はぞくりと身震いさせるや、私の横を素早く逃げ去ってしまいました。そして、彼女の逃げたあとには、彼女の着ていた服が残っています。もちろん彼女が脱いだわけではありません。服の気配だけが残ったのです。私は直感的に、これが「幽霊仕様の服」だと分かりました。サイズこそ合いませんが、幽霊は体のサイズを変えることが出来ます。初心者幽霊の私でも、一定比率の拡大と縮小(高さと幅の比率が一定の相似形)なら可能です。そして、私に入り込んだ直感知識では、幽霊としての経験を積めば高さと幅の比率を変えることも、もっと複雑な変形も可能です。コピー機の機能のようなものです。いや、上級者ほど使いこなせるというのは、グラフィック用のソフトのツールみたいなものかもしれません。ともかくも、こうして、私は初めて、新たな衣装の獲得に成功したのです。

後日彼女が男との寝話に語ったところによると、闇の中になにかぼんやりしたものが浮いたように思った瞬間に、ほとんど聞き取れないような声が聞こえたとのことで、通り魔だかストーカーだか幽霊だか宇宙人だか知らないけど、おもわず恐怖を覚えて、我を忘れて逃げたのだそうです。なるほど、私の存在が原因で怖くなったからこそ、そこに影のように服(の気配)が残ったのでしょう。

もちろん確証はありませんから、他の娼婦でも試してみます。彼女らはことごとくおびえた様子で逃げ、そのあとには確かに服の気配が残ります。3人目だったか、4人目だったか、その時は、携帯の写メを取られるという予想外の事態となりましたが、CCDカメラの写真ごときに私が映る筈も無く(写メが幽霊を写すのなら、葬式の写真のほとんどは心霊写真になるはずだろう)、証拠は残らず大事には至っていません。それどころか、フラッシュの瞬間に、私の輪郭がよりはっきり映ったのか、今まで一番大きな驚きを与えたようで、上着だけでなく肌着すら残っていました。そして、それ以来、肌着が残ることが多くなりました。おそらく、人を恐怖に陥れる回数が多いほど、幽霊としての格というか能力があがるのでしょう。

娼婦達をおどかした翌日や翌々日は、彼女たちの会話に耳を傾けます。すると、回数を重ねるにつれて、私の姿が、よりはっきりしてきたことが分かります。と同時に、衣装も私が身につけたものであることも分かります。となれば、完全な人型として認識出来るぐらいに姿を現すことができるまで、この「ウラメシや」訓練を続ければ良い筈です。

もっとも、同じ地域で同じような方法で人を脅しすぎると、悪霊として退治されかねないというリスクがあります。そもそも、魅力的な女達に怖がられ、逃げられるなんて全然嬉しくありません。娼婦達が恐怖で逃げる様は、苛虐嗜好という特殊性癖を持っている幽霊には、退治されるリスクを負ってでも続けたくなる快感でしょうが、ノーマルな私は違うのです。だから私は、必要な服をそろえたところ段階でソープランドを離れることにしました。

それでも私は素晴らしい成果を得ました。それは性的魅力を出す服だけではありません。恐怖の度合いが高かった場合に残る肌着には、当然ながら彼女たちの体臭が染み付いており、その残り香のお陰で(体臭の無い)私は、視覚的だけでなく、臭いの上ですら女を装うことが可能となりました。性交で現場では視覚情報は失われ、触覚と嗅覚だけに頼ります。そのうちの嗅覚を騙す方法を手に入れたのです。

性的魅力を出す服と偽体臭。この二つの成果に満足した私には少しだけ理性が戻り、当初の予定どおりに、女になってもよいとか、女を経験してみたいと思う男をターゲットにすることにしました。いや、これは名目上の理由です。いかの転生の為とはいえ、ソープランドに来るような脂ぎった男や不細工な男に抱かれるのは体が拒絶したからです。セックス相手は出来れば美女が良いのです。それが物理的に無理なら、せめて将来(幽霊になった時に)美女になるような奴でないとやってられない。そう欲してしまったからです。

こうして以前の女装メイド喫茶に舞い戻った私は、その女装の出来にすっかり失望してしまいました。何となく可愛いけれど、性的魅力を感じさせない女装だったからです。その意味での許容範囲と言えるのは1人か2人。もちろん、私が精を絞る相手という意味であれば、ここの女装メイドの大半が許容範囲でですが、男を情欲させるかというと否で、要するに「ネタ」の一種に過ぎないのです。とはいえ、胸の谷間の作り方とか、さりげない喉仏の隠し方とか、偽尻を使って腰の括れを作ったりとかの技術は参考になります。もちろん、これら女装グッズを通勤から使っている人を脅して手に入れたのはいうまでもありません。ただし、娼婦と違って、肌着や補正下着、女装グッズまで落とすほどに驚いてくれる人は多くなく、今の私の技術でも3人に1人程度です。とはいえ、女装娘の服が加わり、かつ私もよりはっきりと姿を現すことができるようになりました。

女装用具を取り揃えた私は、今度は本物の女を手本にすることに注力するようになりました。具体的には、色々な人の噂話から、ビッチと呼ばれている人を特定して、その性的アピール色を学ぶことにしたのです。彼女たちの「キスかまわないよ」「セックス構わないよ」という各種信号は、スカートのチラ上げぐらいしか知らない私には参考になります。もちろん、これらビッチ達を怖がらせて服(の気配)を手に入れることは忘れません。

知識と道具を揃ったところで、いよいよ練習です。実をいうと、女装なんて幽霊になった今も恥ずかしくて、いままで一度も練習してきませんでした。いや、あの女装メイド喫茶の軽いノリなら、そこまで抵抗はないのですが、性的にみられることを目的とする女装というのは、来世も男に転生したい私には苦痛なのです。もっとも、それでも現世よりははるかにマシです。というのも、生々しい着替えでなく、それこそゲームのように「装着」を思い浮かべるだけで着替えが済むからです。それに接触感も余りありません。幽霊だから当然なのです。ただし接触感がゼロでないのは、例えば寄せ胸の形の調整とかそういったものに必要だからで、それはそれで女装の訓練に役立ってくれているわけです。

持っている服を全て着こなす練習を一通り終えたところで、いよいよ実践です。ただし、練習程度なので、本命の「女の子とのセックス歓迎の男の娘」たちは外し、大学生を適当に狙います。もちろん、肥満した連中は外し、どちらかというとインドア系の華奢な連中です。

一人目は接触する前に気味悪がられて逃げられました。服の気配が残されたといえば、だいたい分かると思います。2人目も接触失敗。ただし、服の気配が残っていませんから、怖がられなかったようです。こんな風にして、気味悪さや不自然さを減らして、5人目だったか6人目だったか、いきなり私を捕まえてキスを求めてきました。目を見ると理性が飛んでします。いわゆる痴漢という奴で、これが現世の人間ならこのままレイプされるでしょう。

私は一瞬逃げようとしたものの、次の瞬間には幽霊の転生(吸精)本能に突き動かされていました。嫌々風にキスを認めたのです。一旦キスしたら、そこからは幽霊の支配下です。男は私が作る幻覚のまま、私に胸があると錯覚し、私の体が高校生のように柔らかく、そして私に女性器があると錯覚します。そうして、とうとう下半身をむき出しになって私に射精しました。もしも第3者がこれを見たら、立ち小便の格好で何も無い空間に陰茎を突き出している変態にみえるでしょう。もちろん法的には猥褻物陳列罪となります。ただし、精液はそのまま私の糧となりますから、第3者からは見えません。

「ここではだめ、あなたの下宿にいきましょうよ」
と男に声をかけて、そのまま男には、私と手をつないだ幻覚を与え続けて、その夜は、男から徹底的に精を搾り取りました。そして、その翌日、私は悟ったのです。私のような初心者幽霊でも、きちんと精的に結ぶついた相手なら、その夢に入り込めると。こんなレイプ男なら、精を搾り取って殺しても、私に僅かにしか残されていない良心は傷みません。

精を搾り取られて判断力が鈍った男は、私にねだられるままにレンタカーでドライブに行き、崖のカーブで、私に視界を塞がれて、自損事故で死んでしまいました。死因のほとんどが幽霊(私)なので、男は輪廻の輪から転げ落ちて幽霊となってしまいます。

この時に知ったのですが、私にはこの男が見えるのに、この男には私が見えないようです。それは、自分が取り殺した相手しか見えないことを意味します。そういえば、私は自分が幽霊になって以来、回りに幽霊が見当たらないのが不思議でしたか、いないのではなく見えないだけなのです。そして、そう思い至ったとき、私は、私を取り殺した幽霊が私の女装訓練を見ていただろうことに気付いて、とても恥ずかしく感じたのです。
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