秘密の小屋創作掲示板

名前
件名
メッセージ
メールアドレス
URL
編集/削除キー (半角英数字のみで4~8文字)
プレビューする (投稿前に、内容をプレビューして確認できます)

アイドルは異性恋愛禁止:4 - 夢喰

2018/08/12 (Sun) 15:18:00

-----------------
アイドルは異性恋愛禁止:4. 女装男子がアイドル候補生なんて誰も思わない
-----------------
夏休みの間に急速に女の子らしい体型になって、急速に可愛らしい女声になって、急速に女の子の動作になって、ブラジャーを着けるようになったミミ君。骨盤が男の子でもキミはすっかり女装趣味の男の娘ね。同級生はその差にびっくりするだろうな。学校の体育の着替えで注目されること間違いなし。そしたら、ブラジャーの跡はもちろんのこと、肋骨が細さ(括れって言ってよいかな)も気付かれるだろうな。ってことはだ、彼がクラスメートから性同一性障害って認定されるのは自然な流れであって、あたしやマネージャー氏の責任じゃないよね。

こうなると、2学期前に髪の毛を男の子のそれに戻すのがもったいなくなる。だから、あたしはチクり娘と計って彼の散髪を養成所の帰りにして貰うことにしたんだ。名目はウイッグの使いやすい髪型を教えてあげるってところ。いや、これ嘘じゃないよ。だって、ロングヘアーのウイッグも使える可愛い髪型って限られて来るし。

養成所の帰りなのでミミ君は当然女装。今じゃブラジャーはデフォルトでスカートの日も多いから、その意味じゃ完全女装。そんな格好で美容院で髪の毛切ったら、どんなに「短く」「ウイッグは使いやすい髪型」って言っても、出来上がりは女の子カットなのよね。ミミ君は出来上がりの髪型をみて「えっと、もっと短く」と言っていたけど、女装しているという自覚と、それをバレたくないという羞恥心で「男の子カット」とは言い出せず、とうとう「短髪のスポーツ少女」の髪型にんました。

美容院を出たあとは少しショックを受けてたみたいだけど、あたしとチクり娘で「男の子にみえるから大丈夫よ」「そんほうが今流行の中性的な美男子だし」とかフォローしてなんとか納得してもらったの。だから、さすがにもう一度男装で床屋に行くってことはなかった。散髪代だって馬鹿にならないし、母親もミミ君のことを性同一性障害かもって疑い始めているし。

2学期になった時のお互いの「学校愚痴」の中身が楽しみだわあ。

- - - - - - - - - - -
2学期になって初めての養成所クラスの日に迎えに行ったら、何故かユニセックスのアウターに、下はタンクトップに近いシルエットのブラトップになっていた。これは学校でなにか言われたな、と思いつつ理由を聞いたら、案の定、同級生の女の子から「先週の○曜の夕方○時ごろ、○○通りを歩いてなかった? 顔が似てたけど、髪も服も違ってたから別人だと思って声を掛けなかったけど」と声を掛けられたそうだ。ははは、バレてるバレている。きっと妹か親戚かも知れないって思ったのだろう。あるいは1学期の末のミミ君の体型から疑念を抱いていたのかもしれない。しかも夏コミでお姉さんとかが女装男子の薄い本とか手に入れていいるかもしれない。そんな時に、今のミミ君の男の娘ぶりを見たら、もしかしてって思うのも当然よね。

もちろんミミ君は「違う」って答えたらしいけど、そんなじゃ疑問は残るよ。それはミミ君も分かっているだろうから、この格好なんだね。でも「下手に養成所に入って行くところを見られたら不味いんじゃないの」って言ったら、あっ、という顔をしていた。まあ、今日だけは回りに気をつければよいか。とりあえず解決案をだしておく
「それより、変装を完璧にしたほうが良いんじゃないの? そのほうが演技の練習にもなるし」
あと定番のサングラスは
「サングラスなんてのは皆に注目を浴びるアイテムだから却って目立つよ」
って脅しておいた。

問題の髪の毛のほうは咎められなかったって。「君、その髪の毛」とまでは言われることも何度かあたったんだけど、その後は「あ、いいよ。清潔感が出ていれば」って言われたらしい。ミミ君は「なんだか、ぎりぎり校則には引っかからなかったみたい」とか言っていたけど、違うと思うね、お姉さんは。

次の養成所の日は、アドバイスのせいか、しっかり化粧をしっかりして、ロングヘアーのウイッグをして、付け睫毛までしているミミ君がいました。うん、そっちの方がいいよ。妹はまた一皮向けて可愛くなって、がお姉さんとしても嬉しいよ。っていうか、はじめからそんな風にしていれば近所の人にも、ミミ君じゃなくて知り合いって思われたかも。だってあたしも毎回来ている訳だし。そう言ったら、いかにも失敗したって顔をして
「あっ、そっかー」
て口に出してたけど、でも、長い目でみたらいつかはバレる訳で、今のように近所の人に徐々に「学校は男子だけど他の外出は女装」
って思わせるようにしたほうが無難じゃないかなあ。そう説得したら、さすが男の子、理詰めだとちゃんと
「確かに、今の方が理想的かも」
って納得してくれた。

- - - - - - - - - - -
その日の行きがけの雑談でももう一つニュースがあった。始業式の翌々日、保健室に行くように言われ、そこでなぜか身体測定を受けて、そのあと悩み事がないか聞かれたらしい。身体測定で春より体重・胸囲とも減っていたから、心労のせいじゃないかって心配されたんだろうと思って「ちょっと色々あってダイエットすることにしたので」と答えたら、納得してくれたって。ははは、ミミ君絶対それ誤解される答え方だよ。

ニュースはまだ続いて、その際に背中の日焼け跡に気付いてるかどうか聞かれて面食らったって。そりゃ聞かれるよ。だって、体重と胸囲を測ったってことは、下着のシャツも脱いでいる筈だから、ブラジャーの跡は完全にバレる筈だもの。っていうか、ミミ君、自覚してるよね? だってミミ君がスポブラ着け始めたのって、あたしが水着の日焼け跡の目立つことを何度も言ったからだからさあ。あ、ちゃんと自覚してるのね。じゃ、なんで面食らうのかな。

聞けば、実は胸囲を測った時は下着のシャツ越しで、そのあと、衝立ての影で体重を量ったみたい。男物のシャツって女物の下着の何倍も重いから、よもや透けて見えているとは思わなかったみたい。そっかそっか。

アイドルは異性恋愛禁止:3 - 夢喰

2018/08/11 (Sat) 22:21:55


-----------------
アイドルは異性恋愛禁止:3. 性がバレてはいけない訓練生
-----------------
こうしてミミ君は2月から養成所の仲間になりました。パチパチ。もちろん、自宅を出るところから女装するようになって(アウターはスポーツ系でウイッグもショートカット系のフード付きだからご近所さん対策は問題ないみたい)、あたしも話は随分と楽になったのです。あ、帰り道は例のチクりっ娘に任せることで手打ちね。でも、行きだけでなく、自由な時にも会えるってのが大きいかな。

ちなみにアンダーは養成所まで行き帰りも女物ね。ブラジャーは使わずキャミかブラトップで、上にもう一枚羽織れば分からないって感じで。それでも、ショーツガードルとか彼はかなり抵抗して、男物のビキニとか履いてくることもあったようだけど、そのたびにあたしが玄関で指摘したから(その為に迎えに行っていた)、1ヶ月で諦めてくれた。だって、罰で履かせるショーツは、ミミ君が自分で選べるショーツよりはるかにフリルとかが多い派手な奴だったからねえ。あと、中学2年になる前の心機一転ってやつもあったかも。

ショーツに慣れさせたあとは、当然ながら下着姿になっても男だとバレないような細工ってことで、もちろん自宅を出るときからして貰う。こっちはもっと抵抗していたけど1ヶ月で諦めてくれた。人って慣れるものだね。そうそう、ウイッグの方は長さを少しだけなら調整できる奴(最近の技術ってすごいよね)、偽尻というか偽腰のほうも(昔から色々な種類はあるけど)技術の発達でとっても皮膚らしいやつを、どっちも養成所で手配してた。

そういうこともあってミミ君って日を追うごとに可愛くなっていく。女物の服の着方だけでなく、スキンケアとか体型矯正とか、歩き方とか。さすが養成所に通うだけのことはあるよ。あたしだって「カワイイ女の子」として観客に魅せるための訓練を受けてきたからわかるな。頭の良いミミ君なら吸収するのも早そうだし。

なんだか妹が開花して行くようで嬉しい。っていうか、あたしは5月生まれだから、1年近く歳がちがうのよね。妹じゃん。あたしの兄貴があたしに協力的なのも、こんな気持ちなのかな。これが本物の女だとお姉さんとしては嫉妬するのかもしれないけど、異性って分かっているからそんな気もしないし。

ミミ君も努力しているみたい。だって今では養成所のないオフにばったりであっても、女物ボトムスから微かに透けるショーツラインは明らかにショーツだし、尻や腰も自然に膨らんでいるから。普段から、下着はもちろんのこと、裸でも男とバレないような処理をして過ごしているんだろうね。

でも、女装を楽しんでいるという感じじゃないか。アイドル訓練生の先輩の目からみると、演技って分かるもの。それを見て、あたしも身を引き締める。あたしだってきっと未だに演技と分かるような可愛さなんだろうなって思っちゃうから。アイドルへの道は険しい。

ところでミミ君、学校はどうしているのかな? 男物の下着を着て、仕草が習い癖で女っぽくなってないかしら。
あ、まだそこまではやっていない。そうですか。
でも、いつかきっと。

悪い道に引き入れたかなあ。

- - - - - - - - - - -
6月になりました。薄着の季節です。ってことは、ブラトップ+薄いアウターになることがあるってことで、移動もホットパンツを使うようになるってこと。バレる危険が高くなる季節だけど、ミミ君のシルエットは、元々が中性的なのを、肋骨を締め、腰や尻を盛ったお陰で、ユニセックスの服でもご近所さん以外は女の子だって思うはず。だからホットパンツ姿のミミ君は、レインコートのフードで頭を隠しても女の子のそれ。実はご近所さんにもバレバレです。

でも大丈夫。2月から今まで、徐々に女の子っぽさを出してきたから、ご近所さんも「女の子になりたい男の子だったのかな」って思ってだろうよ。知らぬは本人ばかりなりだね。

レインコートのフードが暑苦しくなった7月からは、ウイッグを隠すフードなし。はじめはご近所さんに見られるのは恥ずかしいとか言って駄々をこねてたけど
「なに寝ぼけたこといってるのよ。とっくの昔のご近所さんはミミちゃんが女の子の格好をしていることに気付いているんだから」
って目を覚まさせて、お母さんにも応援してもらって、玄関から女の子の髪を晒してもらいました。ご近所さんに会ったけど、びっくりした様子はゼロ。分かりきっていたんだよね。その反応にミミ君は落ち込んでたけど、そんなメンタルじゃアイドルは無理よ。

なので、勢いで2週間後にスカートも履かせてみました。家から出て通りまで2人ほどご近所さんに会ったみたい。本人はうつぶせで歩いていたから分からないだろうけど、ご近所さんの反応は問題なし。ポーカーフェイスかもしれないけど、要するにそういうことだと思う。でもやっぱり恥ずかしいのか、なかなかスカートを履いてくれない。

- - - - - - - - - - -
こうして夏休み。養成所では当然ながら水着撮影で「魅せる」ための講習があります。1回目2回目は室内で。3回目は海で。ミミ君をどうするか、マネージャー氏と相談しました。ミミ君は運動神経ゼロだからアクション系パフォマンス系おバカ系は無理だけど、私立中学に行っているだけあって頭が良いから演技系複雑ダンス系は有望で、有望である以上、バレないのであれば今年から水着デビューをさせたいんだって。

胸は問題ないな。去年の水着講習で同期の同年代の胸を見たけど、水着に完全に包まれて、肌の部分が本当に盛り上がっているのかどうか分からなかったから。13歳ってそんなもんよ。ミミ君の体は去年のあたしよりちょっと小さいぐらいだから、胸は水着で完全に隠せるね。股間もまあ色々隠す方法があるらしい。問題は腰ー尻ラインと、肋骨。

いくら矯正をしているとはいっても、まだ半年にもならないから、無理にアンダーを締めた不自然感が残るのよね。なので水着デビューするならワンピース一択だけど、今の時代にビキニを見せないのはアウト。ってことで、大事をとって、今年はパス。っていうか、水着がないってことはデビューが遅れるってことだから、同期生はライバルが減ったと思って喜ぶ筈だろうって判断もあるみたい。演技クラスとか中途で入って来たのに他を抜いちゃっているから、嫉妬のあまり男の娘だとバレてしまうリスクがあって、それを防ぐ意味もあるみたい。正解だったかな。

でも海行きをハブるのはおかしいので、「見学」という名目でミミ君も海は行くことになりました。あと薄着が多くなるのでウイッグで誤摩化すのが面倒そう+夏なら髪は短いだろうってことで、一学期末に切らなかった髪を女の子カットにしました。秋までに伸び方が足りなかくても、短い髪用のウイッグはあるので、2学期前に髪を切ればよいわけだし。

で、髪の毛が女の子になった以上、夏休みは女の子として過ごすしかないわけで、アウターも完全に女の子らしくしてもらいました。つまりパンツ系、ユニセックス系でも、偽腰など女の子の体型にして貰うってこと。これってちょっと近所への買い物でも女装しなきゃならないわけで、その度に体型補正をし直すのは面倒なのよね。なので髪を切って1週間もしないうちに常時女装になったみたい。男装は寝る時だけかも。あと、声を女の子じゃないといけないってことで、毎日女子声の練習を練習をして貰っています。

もっとも髪の毛の件は誤解もあるのよねえ。だって女の子カットでも、アレンジの仕方次第で男の子でもおかしくない髪型は可能だから。だって、もともと男の子カットだったのを切りそろえたのだから、女の子にしては短いのだもの。でも、そんなことを教えるう必要はないし。

- - - - - - - - - - -
で、いよいよ海撮影の当日です。見学とはいえ、一応、ホットパンツと薄地のトップスの下には、ビキニを付けてもらっています。もしかして、これってミミ君のブラジャーデビューかも。恥ずかしそうにしていたのはそのためか。その割には、素直に着て来たなって思ったら、そういや、3週間前から「水着デビューを阻止するように頑張っているから」「協力しないなら、むりやり水着撮影させるから」って脅してたな。ははは忘れてた。

海辺って日差しが強いわけで、薄地のトップスぐらいでは、その下は日焼けするのよね。しかもトップスをしている安心感から、紫外線クリームをつけ忘れる。そんなミミ君の上半身には見事のブラジャーの跡が残りました。本人はまだ気付いていないみたいだけど。だって気付きにくい位置にあるから。姿見で裸で後ろ姿を見なきゃ分からないだろうな。

一ヶ月で消えるのかな? それはもったいないな。だって、これからはブラジャーにも慣れてもらわなきゃならないもの。だってさあ、薄いアウターを着ている時は「暑いから」って理由で、ブラトップじゃなくて、薄地のキャミを着ようとするのだもの。女の子は、あの暑いブラを毎日してるのよ。贅沢言うんじゃないの。

だいたい、暑かったらキャミのかわりブラジャーだけ着けて、その上に薄地のアウターを着るのが正しいのよ。あるいはブラトップだけでアウターを羽織らないとか。それって女装アイドルになる訓練でもあるのよ。もう。

だから、夏休みだけでも薄地トップスとブラジャーの組み合わせをやってもらおうと思ったけど、本人にはその覚悟がまだ出来てないみたい。もどかしいなあ。だって、ご近所さんはミミ君のことを性同一性障害か女装趣味か、そんな感じの男の娘っていう目で既に見ているの。もっとも、そうは分かっていても、ブラジャーをしているところを見るのと見ないのとでは、ご近所さんの理解度が違って来るんだけどね。スカートデビューは済ましているのだから、問題ない筈だけどなあ。

プランBとして、プライベートに海に誘いました。あ、チクり娘との共同作戦ね。マネージャー氏のバックアップ(足)付き。要するにミミ君が男の子であるという事を知っている者だけの海です。海行きは、ミミ君にとってはあたし達「アイドル候補生」に外で会うってことだから、女装が前提で、水着も女装。そう、ついにビキニデビューなのです。せっかく買った水着がもったいないでしょ? それに尻を膨らませる人工皮膚というか偽尻というか、そういうグッズのテストって意味もあったみたいだし。こっちは養成所の提供。

はじめは恥ずかしそうにしていたミミ君だけど、水の中で尻を隠したとたん、バレる心配がなくなって急に活動的になりました。やっぱり男の子ね。水で遊ぶのは好きだったみたい。そして、その様子をみて、胸の方はバレないと思っていることも分かりました。その結果、ミミ君にはブラジャーの跡が見事に残ってます。

- - - - - - - - - - -
マネージャー氏が頭を抱えてる。
「これじゃ学校でバレてしまうよな」
言われてみればそうだけど、でもさあ、ミミ君が女装していること自体は広まっても構わないんじゃないの。だって、学校じゃ男子服なわけで、もしもテレビとかでちょこっと出てもメイクアップとかで全然分からなくなると思うんだ。そんな風に話したら、さすがマネージャー氏
「よし、方針が決まった。今後はミミちゃんは普段も女の子になってもらおう。君たちと会うのも今まで通りで大丈夫だろう」
ってすっきりした顔をしている。あ、もしかして学校バレはミミ君に悪いって思ってたのかな。

でも、話を良く聞くと、女の子になるって、「性同一性障害」を演じてもらうってことだった。つまり、ときめく対象も男の子っていうこと。演ずるだけだけとはいえ、人権問題とかもあるから、デビューまでにしっかり話を付けないといけないらしい。今の段階でミミ君に直接説得するのは難しいけど、デビューを1年後とすれば、不可能では無いだろうとのことで、もちろん、その為にはあたしやチクり娘の協力が必要らしい。この道に引き入れた責任を感じるし、あたしのデビューにも関係するから協力にはやぶさかではないけど、ちょっと良心が傷むなあ。

とりあえず、ブラジャーに慣れさせることから始めることに。だから海のあと「ブラジャーの跡が透けて見える」「ブラジャーの跡があるのにノーブラで薄地のアウターを着たら、痴女って思われる」っ説得して、ブラジャーを常時着させるのに成功しました。スポブラだけど、だからこそ、ブラジャーなしでは恥ずかしいって思わせるのに良いみたい。ハードタイプなので肋骨を締め続ける効果もあるし。一種の洗脳よね。でも、そんな姿を見たご近所さんが当たり前の顔をしていたのにミミ君が気付いた時は、何度目かのにショックを受けていたみたいだけど。

ブラジャーの効果で、スカートにも抵抗がなくなったみたいで、「腰のラインを隠すスカートほうが男バレを防ぐ」て言ったら、喜んでスカートをするようになった。髪の毛だって女の子カットだし、腰ラインで男ってバレる方が恥ずかしいものね。もちろん、今のミミ君の偽尻偽腰技術なら、パンツ系どころかタイツみたいなぴっちり系でもバレないと思うけど。でも、スカートはいい。だって、下着が見えない歩き方、意識するんだよね。それが無意識にできるようになったら、女の子の歩きかた、女の子の座り方合格ってことで。

それにしても、ブラジャーのサイズに全然問題なかったのは驚いたなあ。65AAって、アンダー65ってことよ。それよりちょっと下の、肋骨の一番細いところが60センチってことよ。学生ズボンの市販品は一番細いサイズですら胴囲61センチなのよね。そのサイズよりも恐らくミミ君は細い。中学2年だっちゅうのに。

この半年、ミミ君がしっかり肋骨を締めてきたことがわかるわあ。とはいえ、まだ普通の女の子ほどには下すぼりじゃないから、上の方は普通の女の子よりも細い訳で、胸囲というか脇下はあたし達より細い。背も少し伸びたとはいえ、まだあたしが勝っているし。要するにあたしより小柄の「可愛い妹」なのです。

肋骨が細くなったせいか、地声が女声に近づいている気がする。男の声が低くて太いのは肋骨のせいで、肋骨の下が角笛のように細くなっていたら声が軽く高くなるのは当然なのよね。木琴鉄琴のパイプが短いほど音が高く、パイプの直径が短いほど音が軽くなるのとおなじで。喉仏はそれを強調するだけで、あまり重要じゃないの。そんな素地のなかで毎日女子声の練習をしてたら、一気に女声が板につくよね。しかも可愛いアイドル声が。この勢いで上手くなられたら、体格のよりよいあたしより可愛い声を出すようになるかも。

アイドルは異性恋愛禁止:1 & 2 - 夢喰

2018/08/11 (Sat) 21:48:19

-----------------
アイドルは異性恋愛禁止:1. スカウトされたら恋愛禁止だった
-----------------

アイドルの養成部門にスカウトされた。

うんうん、あたしなら当然ね。クラスでも3本の指には入る自信があるし。あたしに気のある感じの男の子も数人いるし。ファン以上、片思い以下ってやつ。

そりゃ、格好いい兄貴のいるあたしには、みんな幼稚すぎて、誰とも付き合う気にもなれないけど、便利君として使って上げてはいるから、君たちのガキっぽい気持ちなんか筒抜けよ。

そんなあたしは、アイドルにスカウトされて当たり前。だからスカウトに出会う出会わないは偶然だって思って、売り込むなんてハシタナイことはしなかったの。それって自分を安売りしてるようなものだもの。

でもやっぱ、実際にスカウトされると嬉しい。だって、もう11歳だよ。来年には中学生にあがるんだよ。あたしの美しさと可愛さなら2〜3年前には声がかかるって思ってたのに、こんなに遅くなるなんて。だから、街でスカウトされた時、悩む振りをしても、アイドルになることは決めてたんだ。

でも、意地はって小学3〜4年の時に売り込まなかったのは損したかも。だって、スカウトって「応募するように説得される」行為ってことで、結局は自分から売り込むのと同じだし、よしんば面接(あ、その場にもスカウトのオッサンはいたんだけどさあ)で通っても、あたしより技能も頭劣る連中が先輩面して、顔が同じぐらいっていう理由だけでデビュー待ちの先順にいるんだから。

で、一回目の顔合わせというか、面接の時に言われたのが、恋愛禁止ってこと。うわ、すっかり忘れてた。中学に入ったら、今の同級生みたいな餓鬼ばっかりでなく、ちゃんとした男の子がいるだろうにって期待してたから。ああ、でも今はいないんだからいいか。彼氏候補が見つかったら、その時考えようっと。

- - - - - - - - - - -
養成学校って、頭の悪い子ばっかり。みんな、教えられたことは出来るけど、アドリブ力がないんだもの。だからあたしみたいに、想像力のある人間って直ぐに頭角をあらわすみたい。しかも指導者の要求するアクションとかで意図の分からないところは兄貴に聞けば男の子の視点できちんと解説してくれる。だから、3ヶ月で明らかな差がついちゃった。たとえば練習させられる歌が他の子より多かったり、合同稽古で、台詞と表情の組み合わせが一番難しい役を指名されたり、色々と。ハイライトは5ヶ月目、どさ回りレベルの舞台の端っこだけど、それに出させてもらった。もちろん同期の誰よりも早いし、聞けば、半年前の組でも、まだ半分しかその手の機会がないんだって。でも、よくよく聞くと、次の募集組への宣伝にするとか。たしかに「前回の募集の組の中から、その前の訓練生の順番を飛び越してデビューした小学生がいます」なんてやれば養成学校の印象もよくなるよなあ。

でも、そうなると、同性の嫉妬がすごくて大変なわけ。だって、それをなだめる方法が女のあたしにはないんだから。嫉妬をなだめることが出来るのは異性だけ。ラノベなんかの百合っぽい話で、可愛い女の子が同性の女の子の嫉妬をなだめるなんて話があるけど嘘っぱちも良いところよ。女の子の「可愛い」ってのが効くのは、男一般と、ずっと年上のお姉さん(年増のおばさんはきっと駄目)、年下のチビっ娘だけで、同年代の女の子に対しては逆効果しかないんだから。どんなに下手に出ようが逆に女王のように超然としようが、養成学校にはいってくるような「とくに嫉妬心の強い」女の子たちは懐柔できないの。

でも、指導者の言うには、嫉妬からのトラブルを防止するのもアイドルの仕事に一つだって。頭角を現すほどに増える練習ノルマとあいまって、小学校卒業前も中学の1学期も学校のクラスメートとか男友達とかを考える暇なんてなくて、いつしか夏休み。小学の同級生の誰がどこの中学に行ったという情報とか、中学の人気先輩情報とか、キープしても悪くないクラスメート男子とか全然知らないまま。

そんなだから、去年まであたしへのアプローチというか忠犬度というか、それが一番高かったミミ君(3月30日生まれだからミミオって名前だって)とかアキ君とかユウ君の姿がないことにずっと気付かなかった。なんだか便利君が減ったなあって思った程度。で、その彼らを思い出したのは、夏休みにばったりミミ君と街で出会ったから。糞真面目にも制服で、それも有名私学だったから、声をかけられるまで分からなかったけど。

久しぶりなので話をしたんだ。飲み物のスポンサーはミミ君のお母さん。そのまま、おばさんはこれ幸いと買い物に行っちゃった。店内を見ると、男の人たちがガキと荷物の番をしているから、要するにそういう場所で、男の子と2人きりになっても、同じ避難民と思われるだけ。中には私がマセた姉妹と思ってる大人も多いと思う。とりあえず、異性との接触っていう噂にはならないよね。

それにしても彼は嬉しそうだなあ、って、そういや彼もあたしに色目を使っていた取り巻きだったんだ。悪い悪い。話しやすさばかりが記憶にのこって、どうでもよい情報は忘れてしまうのよ。どんなに頭が良くても、その運動神経の無さと貧相な体じゃあ、男としての記憶は残らないからね。だって、身体測定で胸囲が男子で一番小さぐらいに華奢な体だったし、50mダッシュで肥満児の子にも負けたばかりかクラスの女子の大半にも負けてたし。

今だって彼女無しだろうなあ。ただでさえ、体のスペックが低い上に、中一って、女子は同級生より先輩に憧れ始める時期だし、唯一の取り柄の頭も、私学じゃあたりまえだろうし。

いやいや、それは小学校での話、今は少しはマシかもしれないと、憐憫を持って彼を見直しても、華奢な体は全然華奢なまま。きっと球技は今も駄目なんだろうな。あたしみたいに、公立にしとけば、まだ一芸でどうにかなったんだろうけど。あっ、でも、その身体スペックじゃあ、公立中じゃ虐められるかも。

そんな彼だけど、ちょっと話をしただけで、クラスでは一番気楽に話せた男の子だった感覚を思い出した。だって頭が良くて、あたしが何を言っても大抵理解してくれたから。今日もそう。クラスの子では理解してもらえないことも分かってくれるし。そればっかりじゃない。他校ということで学校内の愚痴も言えるし、同性からの嫉妬などへの愚痴も言える。

そのついでに、あたしが私立に行かなかった理由もいつの間にか話してた。私学だと、どうせ美人が集まってちやほやされないとか、そもそもアイドル養成で金食い虫だとか、「私学に移る必要があるぐらいに有名になる」ってのも目標のひとつだからだとか。

アイドル養成に行っているのは実はまだ秘密なんだ。だってデビューできずに終わる子も多い訳で、デビューできなかったら、あたしの容姿に嫉妬しているような女子クラスメートから大げさに馬鹿にされるの決まってるもの。まだ1年足らずじゃ、いくら出世頭でも、どさ回りレベルの隅っこの、たまたまマイナー局の放映が会った所で、映るかどうか分からない場所。テレビデビューまではまだまだ遠いの。

だから知っているのは担任と学年主任ぐらい。でも、ミミ君はよその学校で、しかもあたしに未だに好意を持っているのが見え見えだから、秘密は絶対守って売れるでしょ。そんな意味じゃあ、彼って丁度よい愚痴相手? 便利だって思っちゃった。でも、それってアイドル事務所からは交際ってことになるのか。やだなあ。ま、とりあえず連絡策だけは交換しておこうっと。

そして2学期。運動会の準備で女子同士で駄弁っていると、もう話の4割は他人の「付き合っている」情報。そんな話ばかり聞いていると、見栄でも彼氏が欲しいなあと思ってしまう。何たって、あたしは「モテる」女の子なんだから。アイドル恋愛禁止条項の抜け道ないかなあ。でも、クラスメートは駄目で、同じ学校も駄目よね。どんなにこっそり付き合ってもバレちゃうし。

あと、切実な話、愚痴を言える友達は欲しい。愚痴相手だから、女友達は全部駄目。アイドル養成学校でいろんな物語や実例を頭に叩き込まれたけど、その結論はあたしの結論と同じで、要するに女の「親友」は恋バナでは信用するなってこと。

となると、思い出したのがミミ君。彼氏にはほど遠いけど、愚痴相手には便利。夏に会ったあとに噂にならなかったから、あの場所で会う限り大丈夫かもと思ったりもする。だから連絡を取ったんだ。というか彼からは週一ぐらいでメールが来るから、それに返事しただけだけど、直ぐに同じ場所で「偶然」出会うことになりました。

----------------
アイドルは異性恋愛禁止:2. 同性の嫉妬って怖い。そのしわよせは彼に
-----------------

ミミ君とは9月と10月に会ったんだけど、その2回目をアイドル訓練所の同期生に見つかって、チクられた。これだから同性の嫉妬っていやなのよね。

マネージャーに呼び出されて、何の用事かな、また訓練が増えるのかなって思いながら行ったら、いきなり
「男の子と会ってたでしょ」
って言われたものだから、しどろもどろで
「だって**ちゃん(とっさの判断で『ちゃん』で呼んだ)って、とっても華奢で運動ゼロで、全然男の子(異性って意味)って感じがしなかったから」
と、模範解答からほど遠い答えをしちゃった。あ、この答えは駄目だ、ってクビの危機を一瞬感じたんだけど、幸い、まだ訓練生ってことで
「はいはい、言い訳は良いから、今後は気をつけて。あ、連絡も事務連絡以外は駄目だよ。相手の携帯の履歴を誰かに見られるとかで、他人にバレる可能性があるからね」
という注意で済んで、とりあえず大事にはならずほっと一息。瞬間、現実逃避に「アドリブ力な足りないな」なんて思ったり。

でもちょっと困っちゃった。だって、彼以外に愚痴をこぼすのに良い相手っていないし、次に会う約束もしているし。とりあえずメールで今日の経緯だけは知らせておかなきゃ不味いよね。男の子とは会えない、っていうと、まるで人気アイドルみたいで、デビューすらしかなったら恥ずかしいんだけど。

っていうか、会えないってのも建前で、見つからなければ良いのよね。見つからないような場所(全然違う街とか)で会うとか、変装して会うとか。 

見つかってもチクられなければ良いのよね。羨ましいと思われないとか。相談のボランティアなのかな、とか。あ、嫉妬対策もアイドル訓練の一つってこういうこと? でも、でもミミ君なんか、まさに男の子って感じじゃなくって、羨ましがられるはずはないけどなあ。ああ、あの制服。そっか、容姿や運動能力じゃなく、単にエリート校の生徒と会っていると思われたからチクられたんだ。 

そんなことを考えつつメールを出したから、ついつい「男の子っていうか、男の子って分かる中学生とは会ってはいけなくなった」と書いた勢いで「あ、だから女の子に見えれば良いのかも?」
と続いて書いてしまった。送信して、うわ、恥ずかしいこと言っちゃった。腐女子認定されそうで怖い。

でも、ひょうたんから駒ってのはこういうことを言うんだね。真面目ちゃんの彼は、私のメッセージを「辛いから会いたい」と取ったらしく翌日になって「女装って、どうやって?」という具体的指示を伺ってきたんだ。

そこからは、まあ、勢いというかなんというか。とにかく、流れをぶった切ったら全てがゼロになるという不安で色々指導しちゃった。あたしのお古やウイッグを渡す手だてとか(街でばったり出会って、私がかばんを置き忘れるという流れね)、彼が女装に着替える場所の提案とか(多目的トイレとか)、家での試着の自撮り写真があまりに酷いので指導する羽目になったとか。

- - - - - - - - - - -
いろいろあったのだけど、とにかく彼との「デート=愚痴聞き大会」は約束の11月にできて、あたしも嬉しいし彼も嬉しそう。あたしだって彼の愚痴も聞いてあげているからおあいこね。私学に入って、得意の勉強すら他人と大差ないと気付いて、自分の「特別感」が打ちのめされているらしい。うんうん。わかる。あたしだって、今の公立ですら一番の美人だとは思ってないもの。それを補うのが「アイドル能力」なの。

それにしても、あたしのお古が使える体つきってなによ。ほんとうに男の子とは思えないのねえ。ウイッグだけで女の子に見えちゃうんだもの。ウイッグとスカートの組み合わせだと、女の子「にしか」見えないのだもの。

とは言っても、やっぱり男の子で、胸囲っていうか肋骨の上の方はあたしよりはるかに小さいのに、その下はウエストに繋がるところはあたしより太くて、まさかあたしの2年前のスカートが入らないとは思わなかった。だから、試着の自撮り写真を使っての指導が始まったんだけど(彼の「きついけど大丈夫?」というメールから始まったんだよ)、女装に違和感のない体つきと、女装が自然にできる体つきって違うのねえって、思っちゃった。

2年前のあたしのスカート、ミミ君なら履こうと思えば履ける。でも、それは肋骨と骨盤の間の骨の無い所でホックをとめた場合で、それだとウエストが低すぎて、みっともない感じで目立つのよね。ミミ君の女装は、あたし達の「愚痴デート」が目立たないようにするためだから、地味で目立たない女の子じゃないと駄目なの。しょうがないので、昨年のスカートのうち、この秋にまだ使わず、今後もきっと使わないだろうな、って思った奴を渡すことにした。ついでにスカートに吊り紐を付けて、吊りスカートに改造。肋骨をゴムひもか何かで締めてもらえば完璧なはず。ミミ君には履く時に尻を少し膨らませてもらおうっと。

その成果が目の前にある。まだ声変わりもしていないみたいで、横隔膜を無理やり締めているせいか、その声もボーイソプラノほどに太くなく、ますます女の子に近い。これならばっちりね。ああ、でも、これから第二次性徴がはじまるんだっけ? 肩幅が広くなったら駄目よねえ。喉仏が出ても駄目よねえ。まあ、仕方ないのだけど、会って話すのを他人にみられても分からない程度にはごまかせると思う。

それはそうと、色々改善点あり。だって下に短パン履いているのは透けてわかるんだもの。せめてスパッツにしなさい。それがだめならブリーフ。あと、お尻。前は上手く隠したつもりだけど、横からみると、後ろの尻の膨らみと前の膨らみ(隠したって膨らむんだね、知らなかった)のバランスが悪い。前もって注意はしたけど、自撮写真でそこまでは分からなくて、彼に任せたらこの有様。なので、しっかりと尻パッド、っていうかお古のパンストの付け方を教えておいた。となったらやっぱり下はスパッツね。

あと、あたしからお土産。お母さんのガードルのお古の太腿のところを切った奴。これ、輪ゴムより幅広で、輪ゴムより薄くて、しかも口径が大きいから、何かを留めるのに便利なのよ。大切なものを梱包用のプチプチシートに包む時とか、輪ゴムじゃ強度が足りない時とか、いろいろ。だから肋骨を締めるのに試してみてね(ハート)。

その後、2回目、3回目とミミ君の女装は上達して、なんと、3度目は2年前の「ウエストの細すぎる」スカートも無難に履いて来てくれました。スパッツの代わりにレギンスだし。あたしのお古だけど、下着じゃないから恥ずかしくないし。うん、彼なら恥ずかしくないな。

- - - - - - - - - - -
同性の嫉妬って怖い。だってあたしと会った女装のミミ君を尾行して、なんと男装に着替えるところを調べられて、それをまたしてもチクられたんだから。女装の彼に会ったのは、まだ3回なのに。で、今日はマネージャーさんからの呼び出し。
「この子、前に会っていた男の子だろ?」

ふふふ、前回と違ってこっちも対策済みなのよ。
「妹って聞いていたけど違うの?」
とびっくした様子を見せる。マネージャー氏が一瞬きょとんとして
「ふわっふわっふわっ」
と笑い出した。成功? うんうん、この1年間のアイドル訓練で演技力には自信があるのだ。

あ、でもマネージャー氏、悪い顔をしている。
「ちょっと彼を女装した格好でつれて来てもらえない?」
は? 詳しく聞くと、女装が似合っているし、愚痴の聞き役はいた方がいいし、この際、女の子としてチームに加えようと思ってるらしい。

半年後に本音を聞く機会があったけど、チクられた当時、相手が女装して、しかもこっちはまだ人気アイドルでもなんでもないんだから全然問題なかったんだっって。そして、クチった子の説明によると、人目で男ってわからなかったみたいだったので、その歳で女装が上手いのは面白そうと思って会ってみることにしたとか。悪い顔してたはずだわあ。

んで、ミミ君をチームの下っ端に入れる件に関しては、着替えの場所だけ気をつければ良いみたい。着替えの必要が本格化する1年後までにクリアする条件は、彼が着替えるところを他の女の子が見ても気付かないようにすることと、私以外の女の子の着替えの場に居合わせないようにすること。そしてそれはマネージャーさんによれば可能だろうとのこと。(もしも使い物になりそうなら)チクった子とユニットを組ませると含ませることで、そっちも対策するんだって。チームメンバーってことだと秘密を守る立場になるし、あたしから名目上とはいえ彼氏を奪えて自尊心を満たして嫉妬による妨害は今後なくなるだろうかた。純真なミミ君だって、あたし以外の女の子と親密になれてハッピーで、しかも2人いると監視というか辞めにくくなるというか。なるほどなあ。

とりあえずミミ君にどう話を持ち込むかだけど、マネージャー氏の言うには「マネージャー氏が会ってみたい」「こそこそしなくてもあたしに会えるように計らうらしい」という、嘘にギリギリならない言い方で誘えとのことで、次の「デート」にマネージャー氏が来る了解を取り付ければ良いらしい。確かに、これなら彼も乗るよね。

- - - - - - - - - - -
いよいよ当日になったんんだけど、そのまあ引き合わせたんじゃ面白くないってことでひと芝居打つことになっちゃった。マネージャー氏が「親戚の叔父さん」を装って、たまたまあたし達にばったり出会ったってことにして、その際にあたしがアキ君を「友達の妹」として紹介する流れ。アキ君は、直後にくるはずのマネージャー氏とかち合うことを怖れて、きっと混乱するだろうけど、その時の反応を見れば、最高の面接試験になるとか。ブラックだああ。

で、マネージャー氏のターン。
「初めまして。さすがチイちゃん(あ、あたし千佳っていうんでチイちゃん呼び)の知り合いだけあって可愛いね。5年生? 6年生? それともまさか4年生?」
うわあ。確かに女の子なら6年生より5年生に近いかもねえ。男の子としても6年生の真ん中下ぐらいだから。ミミ君は早生まれの中でもチビだものなあ。
「あ、初めまして。田中ミミです。えっと(間があって)これでも6年生です」
えらい偉い、友達の妹っていうあたしの説明で、中一って言うのを避けたんだね。でも、これであたしの年下=下僕決定ね。ふふふ。

10分ぐらいおしゃべりをして、
「じゃあ、チイちゃん、そろそろ移動しようっか」
とマネージャー氏が切り出したところでミミ君はまたしても????な状態。いいねえ。とりあえずあたしがミミ君に「この人、親戚ってのは嘘で、実はうちのマネージャー。ほら、話してたでしょ?」
と説明してやっと納得してくれたのでした。

そのままデート場所からマネージャー氏の車で事務所まで移動しました。そこでようやく本題、マネージャー氏によるミミ君スカウト作戦。あたし達のチームへの参加を目指して訓練生になるって話ね。正式な公募面接(半年に一度、あたしが受けた奴)まで3ヶ月以上あるけど、この手の途中参加(最近の組は2ヶ月前に始まったばかり)は、あたしの組にもいたし。養成所って飛び級だってあるところだからね。

スカウト作戦はもちろん大成功。だってマネージャー氏の口説き文句が凄いのなんの。女装なんていう、普通だったらあり得ないような話も、その気になっておかしくない説得で、そこにあたしまで説得に加わるんだから、あたしに気のあるミミ君が迷わないはずが無い。最後は恥ずかしそうにしながらも、現状打破の切っ掛けとして乗ってくれることになったんだ。

うん、とってもよい現状打破よ。そう、あたしは思ったけど、マネージャー氏に言わせると、潜在的な女装体験願望(コスプレ願望に毛が生えたやつで、常時女装願望とは全然違うらしい)があるのだろうって。どうかなあ。

そのあと、母親(養育費付きの離婚母子家庭だっても知らなかった)のほうの説得もあたしとマネージャー氏の方からして、OK。母子家庭だけど毎年100万円余分にかかる私学に行っていることからも分かるように、元夫からの補助が大きいんで、アイドル養成所のコースの一部の月謝くらいはなんとかなるみたい。とはいっても、あたしが初年度に参加した4クラスの半分の2クラスしか参加できないけど。

YRS遺伝子 - 夢喰

2018/07/15 (Sun) 16:21:58

雌雄同体の生物(魚など)ではメスの数の方が圧倒的に多い。哺乳類でも適齢期はオスどおしの戦いで勝ったものだけが子孫を作る権利を持つ。例えば野生ニホンザルだが、その群れではオスの大半が「下積み」として、群れ周辺部に配置され、メスの占める中心部には入って行けない。そしてオスの上位の4〜5匹だけがメスと交尾する権利を持つ。だから下積みオスの半数は、その群れでの人生=交尾に可能性を諦めて、ヒトリザルとなり、メスの浮気の可能性を求めて複数の群れをこっそり追う。

人間だって同じだ。太古より戦争等で男は数を減らしたから、適齢期は圧倒的に女余りだった。近代でも、現代医療の発達以前は男児のほうが死にやすく、やはり適齢期はやや女余りだった。

もしもこれが自然淘汰の摂理なら、次の疑問が出てくるだろう。人間が現代に至るまで男どおしで殺し合っていたのは、生物学的には女余りの状態を作るための行為なのではあるまいか? 平和でかつ人間らしい生活を選べる世界を作るには、出生率の段階から女余りの状態を実現するのが最適なのではあるまいか? そう俺たちは思ったのだ。俺たちとは「彼女なし」「新人退職」の仲間だ。

現に、豊かな筈の近代社会ですら、戦争やテロ、生存競争という形で男どおして戦い続け、無理やり勝ち組と負け組を作ろうとする。それだけならまだしも、企業はこの生存競争心理を上手くあやつり、「この劣悪労働環境を我慢した俺たちが、我慢出来きずに辞めた落ちこぼれを下にみるのは当たり前だ」という洗脳を通してブッラクな労働環境があたり前となっている。

だから俺たちは、遺伝子レベルで女の出所率をあげる方法を考えた。その結果、染色体(SRY遺伝子)をキャンセルするような改良X染色体=X'(SRY遺伝子の発現を抑える、言うなればYRS遺伝子)が人類に行き渡ればよいという結論に達した。つまり、XYが男であるのに対し、X'Yは女になるという訳だ。その場合の子供はどうなるか?

XYとXXの親から生まれる子供の男女比は1:1だが
XYとXX'の親から生まれる子供はXX(女)、XX'(女)、XY(男)、X'Y(女)となって男女比が1:3となり
XYとX'X'の親から生まれる子供となるとXX'もX'Yもどちらも女で男女比は0:1となる。

また母親としてX'Yもありうるので、その場合
XYとX'Yの親から生まれる子供はXX'(女)、XY(男)、X'Y(女)のみでYYは成長出来ずに流産となるから、男女比は1:2だ。

問題は、どうやってX'染色体を増やすか。ヒトゲノム編集の技術を使って体外受精の際に卵子にYRS遺伝子を付加するにしても、今のところは倫理的に認められない。こっそり行なったところで、どこかの段階で摘発されて止まるだろう。たとい「より魅力的な女性の体」を作るという商業目的が認められるようになったとしても(米国と中国で真っ先に認可はされるだろうが)、その場合、女体を魅力的にする遺伝子とどう抱き合わせるかという技術的な問題がある。

となれば、もともと少数だった遺伝子が、世代を超えて増えて行くシステムが必要だ。例えば、XXの女よりXX'の女の方が男にとって魅力的な体でかつ多産になれば、世代を追うごとにX'染色体が増えるだろう。そういう女体とは、スラリとしているのに安産型という、西洋美人の体型だ。それは性染色体が決めるのではなく15番染色体などの一般の染色体で決まる。そこに最も魅力的な骨格を作る遺伝子を卵子のヒトゲノム編集の際にのせ、かつ、その魅力遺伝子が減数分裂の際の染色体ペア決定の際にX'が組合わさるよう、化学的性質を乗せられれば、それにこしたことは無い。他には、減数分裂の際にX'がXよりも卵子として選ばれやすいようにする化学的性質をYRS遺伝子に乗せることも案としてはある。

いずれも難題で、それを完成したころは、俺たち「マトモな女と結婚出来なかった」組は年を取りすぎていた。だから、まだヒトゲノムこそ認められてはいなかったものの、体外受精は多かったので、我々は実行した。法律違反として罰せられたとしても、老後に生きながらえる気力は薄かったのだ。福島事故で高齢者が放射能の危険を顧みずに現地で頑張ったのと同じ感覚と思う。

時間不足もあり、我々のYRS遺伝子(X'染色体)は完璧ではなかった。それは、生まれてくる子供に「性器だけ」男だった子が半数近くいたことだ。残りはもちろん女の子。

生まれてくる子供の骨格は女の子のそれだった。骨格の男女差は第二次性徴からと誤解されているが、実際には男児と女児でも全然違う。既に肋骨の違いや骨盤の違いは、この段階で始まっている。だからこそ、遺跡等の人骨から子供の男女も分かるし、女児の声と男児の声も異なる。違いが大人に比べて小さいだけのこと。

それは、俺たちの作ったYRS遺伝子が、少なくとも下垂体など性器以外の性ホルモンを分泌する場所では、SRY遺伝子の役目を完全に抑えていたことを示している。ただ、性器だけが生き残ったのだ。結果として生まれた女児体格の男児は第二次性徴が遅れて、その分、女児体型が中学卒業まで続いた。それはもう、男子の制服が似合わないほどに。


漫画だけの世界にしか存在しなかった「理想の男の娘」はこうして生まれた。もちろん女装率も圧倒的に高い。なんせ筋力などは「か弱い女の子」以下なのだ。

しかし、問題も残った。それは女の子の改造が失敗に終わったことだ。それでは、女の比率をじわじわ増やすという当初の目的は果たせない。というのも

父親が普通の男の場合
XYとXXの親から生まれる子供はXX(女)とXY(男)
XYとXX'の親から生まれる子供はXX(女)、XX'(女)、XY(男)、X'Y(男の娘)
XYとX'X'の親から生まれる子供はXX'(女)とX'Y(男の娘)

父親が男の娘の場合
X'YとXXの親から生まれる子供はXX'(女)とXY(男)
X'YとXX'の親から生まれる子供はXX'(女)、X'X'(女)、XY(男)、X'Y(男の娘)
X'YとX'X'の親から生まれる子供はX'X'(女)とX'Y(男の娘)

で、もしも男の方が男の娘よりモテたら、X'染色体は次第に減ってしまうからだ。これは不味い。少なくともXX'の女の子の方がXXの女の子よりも出産率が高くなければならない。だが我々は斬新な研究開発をするには歳を取りすぎた。当初の路線から外れても、今の技術から可能な方法はないのか?

そこで解禁したしたのが、始めに思いついた悪魔の手法だ。それは、体型を司る染色体(ここではTとしておこう)の上にSRY遺伝子の発現を抑えるYRS遺伝子を載せるというものだ。魅力的な女性体型を作る遺伝子が、同時にSRY遺伝子の発現を抑えるようにするという訳だ。これを載せた染色体を仮にT'とすると、

XY + TT' は男の娘(本当は女の子になって欲しかったが性器をキャンセルできなかったので)
XX + TT' は魅力的な女
XX + TT は普通の女

となる。この場合の子供はどうなるか?

父親が普通の男の場合、
TTの母親から生まれる子供は男女ともTT。
TT'の母親から生まれる子供は男女ともTTとTT'が半々で男女とも「普通」な確率は1/2。
T'T'の母親から生まれる子供は男女ともTT'。
つまり、TT'の母親から生まれた女の子がTT'である確率は半分で、TT'がTTより婚姻率・出生率が高ければ、しだいにT'が増える。

父親がTT'型の男の娘の場合、
TTの母親から生まれる子供は、男女ともTTとTT'が半々で男女とも「普通」な確率は1/2。
TT'の母親から生まれる子供は、男女ともTT:TT':T'T'が1:2:1で男女とも「普通」な確率は1/4。
T'T'の母親から生まれる子供は男女ともTT'とT'T'が半々でいずれもT'を含む。

父親がT'T'型の男の娘の場合
TTの母親から生まれる子供は、女の子はTT'(魅力的)で男の子はTT。
TT'の母親から生まれる子供は、女の子はTT'かT'T'でいずれも(魅力的)、男の子はTTとTT'が半々。
T'T'の母親から生まれる子供は男女ともT'T'。
要するに、母親よりもT'保有率が高くなる。

悪魔の手法として当初忌避したのは、T'のYRS遺伝子がSRYを完全にキャンセルしたら男の娘でなく女が生まれるはずで、そうなると最終的に男が絶滅して子供が作れなくなるかも知れないと危惧したからだ。というのも、T'因子の多い女の方が結婚率・出産率が高かったら、1000年後ぐらいはTが駆逐されるだろうからだ。もっとも、それは未来の話。その頃には危惧を覚えた人類は、我々のように、遺伝子を操作することを考えるだろうが、悪魔の遺伝子であることには変わりない。

T'がYを上書きして女性体型を具現化する場合だと、T'の駆逐は男っぽい男が駆逐を意味し、男の娘しかいない世界となる。そちらは恐らく認められるのではあるまいか。しかも、男の娘は女装率どころか、性転換率も高くなる筈で、結婚しにくいだろうから、問題が全くないとも言えないだろうが。

YRS遺伝子は既に放たれた。男の娘は既に生まれている。それどころか、女装も男の娘も市民権を得ている。これは必然なのだ。

子役転生(あらすじ) - 夢喰

2018/04/02 (Mon) 23:29:08

何度も修正追加をしそうなので、アイデアだけだけとこちらに

----------

転生前「美少女ものをこっそり二次創作するぐらいのコアな隠れファン」である、表向き正義感の強い20歳前半
生まれ変わったら、3歳ぐらいから「夢」で前世を思い出す、事実上の睡眠英才教育。

そして4歳後半。古くなって改築が予定されているスタジオの訪問客向けコース訪問で「子供にしか通れない足下通気口」「ちょっと崩れた穴」などのコンビで、撮影裏手に出てしまう。当然、カメラクルーに見つかるも、撮影中なので、一区切りつくまで待機。
その一区切りのタイミングで「女の子」の子役(台詞なし)が来れないことが分かって、騒動が始まり、その中をカメラクルーに連れ出されようとして見つかる。

その役は、後日、8〜9歳の少女として主役をはる女の子が初めて使い魔の猫と出会う場面で、親からはぐれて泣きかけているところに猫が声をかけ、はじめは化け猫とばかりに怯えていた様子から次第に笑っていく流れを示すもの。台詞は後日登場する少女のアフレコを使うので、棒読みでも構わないし、どんな天才子役でも表情を指示通りに出せるような年齢ではないから、そこは物とかお話とかで誘導することになっている。要するに不細工でない女の子で、喜怒哀楽を出せる子なら誰でも勤まる役。そんな役なので、他のシーンと違って本番直前にいきなりリハをやって、2〜3回撮って終わりだ。

もともと、たとい女の子であってもウイッグをする予定だった上に、年齢も4〜6歳程度で男女の違いは小さい時期なので、後ろめたいような心残りのあるような表情の男の子に、監督が「とりあえず、猫の撮影はあれでいいんじゃねえ」とダメ元で女装演技させることになる。具体的には、子供の背中を見せつつ猫を映して、シーンだけ確保し、後日子役だけを改めて撮るというものだ。どうせカメラは多重に置いているから、子供の方の「演技」もお土産用に写し「迷子対策の不備へのお詫び」と称して親に渡せば全てが丸く収まる。男の子は女装なんて嫌がるだろうが、少なくとも親は喜ぶ筈だ。

一方、主人公はもと「美少女ものオタク」だから、それを不可抗力で演じる機会は最高で、申し訳程度に「女の子の服=嫌」「でもファンだから変装(コスプレ)ってことでOK」というやり取りだけで、当然乗り、しかも、コアなオタクだけに、ファンの喜ぶ仕草は完全に再現出来る。ましてや今は幼児。体型の男女の違いも気にならず、本来使う筈だった子役を遥かに超える仕草と表情で、監督を喜ばせ、結局、実際に使えるぐらいにきちんと撮る。

で、親が来て、遅かりし書類をそろえて一気にデビュー。

その後、当然、男の子の演技も試してみたが、こっちは全然だめ。年齢=彼女なしの男は、幼児にもどっても男の子は演技出来ない。そういう経緯で女装専門の子役となる。

ちなみに幼稚園では完全に男の子だから、秘密も守られる。家から出る時も男の子の服で、スタジオの中だけの女装。ロケも一旦スタジオ等で着替えてから。ただし、ロケでは引率付きで女子トイレ。子供だから引率付きなら問題なし。こうして、次第に女装が生活を浸食して行く。

四月馬鹿2編 - 夢喰

2018/04/01 (Sun) 15:08:12

1.
 今日は4月1日。着任する先生と定年引退する先生の挨拶で登校日になっている。毎年クラスメート(毎年メンバーは違うけど)で四月馬鹿を楽しんでいるけど、僕の嘘は完全にから回りだった。昨年は他のクラスメートがアイドルの動向とか、漫画の最新版の裏情報とか、先生に恋人が出来たらしいとか、そんな話をしているなか、ユニークさで勝負とばかり
「この陽気にカエルを見つけた」
と言ったら逆手に取られて
「うん、オレも見つけたので、おまえののかばんに入れといたぞ」
と言われ、びっくりしてあわてて鞄の中を調べたりして笑われる始末だ。
 どうしてもぎゃふんと言わせてやりたい、と思い悩んでいると、終業式の日に女子のクラスメート2人(僕が密かに好意を抱いているトップ5の2人)から「転校生の振りをする」という提案を受けた。カツラをして、ちょっと顔をいじれって、女の子の振りをすれば、登校日の数時間ぐらいは分からないだろうとのことだ。他ならぬこの二人が僕を助ける為に、そこまでしてくれるなんて、と感激したし、衣装合わせというか顔をいじる練習の為に彼女たちに何度も会えると思うと、思わず嬉しくなって、嬉々として提案に乗った。もっとも、その為に
「そんなに嬉しそうにして、もしかして装してみたかったの?」
とニヤニヤされてしまったのは全くの不覚で、顔が熱くなるのを感じてしまったのは二重に失態だったけど。
 こうして僕と彼女たちの「メイクアップ」練習が始まったのだけど、その初日にびっくりしたのが、カツラが本物の黒髪ボブの自然なカツラだったことだ。なんでも親戚から中古のカツラを借りたか貰ったかしたらしい。そこまでされると、僕みたいなモテない男の子に、と気持ち悪くなりそうだが、裏があることはすぐに分かった。だって、メイクアップ中は、いかにも「実験台で練習していますよ」という会話を続けているし、
「そのかつら気に入ったら、○○のゲームと交換でもう一回貸してあげるわよ」
とあけすけに僕がお年玉で買ったゲームを指定してくるのだから。ここまで下心満載だと、かえって安心してしまうのは、モブ男のう悲しい性かもしれない。それでも彼女たちの近くにいることに幸せを感じる僕は、エープリルフール作戦への協力という名目を守って、彼女たちの練習台にすすんで付き合った。顔だけでなく、カツラの付け方とか、姿勢とか歩き方とか、スカートを留める位置とか。
 ネット情報を集め、試行錯誤を繰り返したのだけど、僕には3回目以降は2回目との違いなんて全然わからなかった。でも、彼女たちに言わせれば「より女の子らしくなっている」とのことで、彼女たちの化粧の練習台の言い訳だけでもなさそうだった。いや化粧練習の言い訳でもこっちが好意を持っている女の子と一緒にいるのは楽しいから良いのだけど。
 それにしても、無駄な知識ばかりが増えていく。中には、腰(骨の位置をさすこと)とウエスト(腰の骨と肋骨の骨の間の空白地域)の意味が全然違うこと、要するに「ウエスト」に合う正しい訳語が未だに日本語に存在しないこととか、男のウエストの位置と女のウエストの位置が全然違っていること、子供でも女のほうが膝、肩など関節が細く、胸囲は男のほうが大きいことなど、役に立つかもしれない知識もあったけど、大抵はどうでも良い知識が増えてしまった。タックとかブラジャーのサイズの呼び方とかは言うに及ばず、スカートをホックで留める場所は僕の場合は肋骨でなければならないことや、それだと簡単にずれ落ちるから、肩から吊るすタイプのスカートの方が良いこと、スカートに女の子っぽい輪郭を与える為に、タオルや古パンストをパンツの裏に入れなければならないこと、それがずれ落ちないようにするには、いっそのこと二重履きにして、あそこをタックしやすくする技術とか、本当にどうでも良いことだらけだった。女装の難しい。

 こうして迎えた4月1日。まず彼女達のうちの登校路に近い方の家に寄り、そこで着替えと変装を済ませて一緒に登校した。

 結果は散々だった。いきなり彼女が、教室でたむろしている女友達に
「あ、こっち**君ね、女の子になりたいんだって。だからちょっと似合うかどうか試してみたの」
と紹介したからだ。僕がどんなに否定しても、もうひとりの女の子の「証言」もあって、エープリルフールとは思われなかった。ネタ明かしは始業式の日にまで延ばされて、その後も誤解を完全に解くことは出来なかった。あとから彼女たちに言い訳を聞くと、当日の朝、突然、この「二重嘘」を思いついたそうだ。
 こうして僕はイベント要員として、イベントがあるごとに女装を要求されるようになった。でも良いこともあった。再び同じクラスになった彼女たちと一緒に過ごす時間が増えたのだ。もっとも家を訪問すると3回に1回は「新しく入手した方法」による化粧の練習台となって、そのついでに女装もさせられるけど。
 それにしても人間は慣れる動物だとくつずく実感した、2学期には女装を楽しみ始めている自分を発見したから。男では絶対に着れないような服とか、怪盗と同じく変装している気分になれるからだ。それも女の子公認。普通は「現実」の女装はキモいって思われるそうだ。だから、いつしか下着女装にすら目覚めるようになってしまったけど、しかたないよね。中学では女装デビューしてみても面白いかな、と変な好奇心が生まれて来て、ちょっと困っている。


2.
 スーパーの折り込み広告だって衣料品ではモデルの写真があったりするけど、そのうちの子供服は、服のメーカーから提供される写真以外はそれこそ家族親戚ご近所でまかなうのが常識だ。今回のチラシは新学期特集で、特に子供服が多い。というのも子供の新学期デビューが上手く行くことを願って、親の財布の紐が緩む時期だからだ。
 普段のように3学年おきの男女1名ずつではとても間に合わない。もちろん、モデルが風邪をひいて撮影の日に来れなかったからという理由(他の時期なら良いのだけど)で人を省略するなんて、他の時期は良くてもこの時期は戦略的にまずい。特に女の子の服はそうだ。
 とはいえ、3月下旬はみなバタバタして、毎年綱渡りだった。今年もその例にもれず、いや、例年より悪く、撮影の日に実際に来れたのは男子がギリギリ数で、女子は2人不足。小学校高学年と中学生が足りない。高校1年(2年直前)がひとりいるので、その年齢レンジはカバー出来るが、10歳代前半がまったく無理なのだ。反抗期前(人によっては手遅れだけど)の親が子供を着飾れる最後の年代で、当然、親の財布は緩む。その写真を外すなんてあり得ないが、このままでが4月1日のセール開始に間に合わない。

 4月1日、4月1日、ぶつぶつ。

 このとき閃いたんだ。四月馬鹿「嘘を探せ」企画を。そう、男の子に女の子の服のモデルをやって貰うことを。
 チラシに堂々と「モデルの中に変装で騙している人がいます。当てた方から先着抽選で3名様に**をプレゼント」と書けば、チラシを丁寧に見てくれるだろうし「男の子ですらこんなに可愛くなれる服」ということで売りやすいかもしれない。幸いこの年代の男子は背の高さだけなら女子と変わらないし、何故か運良くサイズのあう男の子は3人もいた。そこで2人に女の子役をしてもらうことのした。一人だけの女装なら気が引けても仲間もいて、かつお小遣いも貰えるな協力してくれる可能性があがるからだ。
 あとはカツラだけ。たしか専門店のほうに売り物があったな。早速電話して協力を取り付けた。ついでに企画の中に「変装のウイッグもセール中です。詳しくはそちらのページを」とやって、変装者のウイッグの種類のヒントも入れておく。

 半年後。どういう訳か、その時の男子のうちの一人は、あまりにも好評で、女装モデルとしてうちのチラシの「顔」になってしまった。そのせいか、今や女の子の服のほうは男の子の服よりしっくりするほどだ。男の娘ってわけじゃないのに、回りがそう思ってしまうのって、やはり人間は社会的動物って気がする。あるいは着こなしの場数か。となると、彼が学校ではどういう格好をしているのか。彼の親は何も教えてくれない。

ドーピング - 夢喰

2018/03/17 (Sat) 17:22:30


 ドーピングは常にスポーツ界を悩ませる問題だ。
 昔は問題なかった。勝てれば良いのだから。買ったところでアマチュアである限り、金とは無関係だからだ。
 しかし、現代は違う。たとい賞金がなくとも「名誉」はがからむスポーツは「金」も動くし、名誉は金をも引き寄せる。メジャーレースに優勝した者は、その実績だけで、その後3年は参加するだけで大きな報酬がもらえる。ビッグネームは視聴率が稼げるからだ。
 そうなると、その昔設定された「才能と努力と精神的強さなどだけで人類のベストを決めるフェアな戦い」というが要求が、厳格の守られるようになる。視聴者が建前を本気にしてしまうからだ。その結果、建前を守れないレースは「メジャーレース」の座から転げ落ち、スポンサーもつかなくなる。2002年のソルトレーク五輪で大規模なドーピングが摘発された距離スキーなどは、テレビ放映権の大幅な値下がりで、その後1年以上にも渡ってワールドカップの開催自治体が大きな赤字を抱えるほどになった。
 ドーピング禁止の建前が生まれた元をたどると、事情はもっと複雑だ。
 その昔の冷戦時代、東側の選手には、国指導の元に男性ホルモンで筋肉作りをしているのではないか、という疑惑があった。それは今でも残る。だからこそロシアの国ぐるみドーピングに不思議さを感じなかったりするのだ。とはいえ、国レベルの介入を避難するのは冷戦時代には禁じ手だった。そこで登場したドーピング規制の理屈が「長い目で人体に悪影響を与える」という健康面からの配慮だ。
 西側の選手でも男性ホルモンの使用ケースはあり、その副作用として、女性が毛深くなったり男性的な体つきになったり(彼女らが「女装」すると、まさにムキムキ男の女装のように見えることもあった)するのは当然だが、実は男性にも男性機能不全などの副作用が出ていたのである。
 この種の長期的な「男性的」筋肉作りを目的とするドーピングの他にも、興奮剤のように試合前に使用する類いがある。身体機能の限界を超えて酷使させるので、当然これも体に悪影響を残す。規制の理由としては十分だ。
 しかしだからと言って、ドーピングのすべてが体に悪いかというと、それは限らない。スキージャンプではアルコールすらドーピングとして禁止される。適量であれば度胸がついて飛距離が伸びるからだ。ただし、その「適量」に個人差があり、それを超えると事故リスクが一気にあがる。だからこそ「公平」を期して一律禁止なのだ。
 健康問題という「建前上の規制理由」がかくも希薄である以上、ドーピング薬の需要は消えない。バレさえしなければ、僅かな健康リスクだけで生涯収入が大きくかわる可能性があるからだ。しかも新開発の直後は、検査の項目にない故に、バレるリスクがゼロに近い。だからこそ、この種の「新規開発」に対抗すべく「検体を一定期間保管して1〜2年後の新しい検査リストに照らし合わせる」という対策が提案されているのだ。しかし、痴漢えん罪と同じく、ドーピングえん罪という厄介な事件が増え始めた現代、完全な検査は難しいだろう。そこに抜け道がある。
 その意味で、究極の長期ドーピング薬は、始めからドーピングリストに入りそうにない薬だ。たとえば、使用による身体的特徴の変化が、より華奢な方向に向かえば、たとい筋肉の質が圧倒的に上がるような薬でも、女性ホルモン同様に、はじめから登録されないだろう。特に、骨格までも女性的に変化させることができれば、間違ってもドーピングとは思われない。となれば、「骨を削り」「肉を削って」、筋肉の効率を一時的に高めるような薬は、むしろ盲点となろう。たとい多少の副作用があろうとも、それは医薬品・医薬代用品という厚労省的な意味で問題になろうとも、ドーピングというスポーツ庁的な意味では問題になりそうにないからだ。たとい長い目では男性機能を奪う事実上の去勢薬だとしてもだ。


 そんな夢のような薬なんて開発不可能だろう。そう、誰もが思っていた。我が社だってそうだ。というか我が社は、そんなグレーな薬は作らない全うな会社だ。その我が社が、そんなドーピング薬を開発してしまったのは偶然だった。
 我が社は色々な医薬品や医薬部外品を製造・販売しているが、その中でもウエートが高いのがダイエット薬と成人病予防薬だ。しかし、これら人気の高い分野は競争も激しく、利益率はそこまででもない。そこで開発を始めたのがメタボ対策薬だ。
 メタボ対策は中年太りの始まった男性が一度は考え、その配偶者が、口に出す出さないの差はあるにせと、本気で心配する、潜在需要の極めて高い分野だ。贅肉化した筋肉はエントロピー増大の法則に従って脂肪の塊と化し、成人病の元となるからだ。そのくせダイエットや運動等を試した99%が失敗して、最終的に諦める。
 そこで登場するのがダイエット薬だが、女性と違い男性はただ痩せればよいのではない。脂肪を筋肉に戻したいのだ。そんなの無理に決まっている、と誰もが思い、いつまでも開発されなかった。そこに我が社は注目したのだ。対象を男性に絞ることで、無差別に脂肪を減らす(それは女性の象徴からも脂肪を消して筋肉に変えることを意味するからダイエット薬としては禁忌だった)という発想と、脂肪のみに限らず「無駄な組織を全て筋肉に変える」という発想で開発を続けた結果、多くの偶然が重なって薬は完成した。
 効果は覿面だった。皮下脂肪はもちろんのこと、年齢相当に発達した内臓脂肪も筋肉と変わり、骨すらも一部が筋肉に変わったのだから。骨だって老人の例を見れば分かるように軽くなることがある。それが新陳代謝ってやつだ。具体的には消失する無駄な組織の容積の半分が筋肉となり、半分が、この「若返り新陳代謝」のエネルギーとして消失した。特にメタボ内蔵の圧力で肥大化していた肋骨の矮小化は速かった。肋骨が小さくなれば、肩だっていかり肩からなで肩になり、その分が筋肉に変わる。細マッチョの誕生である。
 そうして生まれた薬は、何らかの形で臨床実験しないと売り物にならない。しかも各種の規制をクリアーしないといけない。そこで思いついたのが、これをドーピング薬として裏で捌くことだった。というのも、薬の性質上、普通に発売したら、自転車やスケート、馬術など、軽量な体と良質の筋肉の組み合わせが最適となる競技を中心に、ドーピングリストに載ることは間違いないからだ。そして、普通のメタボ対策薬でなく、ドーピング薬として「臨床実験」させた場合、10倍以上の価格を設定出来そうだからだ。
 こうして、我が社は「メタボ対策薬」を「筋肉の質、特に持久力をを高める」「まだドーピングリストに載っていない」薬として水面下で流通させることを始めた。それは決して違法行為ではない。ドーピングという点においてのみグレーなだけだ。
 こうして流通を始めた薬は、ドーピングに頼ってしまいそうな心の弱い男子選手に究極の選択を与えたあたえた。その結果は我が社に取っては若干不十分だったといえよう。というのも、意志の弱さ故に、この「グレーゾーン」の薬に頼ってしまった選手は、確かに3年間だけの栄光を得た。しかし、その後はすっかり女子と見まごう輪郭となったことによる「性同一性障害」疑惑への恥ずかしさから、引退を余儀なくされる結末を与えたからだ。以下は、その被験者の体験談だ。


 私が大学1年のとき、とある会社から「筋肉の質、特に持久力をを高める」という薬の1年間モニターを提案された。会社の説明を鵜呑みにした私は、大学生1年夏休み直後(どんなに頑張っても無理だと夏休みで悟った)から使用しはじめて、部活の最下辺から1年でエースにのしあがり、念願の彼女も出来た。だから、2年目以降は、ちょっと高いと思いつつも購入することにしたのだ。それは私に輝かしい戦績を残した。
 ただ、気になったのが、使用1年半を過ぎたあたりから、次第にシャツと靴がブカブカになりはじめたことだ、そのくせ骨盤のサイズだけは変わらないので、サイズのあうズボンが見つからなくなってきた。そうして2年半、リクルートスーツを買う季節となったが、どんなに細めを選んでもブカブカすぎて面接で調子が出ない。極めつけは4年の後半、ズボンの裾が広がって踏みつけそうなりはじめたのだ。面接で悪印象を与えないことを望むしかない状態だった。
 とはいえ、就職自体は部活のエースという経験のお陰で、なんとか第3志望(本音)に滑り込めたが、そもそもエースというだけで、人を統率する能力があった訳ではないから(だから部長にもキャプテンにもなれなかった)、仕事は縁の下系の内容が多く、同期に比べて外部の人に会う機会も少なかった。まあ、私のようにスーツが体型的に似合っていない社員を表に出すのはためらわれるだろうし、持久系スポーツの能力から我慢強いと思われたのだろう。
 会社に入っても私はスポーツを続けた。頻度こそ週4回に減ったが、年齢的にまだまだ伸びる時期だからだ。練習不足分は薬で補っているものの、量を増やしているのに効果が落ちていて、私はそれを練習不足の為だと単純に思っていた。
 そうして更に1年。体が華奢になっただけでなく、その代償のお陰で高まっていた筋肉の質は、入社以来停滞し、最後の数ヶ月は筋力が目に見えて落ち始めたのだ。だから才能に見切りをつけた私はスポーツを完全に趣程度にして、薬も減らした。
 その頃からだろうか、女子社員から変な質問を受けるようになった。どうやって内股にするのか、とか、腰の括れってどうやって作るのとか、レディースのズボンを持っていないのかとか。そんな質問を男にするのが解せない。いや、こういう質問を受けて、私は自分の体が単に華奢なだけでなく、女性的になっていることに気がついて愕然とし、その副次作用にショックを受けた。例えば飲み会。忘年会あたりから芸のリクエストでコスプレを要求されるようになった。女のコスプレだ。
 深刻なのが朝の満員電車だ。変な体験は増えているのだ。尻を触られ、そして直ぐに引っ込められるというものだ。痴漢が触ってみて、男の尻筋肉だと気付くパターンだと気付くまでに時間がかかったが、それに気付いてから自分の体を姿見で見ると、確かに女性的だ。おそらく骨と脂肪の比率は同じなのだろうけど、体のサイズが一回り大きい分(でも何故だか肋骨は女子のそれと変わらない)、尻と腿が張って見えてしまうのだ。それどころか、尻と太腿は、女子社員のそれより女性的だった。痴漢に対して不快感が急速に上がっただけでなく、恐怖を覚えるようにすらなった。同じ車両に乗りたくないと。
 体型変化はドーピング薬のせいに違いない。そう思った私は薬を完全に止めて、筋肉トレーニングに精を出し、プロテインを飲んだ。でもそ転落は早かった。華奢な体つきのまま、筋肉がどんどん贅肉に変わり、女性的な弾力を持つようになったからだ。女性専用車をこの時ほど羨ましく思ったことはない。今の私なら、女装して香水をすれば女性専用車でもバレないだろう。でもそれはやっぱり犯罪だよなあ、
 入社して1年半。研修を終えた1年後輩の新入社員には「なぜあの人は男装が許されているの?」と陰口を叩かれたこともある。通勤時に尻を触られる頻度も遥かに増えてしまった。それだけではない。こっちが男と気付かないケースが急速に増えているのだ。以前思った女装という考えが頭をよぎる。
 女装は女子社員からも冗談半分に薦められたりしている。実際、完全なネタのつもりで言っているのだろうが、こっちとしては深刻に考える問題となってしまったのだ。
 だから、女装の練習を兼ねて、飲み会で覚えたコスプレに最近はまっている。コスプレ会場なら女装も公認だからだ。そして私の心の中では、会場だけでなく、自宅からの往復も女装を試してみたい挑戦心が芽生えている。

無題 - 夢喰

2017/12/31 (Sun) 00:36:42

国際できちゃった婚では、出産クライシス(出産後3ヶ月〜1年で妻の夫に対する愛情が急速に消える現象)を経た母親が、それまでなんとか新婚モードで乗り切ってきた異国文化になじめなくなって、勝手に帰国し、そのまま離婚に至る例が一定割合存在する。そうでなくとも数年・十数年後に夫婦の関係が冷えきって離婚する例は更に多くある。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/wakaru/topics/vol82/index.html
その場合、その後、子供の親権を得ようとする母親は非常に多い。しかし、日本人の父親と違って白人の父親は、簡単には親権を手放さない。勝手に逃げて、更に子供まで奪うというのは、非常識な欲求だからだ。現に、ハーグ条約では、父親が家庭内暴力などの犯罪行為をしていない限り、父親側の親権主張を優先させる。

問題は、母親が子供を拉致して日本につれて帰った場合だ。日本も条約制定から30年後の2013年にようやく批准したものの、それでも母親が日本に連れ帰る例が少なからずある。口実はDVだが、これは痴漢えん罪と同じ構造で、実際にDVであった例はほとんどない。

ハーグ条約では子供は母親・父親を選ぶことは出来ない。それこそ中学の生徒会長でもしそうなしっかりした子供が明確な意思表明をした場合は裁判所が考慮することもあるが、さもなくば拉致された子供は、速やかに父親の元に戻らなければならない。

もっとも、国内の離婚と異なり、国際離婚では親権は両親双方に与えられるのが普通で、航空券さえ確保出来れば、子供が毎年一定期間母親の元で過ごすことは可能である。だからその母親は、その期間を利用して、息子を「父親が欲しがらない」ような嗜好を持つように洗脳したいと考えた。

僕はヒーローになりたい - 夢喰

2017/08/13 (Sun) 18:01:57

 ヒーロー。それは全ての男の子の夢だ。何であっても良い。他人に優る何かを持ち、あるいは何かで世界で唯一の存在となることだ。そうして、その何かが世の中に認められて、女の子にもて、男から羨望のまなざしを受ける。男の子はオトナになるまで、いや大人になってすらヒーローになる夢を持ち続けるものなのだ。それは中二どころか、もっと根源的な望みであり、小学生中学年以上の、月々能力が上がっていくのを実感する時期は極めて強くなる。だからこそ、ヒーローものの子供向け番組は小学生の圧倒的支持を受ける。
 一方、自ら体を鍛えることで、そのようなヒーローになろうと志すのは小学校高学年から中学だ。いや、ヒーローは無理でもクラスの平均以上にはなりたいと願って、体や特殊能力、例えばサバイバル知識とかを鍛える。その結果、遊びから次第に真面目な「部活」と変化する。それが中学に入る前後だ。かく言う僕も、皆が部活をやり始めてから、そういう気合いが入った。
 僕のコンプレックスは、他のクラスメートより体が細いこと。胸囲がクラスの平均より2cm以上も小さい。昔は早生まれだから、って思っていたけど、元々運動が苦手で、それで痩せているのは歳とともに分かる。早生まれの中だけで比較しても1cm以上小さいのだから。
 そんな弱いコンプレックスがあったけど、中学にあがってそれが一気に強くなった。他の小学校から来た子の体格が良いのだ。そういう目で同じ小学校から来たクラスメートをみると、こっちも良い。ずっと近くにいたから、友達の急成長に気付かなかったのだ。我が身を振り返ると、学ランは成長を見越して身長プラス10cmの細めのサイズを買ったけど、肩がぶかぶかで、いかにも貧弱だ。実際、春の身体測定では平均より3cmも小さかった。
 既に差がついているのに、クラスメートの男子の多くは運動部に入っている。これでは取り残されると焦った僕は、まず運動部を模索したけど、1年坊主は先輩の奴隷みたいなもので、ちょっと嫌だし、練習も僕には激しすぎる。挫折した僕は自己流で体を鍛えることにした。

1. 筋肉負荷ギブス:中学1年
 僕にあるのはマンガの知識。まず、星飛馬のように肉体改造ギブスを使うこと。星飛馬なんてお祖父ちゃんの世代のマンガだけど、やっぱりギブスは定番なんだよね。ただ手に入れようとネットを調べると「体に悪い」「児童虐待」と書かれていて、もちろん売っていない。でも代わりにマススーツなるものをみつけた。エキスパンダーみたいなものを上半身に張り巡らせるみたい。マススーツは値段が高いからお小遣いではとても変えないけど、要はエキスパンダーみたいなものを上半身に張り巡らせて場良いわけだ。星飛馬ギブスが悪いのは腕のところであって、大胸筋とかだと問題ないのだろうと勝手に納得した。
 エキスパンダーも値段が高いのでどうしようかと思ったけど、技術実習室の奥にしまってある昔のエンジンを見て、そこに使われているようなベルトなら良いと気付いたんだ。中古の分解品なら、近くの下町工場街にいっぱい捨ててあるし。
 水商売で忙しい母親は、何より生活費を稼ぐのに精一杯で、僕がベルトで何か工作しているのを見ても、何の干渉もしてこない。完成した手製の筋肉負荷ギブスを見ても、この種の健康問題を調べる余裕なぞないから
「体に悪いんじゃないの」
と少し心配しただけで、引き止めなかった。父親は何処にいるか知らない。生きているらしいけど、母親は全く話さないので、僕のほうから話題にすることもない。
 こうして始めた筋肉負荷ギプスだけど、まだ成長期だったのが悪かったのか、大胸筋や腹筋、肩、上腕の筋を傷め、更には肋骨や肩、二の腕の骨まで痛みを覚えるようになった。でも、それを「成長の為の筋肉痛」を思い込んだ僕は、丸1年、自宅にいる時だけでなく、体育等で学生服を脱がずに済む日もギブスの着用を続けた。
 その結果、中学2年春の身体検査で、僕の胸囲(チェスト)は成長するどころか昨年よりも細くなっていたことが判明した。他のクラスメートが軒並み3〜4cm胸囲が大きくなっているので、今ではその差が8cmに近い。きっとこれは体の密度が高まったお陰で、最後に笑うのは僕だと中二病の僕は信じていたが、体重が横ばいだったことから、校医に注目さたのが運の尽き。その後のレントゲン健康診断で、肋骨や肩の骨が変形していることが分かり、いろいろ問いつめられた結果、筋肉負荷ギプスのことがバレて、その禁止はもちろんのこと、上半身を使う運動までも禁止となってしまった。ギプス禁止になる予感があったから黙ってたのだけど母親経由で調べられたんじゃしょうがない。五月半ばのことだ。
 体重が落ちていたのは、筋肉負荷ギプスに胃を小さくする効果もあったからで、校医によると、食べ足りないのが原因で第二次性徴だというのに背があまり伸びていないとのこと。確かにクラス内の相対的な高さではチビに近くなったけど、今まで年に4〜5cmしか伸びていなかった背が、この1年間で6cm近く伸びたのだから、背が伸びていないってのは間違いだろう。そんな間違いをする校医なんて信じられない。僕はぷよぷよな体じゃなくて引き締まった体が欲しいんだい。そう思いつつ、僕は別の方法を考えることにした。

2. 蹴り訓練:中学2年
 上半身の運動がだめなら下半身。格好よいのは、もちろん蹴り技だ。有名なのは空手とキックボクシングだけ。どちらも腕との混合技だけど、蹴りだけでも強烈だ。ただ、中学校に部活はないから、動画やアニメなんかの見よう見まねの「自主トレ」になる。5月末に始めた。
 先ずは上半身に痛みが来ないように、体幹を動かさないタイプの蹴りを試してみる。とういうか、それが一番格好良くねえ? 上級者は体幹を動かさずに蹴るはずだ。始めのうちは、毎週のように次第に足がより上がるようになるのを感じ、1ヶ月もしない内に、頭の中で仮想模擬戦を始める。中2は何でも想像出来る歳なんだ。
 模擬戦となると、防御の動きも入ってきて、それはそれで新しい練習として刺激になる。蹴りの熟達が頭打ち気味だったので、ちょうど良い。上半身をあまり動かせない僕には、足を相手の太腿のまで届かせるのが精一杯だけど、脳内模擬戦では、相手の蹴りはこっちの腰まで届く。金的ももちろんありだ。それから逃れつつ相手を倒すからヒーローなんだ。しだいに脳内模擬戦の蹴りと回避の練習に熱中するようになって、もっと高く蹴り上げたいという欲求と、もっと鉄壁の防御が欲しいという欲求が高まった。
 前者は上半身を少し傾ける必要があるが、その際に体幹をまっすぐに維持しないと、肋骨に痛みを感ずるのが傷だ。今更認めたくはないけど、確かに取り返しのつかないところまで上半身の骨や筋肉を痛めてしまったらしい。だから、肋骨を固定すべく、サラシを頑丈に巻く事を考える。母親に言うと、簡単に賛成してくれて、古いシーツやカーテン、古着で作ってくれた。それを練習の時に巻くが、大抵は冷房の効いた部屋で汗をかかない程度の練習密度、つまり5分やっては長い休憩、10分やっては長い休憩という具合なので、
「また暫くしたら続けるかも」
と思いつつ風呂までサラシのしっぱなし、風呂を上がったあとも1回だけ練習して、そのあとは就眠までサラシのしっぱなしだ。
 後者、つまり鉄壁防御は膝をとっさに内股にクロスさせる練習のほか、空手上級者が使うという伝説(それが正しいかどうか知らないけど、誰かから借りたマンガで、そういうのが出ていたた)のタックというのを試してみる。ブリーフで股間を押さえつつ試すけど結構難しい。もっときっちり股間を押さえてくれるパンツがあったらなあ、とは思ったものの、そういうパンツをガードル呼ぶこと、そしてガードルというのはブラジャーと同じく大人の女性だけが使うものであることを知っていたので、さすがに母親には言えない。だから、持っているブリーフと水泳着だけで練習する。両者を組み合わせて、タック自体は出来るようなったけど、一回蹴るだけで外れるので、そのうち飽きて忘れてしまった。
 そんな具合で夏休みが過ぎて1学期になった。1学期は体育が長期見学になってしまったけど(体育で肋骨を今以上に傷めたら責任がどうのこうのと言っていた)、2学期は参加出来るものは参加したい。例えば、運動会のハードル走と徒歩だ。そこで運動服の下にサラシを巻いて参加した。蹴りの練習で、サラシが痛みを抑えることを知ったからだ。校医も運動の必要を認めたみたいで、跳び箱や鉄棒、バスケットボールみたいに上半身を使う競技以外ではサラシ着用での体育参加が認められた。
 
3. サラシ:中学2年後半
 冬服になって、学ランに袖を通したとき、改めてぶかぶかなのを痛感した。肩幅だけじゃなく、肋骨もだ。この半年、上半身は骨も筋肉もあまり変わらなかったらしい。まあ、半年で急に変化する筈もないが、校医の言った、筋肉負荷ギブスのせいで体が大きくならないってのはやっぱり信用ならない。これはむしろ体育が見学だから食欲がわかず、それで栄養が行き渡っていないと考えるべきじゃないのかな。食べる量がクラスメートより圧倒的に少ないのは事実で、当然胃も小さい。だから、僕は、サラシのせいで食欲が上がらないままだなんて知らなかった。夏休み以来毎日のサラシは、肋骨のサイズの回復(膨張)を押さえこんで、胃を小さくしたってのが真相らしいことは、後から知った。
 ともかくも、問題はこのブカブカ感だ。このままでは通学路で見かけるヤバそうな上級生に目を付けられかねない。昨年までは底までヤバい感じじゃなかったんだけど、今年はちょっと違うんだ。だから、せめて見た目だけでも筋肉もりもりの体のように見せるべく、さらしを肋骨全体を覆うように強めに巻いて、体を太めにみせる。学生服だから分からないはずだ。その際に、肩には母親のお古の服の肩パッドをいれて脇下からサラシで固定した。
運動してもほどけないぐらいの強さで巻くと、どうしても、一番細いところにサラシが集まる。この時初めて気がついたのだけど、僕の胴囲の一番細い場所は腰ではなくて、肋骨の一番下の部分だった。筋肉ギブスで肋骨が縮小したために内蔵が腹の方に押し出されて膨らんだのに比べて、肋骨が小さくなってしまったからだ。ともかく、肋骨に当たる部分を、全体が太くなるよう、若干逆三角形気味に巻いて行く。つまり、体の細いところは分厚く、比較的厚めのところは薄くサラシが巻かれるから、巻いた量に比例して、体の細めの部分、つまり肋骨の下半分が集中的に締め付けられる。あと、脇下もパッドを固定するためと逆三角形の体にする為に太めだ。
 始めのうちは、登校時と下校時だけ巻いていたが、朝の慌ただしい時に巻くのが面倒になって、直ぐに夜のうちに巻いて、朝そのまま制服を着て、そのまま夕方までサラシを巻いたまま過ごすようになった。友達も、僕の肋骨の健康問題に関する処置だろうと判断してスルーだ。唯一の脱着は体育で汗をかきすぎて交換しなければならない場合だけど、冬なのと、汗を大量にだすような運動が見学なのとで、そういう機会はほとんどない。そもそも、上半身に筋肉があまりないから、胸回りが暑くならず、汗もあまりかかないのだ。だから一日20時間、サラシを巻き続けた。
 筋肉ギプスの時ほどでは無くとも肋骨も胃も締め付けられて、女子以下の食欲しか出ないこともあって、僕の見た目の成長は遅いけど、中学に入った時と違って、僕には蹴り技があるし、アニメとかではそんな華奢な体で敵をなぎ倒すのが格好良いから、コンプレックスにはならない。中学3年の春の健康診断ではクラスメートより胸囲が10cm、身長が9cmも小さくなっていた。それでもここ5年で初めて女子の平均身長に追いついた訳だし、胸囲や体重も昨年や一昨年より太く重くなっているわけで、校医からは少なくともサラシに関して注意を受ける事はなかった。それが、実は諦められていた為だとはあとから知ったことだ。

4. 太鼓腹対策:中学2年後半
 サラシは皮下脂肪を押し出す。押し出された脂肪は、サラシが一番薄い場所に集まる。それは腹(サラシからはみ出ている部分)と乳首の高さだ。サラシで肋骨ごと締め付けられた内蔵も腹にあつまり、サラシをしている時は太鼓腹の肥満児みたいになってしまった。胸にも肥満児より少ない程度の膨らみが出来たものの、太鼓腹に比べてはるかに小さく、僕も母親もクラスメートも全く気付かなかった。
 太鼓腹自体はサラシを体格偽装のために厚めに巻くようになった日から気になっていたので、それを押さえる為に、わざと腹の下に本を敷いて腹這いに寝たりしてみたが(畳で寝ているので、下は十分に堅い)効果は薄い。やがて、以前タック用にと考えていたガードルが、まさにこういう太鼓腹のための補正下着ではないかと気がついた。ネットで調べると、一女性下着にはなっているけど、男でも履けそうなスパッツ状のシンプルなデザインがユニクロから1000円で出ている。
 意を決して母親に太鼓腹対策というか、上半身だけでなく腹部も固定するような服がないか相談すると、さすが水商売だけあって、自分の古着を出してきた
「さすがにこんなデザインはいやだ」
というと
「良かった、女装したい訳じゃないのね」
と独り言をいった(小声だけどギリギリ聞こえた)あとに
「心配しなくても男の子がはけるデザインがユニクロにあるから買ってくるわ」
とこっちの言いたい事を先回りして言ってくれた。
 こうして僕はガードルを履くようになったんだ。ただしスパッツ同様ブリーフの上で、学校には恥ずかしくて着れないので夕方と週末だけ。でも、太鼓腹が恥ずかしいのって着替えの時なんだよね。なので、皆に見られない方法を考えた末、ガードルの太腿部をブリーフの形に切って、ガードルの上からブリーフをはけば良いって気付いたんだ。股間を二重に押さえるから、夏に挫折したタックも可能だ。もっとも、蹴りの動きをするとタックが外れてしまうのが難点で、仮想模擬戦では、まずタックで相手の攻めをしのぎ、そのカウンターで蹴りだすスタイルが中心になった。複数の敵との戦いはまだ。
 そう、もうこの時は、カウンタースタイルを思いついて有頂天になり、そのまま、タックが必須だと思い込んでしまった。しかも今のタックでは通学で足を使うだけでも外れてしまう。練習すればどうにかなるだろうけど、もっと頑丈なタックの仕方も必要だと感じるようになってしまった。いろいろ試してみるけど上手く行かない。
 ネットをしらべると、どういうわけか
「女装」とか「女の子の股間」
という文字が目につく。なぜ女の子なのか理由がよくわからない。というのも、僕の知っている知識では、タマを守る為に隠すのであって、男の象徴の棒の方は前にでているからだ。ぜんぜん女の子の股間ではない。ただ、それでも「女の子の股間」というキーワードは僕ぐらいの歳の男の子には興味深いので、ついつい読んでしまう。なので、棒を表に出すことにこだわらなければ、タマを守るのは可能だとわかった。
 でも僕は格好良い男の子ヒーローになりたい訳で女装はごめんだ。そんな訳で、僕はブリーフ状にカットしたガードルとブリーフの重ね履きでのタックの練習に専念するようになった。もちろん当初の目的である太鼓腹対策としても少しは役立っている。本当に少しだけど。

5. サッカーでの事故:中学2年初冬
 そんな日々を過ごしているうちに、12月となり、体育はサッカーとなった。肋骨を傷めた僕でも出来る球技だが、体格も運動能力も劣る僕はフルバックぐらいしかポジションがない。だから滅多にボールには触れず、ボールを触るような機会は、サイドを越えてしまったボール拾いの時ぐらいだ。あとは試合の順番待ちでのパスの練習ぐらい。運動場に限りがあるので、パスの練習は花壇とか階段とかのある通学路一部でも行なう。というか僕みたいなみそっかすは、そういう障害物の多いところぐらいしか練習場所がない。
 その日、僕がパスの練習をしていると、試合フィールドからボールが飛んできた。滅多に無い「思い切り蹴り返す」機会だ。そこで蹴り返す事だけに専念しておれば良かったものを、ボールの高さが仮想模擬戦での敵のキックの位置だったもので、そっちの蹴りで蹴り返そうという欲がでて、見事にバランスを崩し、1メートルほど下の花壇の角に転倒した。なんとか頭は守ったものの、代わりに尻を激しく打ち、しかもその振動で、近くに立てかけてあった鉄骨(新しく作る準備だったらしい)が落下してきて、これまた尻を前の方から強打。ぎきっという音とともに激しい痛みに襲われた。
 無理に立ち上がろうとしたのが悪かったらしく、もう一度、鈍い音とともに激しい痛みに襲われて、そのまま僕が倒れ込んだ。立ち上がれない様子に、先ずはパートナー、次に近くでパスの練習をしていた人が僕の元に駆け寄って、それ教師に伝わって、もちろん授業は中断し、僕は救急車で運ばれた。
 診断の結果、骨盤に複数のヒビが入りって折れかけているとの事。その際に、ガードルを履いていることを医者と看護師に見られたのは黒歴史だ。しかもその後着替えの際にサラシと肩パッドを見られたことで、病院の関係者に僕が女性の(華奢な)体を望んでいる風に誤解されるのだけど、そのことは退院するまで知らなかった。それだけなら恥ずかしいで済むけれど、その時の誤解が手術の方法に影響してしまったって誰が想像でよう。
 治療に当たって医者は2つのオプションを示してきた。一つが人工骨で骨盤を支える手術で、もう一つは人工骨を使わずに、骨盤のヒビを時間をかけて修復させる方法。前者は頑丈で、かつ退院までの時間も短いけど、すこし金がかかる。ただし、今回は体育の授業が原因なので、健康保険の自己負担分は、学校の保険から全額補填される筈で、お金の心配はいらないとの事だ。前者のもう一つの欠点は、尻の見た目が今より大きくなるとのこと。それで、スタイルを気にする人は後者を選ぶらしい。
 チビで華奢な僕にスタイルは無理だ。ならば、早く日常生活に戻れる前者一択だ。そして、肝心の手術の際に、病院側の誤解が、僕の骨盤そのものを広げるような補強方法を選択させてしまったのだ。ようするに割れかけた部分を無理矢理押さえつけるのではなく、少しの空間があっても良いように、ひびの隙間にも骨素材を流しこんだのだ。そして、その外側を人工骨が覆うので、僕の尻は今までより大きくなってしまった。
 母親だけに知らされて僕は知らなかったけど、骨盤の人工骨は規格品で、僕に入れられたのは女性用だったらしく、そのためか骨盤の確度がかわって、何となく足が内股気味になっている。もっとも、手術直後でから激しい歩き方が出来なかったから、その意味でも足は内股気味になるわけで、その内股で骨盤の形が固定されてしまうとは想像もしなかったのだけど。
 ともかくも年末前に無事に退院して、正月は家で楽しめた。そして3学期。ズボンが股間に食い込むのだ。尻がデカくなって、ベルトの位置がずれ上がったのが原因で、ベルトを緩めにすれば元の高さに戻るものの、その位置だと人工骨盤の最上部に当たって、それを締める圧力が骨盤に響くのでヤバい。といって、ズボンが股間に食い込む状態は、尻にゆとりがなくて、前屈みしただけでズボンが破れそうだ。
 結局、格好指定のジャージで登校。掃除とかはそれでやって、始業式だけ持って行ったズボンに着替えたけど、その騒動で、担任にもクラスメートにも、僕の尻サイズが大きくなった事が知れ渡った。結局2サイズ大きなズボンを買う事になったのだけど、ベルトを締める位置が肋骨の上になってしまったで違和感がある。本来なら僕の少し弱まった肋骨をベルトのようなきついもので締めるのは良くないのだろうけど、サラシのお陰で痛みはないので、気にしない。

6. 回復期:中学2年1〜5月
 さて、3学期は再び体育禁止で、僕は体操服に着替える機会を失い、結果的に僕はガードルの太腿部を切らずに済むようになった。そして、ブリーフの代わりに、ブリーフ状に切ったガードルをその下に履くという二枚重ねになった。というのも、その方が尻の手術跡をしっかりと支えられるからだ。それは医者からのアドバスだ。普通の男性にはそのようなアドバイスをしないらしいが、事故時に既にガードルを履いていた僕は、普通にガードルを薦められてしまったという訳だ。ちなみに新しく買ったんはMサイズ。以前のSサイズでは尻を十分に押さえきれない為だけど、その分太腿部が全然締め付けられる、それはそれで履きやすい。
 そうして、2枚重ね始めるようになった気付いたのが2点。一つは太鼓腹を押さえる為にちょっと堅い円盤状のものを2枚のガードルの間に挟むと、効果的にお腹を押さえられること。それは仮想模擬戦でのお腹の防衛にも役に立つ。もう一つは、2枚重ねにすると、登下校ぐらいではタックが外れず、特に棒を前でなく下に隠したら、丸一日タックの状態を維持出来るって事だった。まだ蹴りの練習は始められないが、今のうちに太鼓腹隠しとタックをマスターするのも悪くない。ガードルがリハビリに使えるという医者のお墨付きを貰って、僕は女装っぽいタックに対してあまり拒否感を抱かなくなったわけだ。もちろん女装なんてする気はしない。ガードルはあくまで骨盤のサポーターだ。もっともお腹を押さえる為の堅い円盤は学校ではちょっと着用出来ないが。
 こうして股間を完全に隠すようになって数日後、雨上がりの水たまりが広がっていて、しかたなくズボンを裾がぬれないようにとベルトの位置を思い切り上げたで、下を見ながら水たまりを渡ったあとに気がついたのだ。股間に食い込んだズボンの前が、完全にフラットになっていることに。こんなのクラスメートに見られたら女装と思われてしまう。
 僕は女装じゃないと最近意識し始めたので、かえって女装に見えかねない部分が気になったのだ。だから、僕は股間に何かがあるように2枚重ねのガードルの合間に、固めのクッションを入れて、男の股間を作り出した。せっかくだからと、ちょっと大きめの男性器を偽装したのは僕の見栄だ。その結果、タックが今まで以上に固定された、同時に間違ってタック部に衝撃が加わった際の守りになったのは望外の副産物だ。もっとも、クッションは熱をためる素材で、睾丸の温度を更に上げてしまったけれど、そういう不快感も暫くすると消えてしまった。
 大きめの男性器を偽装すると、それをそれとなく見せびらかしたくなるものだ。だから、ズボンは常時一番高い位置でベルトを止める。そんな訳で、肋骨の下端ではなく、胃の真上ぐらいでベルトを締めるようになった。それが女の人の腰の括れでの位置である事を知ったのは、中学3年も夏服になった時で、その頃には、このベルトの位置以外は僕には考えられなくなっていた。たしかに掃除とかで上着を脱ぐ機会は1月からあったし、体育も3月には復帰したけど、掃除は男女別で異なる場所をローテーションしていた為に、腰の位置とか気にしない男子は気付かなかったのだ。いや、気付いていたかも知れないけど噂話とかにはしなかった。だから、夏服で女子に指摘されるまで分からなかったわけだ。
 体育の再開時は、僕はうっかりして太腿までのガードルで学校に行ってしまった。女装だという認識よりも、骨盤サポーターという認識が強かった為だけど、クラスメートの男子はガードルとは呼ばずに
「それって腰のサポーター?」
と質問形式の助け舟を出してくれた。どんなに僕が体育のみそっかすでも、けが人に優しいのは常識で、僕はそのまま、ガードルを常用するようになった。だから夏になってハーフパンツになってもガードルのままで、それがハーフパンツから見えていたものの、女子の見せパンと同じ扱いで、気にされることも無かった。
 そんな事をいているうちにも、骨盤は順調に回復し、骨の回復を促進する薬の効果もあって、かなり拡大した。人工骨の方は衝撃的な圧力には対抗するけど、成長のようなじわじわとして変化だと、それに合わせて位置が動く。そのため少しずつ人工骨の位置が少し高めとなって、大きいだけでなく深い尻になって行った。しかも太鼓腹対策の堅い円盤(丸形のまな板を使った)が骨盤を内側から広げていたのだから、医者の想定していたよりも大きな尻となってしまった。具体的には手術の段階でクラスの女子の一番尻の大きな子並みになっていたらしいのだけど、それが中学を卒業する頃には、高校3年生の美尻組の平均ぐらいになっていたらしい。でも、そんな超ゆっくりして変化に身近な人間が気がつく筈もない。しかもダブダブのズボンを一番高い位置でとめているから、尻の位置が少し上がったところでズボンに影響が出る訳もなく、手遅れになるまで僕も全く気付かなかった。

7. 骨を守る為に:中学3年
 そうこうしているうちに夏服の季節になった。通学路の怖い先輩がいなくなったので、サラシで筋肉もりもりを偽装する必要がなくなったものの、体育で体を動かす時に、サラシで締め付けておかないと肋骨が悲鳴をあげそうな気がして、サラシは夏服になっても続けた。それは肩パッドもそうで、肩の関節を衝撃から守るために、こちらも続けた。肩パッドは夏服初日は恥ずかしかったものの、肩を守るという理由が自然に受け入れられ、逆にこれを外すほうがおかしいという雰囲気になったので、そのままだ。ただ、あまりに太く肩を偽装するのも変なので、肩パッドそのものを細く短く変形させてしようしたから、結果的には肩を今まで以上に(それこそ万力で前後を圧縮するようなぐらいに)締め付ける事になってしまった。
 水泳の季節になった。昨年が見学だったので2年ぶりの水泳だ。困ったのが水泳着。締め付けが足りないのだ。骨盤に不安のある下半身はもとより、ずっとサラシで固定してきた上半身にも不安がある。でも水泳はしたい。というわけで、普通の水泳パンツ(脱げないように締め付けるボクサータイプ)だけでは不安で、体育の先生と校医に相談した。
「2枚重ねならどうにかなるとは思いますが、動きが制限されますよね」
という提案をすると、体育の先生からは、無理せずゆっくり泳げば大丈夫だ、とのお墨付きを貰い、更に肋骨対策として全身型はどうかという意見が校医から出た。全身型は値段が高く、しかも誰かに手伝ってもらわないと脱着出来ない。そこで出た妥協案が、女子用のセパレート水着だ。
「でも恥ずかしいよな?」
と体育の先生に言われた時、僕は、自分の履いているガードルの事を思い出して、女装の為でなく、骨を守る為の服がたまたま女性用の服だったことを、ここで恥ずがるのはおかしいという意地が沸いて
「そんなことありませんよ。必要なんだから。現に骨盤のためにガードルを履いているし」
と見栄を切っていまった。
 こうして僕は女子用水泳着を使う事になった。もっとも着替えの時に、女子用の水泳パンツのその下に男子用の水着を着ているのを見せているので、クラスメートも自然に受け入れてくれている。ただ、このころから、何となく、仲間同士で親しくするという距離感じゃなく、腫れ物にさわるような接し方をされ始めたように思う。
 女子用の水着はもう一つの隠れた懸念を解消してくれた。それは胸に集まった脂肪だ。肋骨をサラシで押さえつけ、ガードルで腹を押さえつけてはいるけど、じゃあ余った脂肪がなくなるかというとそうじゃない。一番締め付けの緩い場所と脂肪の集まりやすい場所に脂肪は集まる。そして、それは胸、特に乳首のまわりだ。裸で鏡を見ると、そこが他の場所に比べて盛り上がっているのが分かる。これが肋骨の太い普通の男子なら、大胸筋の一部の格好良さに繋がるのだけど、僕のように肋骨が女子より細く、脇下も女子並みしかないと、小学校5年生のおっぱいぐらいには見えるのだ。それを晒すのは恥ずかしく、今回みたいに別の理由で胸を隠す服を着れるのはホッとするのだ。着替えの時は、僕は壁を向いてやっていて、そんな僕に正面を向けなどという同級生はいないから問題ない。
 一学期が終わる頃、僕は女子用の水泳着にすっかり慣れていて、もはや女子用の水着以外を着るのが怖いほどになっていた。それは骨を守るという意味だけでなく、胸を隠すという意味でも。こうして、胸に対する恥じらいを知った僕は、胸の脂肪が完全に埋もれるように、他の部分のサラシをより分厚く巻くようになった。それが更に他の部分に脂肪を溜まりにくくして、その分胸に脂肪が集まるようになったけれど、そんな事は僕の知った事ではないのだ。
 それでいて、サラシに押し出された太鼓腹の部分は、それを無理矢理引っ込めようと、丸形のまな板で押さえ込んで、結果的に骨盤を内側から広げていたのだから、僕の行動は矛盾している。でもお腹って、なんだか引っ込めやすい弾力があって、ついついそうしてしまったのだ。
 女子用の水着に慣れた僕は、パンツ系、シャツ系であれば女性用の服を着る事にも免疫ができた。だから、夏休みに入る直前にTシャツやジーンズを買いに母親と出かけた時、男性用の服が横にダブダブで動きにくい事を知ったとき、試着室に母が持ってきた服(テナントだったので直ぐ近くに女性用もおいてあった)が、試着後女性用だと判明したあとも、気にならなかった。ただただ、自分一人で買いにはこれないよなあ、と思っただけだ。
 昨年は肋骨の療養と蹴りの練習の為に主に室内にいたけど、今年はもう少し外に出る機会が増えた。中学生とは好奇心の塊だからだ。そうなると、サラシは暑い。そして、昨年までのTシャツ類は丈が短く幅だけが広い。なので、早速買った女性用アウターを使う機会が増えた。同級生にばったり出会うこともあるけど、Tシャツとジーンズでは女物だと誰も思わないらしく、よしんばTシャツの前がゆったりしているのに気付いても、そっちの方が涼しいという事実にこれまた不審に思われなかった。だから、僕はこの時に僕のシルエットが中学3年女子よりも華奢な上半身と、その割に高校1年生なみの豊かな尻と女性的な括れ(しかも正しい位置)を持ったものであることにとうとう気付かずに夏を終えた。大人の女性のように性的魅力のあるシルエットではないから、そういう指摘を受けなかったのだ。
 夏が終わり、またしても学生服の季節になった。僕は肩の細さと狭さを改めて実感しつつも、ようやく上げられる等になった足で蹴りの練習を再開させた。そのとき気付いたのが、昨年より遥かに内股になっている事で、でも、そのお陰でタックが安定していることだ。内股は悪くない。考えてみればバレーボールでのレシーブなんか内股で構える。スポーツには悪くないはずなのだ。だから、僕は椅子に座っている時も意識して内股にしている。いや、骨盤が変形した関係で、自然に内股にはなっているのだけど、それをより自然に内股にしているのだ。内股で座れば、骨盤は更に広がって内股が自然な確度を作って行く。こうして中学卒業までに、僕の骨盤(正確には人工骨)は単に大きくなっただけでなく女性的な形になっていった。もちろん、僕がそんな事に気付く筈もなかった。

8. ボクはヒーロー:中学卒業
 僕は予想より早く成長期のピークを終えた。中学を卒業する際の身体検査では、クラスメートより胸囲が12cm、身長も11cm小さくなっていた。身長は女子の平均のままだけど、胸囲は女子より圧倒的に細く、肩幅や肋骨の下の方(腰の括れってやつ)も、女子の一番細い子と同じぐらいだ。足も内向きで股間はタックしている。成長期の食事の量が足りなかったせいか、あるいは股間をタックし続けたせいか(最後の1年は夜もタックしていた)、髭は無く明快な声変わりもない。それでもボーイソプラノではなく、ゆっくり声変わりをしたのだろう。その証拠にとっても小さいながらも喉に突起がある。見た目では分からないけど触れば確かに喉仏を感ずるのだ。
 そんな僕だけど、蹴りの練習をしている事は数人の同級生が知っている。僕の進むこうこうと別の高校に行く彼らが最後に僕にアドバイスしてくれた。
「まあ、背の低いことを気にすんな。最近じゃ、男の娘のように見えるけど、実は武芸の達人っていうヒーローが流行りなんだ。お前もそれを目指せよ」
 それは天啓だった。春休みにコスプレで武闘系の男の娘ってのを捜したら、あるはあるは。それもヒラヒラスカートとか女子制服とかそんな感じのコスプレで、僕はその格好で、下にスパッツを履いたまま、足技を披露した。
 でも僕は失念していたのだ。そのコスプレ会に、他の中学から同じ高校に進学する奴も来ている可能性を。そいつに名前と年齢を覚えられる可能性を。

 だから僕は高校では女装担当を務めている。始めはイベント(週末)ベースで、次第に日常的に。
 制服こそ男物だが、いつしかサラシの代わりにコルセットの類いや寄せブラを着るようになり、元々薄い体毛は完全に剃られ、髪も伸びっぱなしだ。
 なぜなら、それが面白くなってきているからだ。皆が僕を(コスプレでの)男の娘ヒーローと崇めるの様子に快感に覚えるからだ。もっともっと有名になる為には、女装が似合う今の体型を維持しなければならない。そして、その上で、おっぱいと尻をより魅惑的にできれば尚さらユニークだ。
 男はホルモンを使わずにどれだけ女性に近づけるのか? ホルモンを使わずにどれだけ他人を騙せるのか。そんな挑戦は何となく格好良い! どんなに皆が僕を
「将来性転換して女の子になる
違いない」
と信じていようとも。そして、僕の蹴りを、武術というより
「ラインダンスみたい」
と囃していようとも。


とりあえず終わり(高校編は類似の話が沢山ありそうなので、当面棚上げです)

幽鬼の転生譚(本編:5) - 偽筆屋

2017/08/11 (Fri) 22:26:07

先ずは例の確認です。微量の精が私に入ってきたときに、その精の元にたどり着くと、私と関係なしに単純に女装をして興奮しています。本来なら、私が初心者幽霊だった頃に会った女装連中と同様、私に精が入る筈がないのです。もしかして、女装のきっかけが私だったから、私の事を忘れてしまった状態での女装でも、それで興奮したら精が僅かに入ってくるのかも知れません。

これはサンプルをもっと増やして確認したいものです。現実世界で女性服を買ってくれる男が必要ですが、キモい女装は見てて嫌ですし、できれば女装に抵抗の少なそうな男の子のほうが効率が良いでしょう。だから、顔はともかく体格的に女装できそうな若い子のうち長髪の男の子を捜して誘惑します。華奢な体格のくせに髪の毛を伸ばしているような子であれば、女装の素質がある可能性が高いと思ったからです。精を吸い尽くすことが目的ではないので、条件にさえ見合えば誰でも構いませんし、罪悪感もありません、

あとは今まで華奢系のターゲットで試したことを繰り返すだけです。レベルが上がった事で、幻覚や夢での現実感が強くなり、ネットショップの購入待ちの状態まで誘導出来るようになっています。つまり、目が覚めたあと、記憶と現実を混同していたら、そのまま私の為の下着と思って購入手続きを済ませる可能性が高くなったのです。ネットショップは一度でも行なえば、敷居は低くなります。案の定、新しいターゲット達の半数は、この後も私の為の服や下着を買ってくれるようになりました。

彼らが現実に買った女性下着類を、私の誘導の元に着用させる、最後に別れるということを繰り返して、ターゲットのサンプルは20人近くとなっています。そうなると、確かに彼らが単純に女装で興奮している時に、射精の0.1%未満の精しか入ってこないようでした。

そういう検証の傍ら、私はリンクが切れて夢に入れなくなった男達のアパートや家を訪れました。すると、その半数は新しいパートナーを見つけています。残りの半分は一夜限りの契りかも知りません。そう思ってソープを調べると、私の元ターゲットで来ている男がいます。でも、彼との精的リンクは切れていません。どうやら、女の方からの好意がないといけないようで、それは納得するのですが、それでは消えた半分はどうなっているのだろうか、と思ってみてみると、いずれも衰弱の気配があり、しかも何故か近づけません。どうやら、別の幽霊、私には見えない幽霊が取り憑いているようです。可哀想に、私が理性で離れても、彼らは精を搾り取られる運命だったようです。

気になっていた2件が分かって、もう輪廻の輪に戻っても良いなと思った頃合いに、またも奇妙な精の入り方をする体験をしました。最低限単位の精、それこそ精子数個程度に相当する精が連続的に私の元に入って来るのです。24時間で換算すると、普通の男が毎日生み出す精力の3000分の1に対応する精が、私の元に入ってきているようです。しかも、それは必ずしも連続的でなく、始めのうちは数時間単位、日が経つにつれてより長時間単位で起こります。

これは非常に気になります。早速精のもとに近づくと、なんと彼は股間が全く消えてしまうような女装をしているではありませんか。それはもはや興奮の為の女装ではなく、女としてみられる為の女装です。あの女装プロの連中のやっているのと同じなのです。

睾丸を暖めすぎたり痛めつけたりしたら精子が死ぬことは、現代では良く知られています。それは「子孫を殺す」という行為であり、その分の精のうち、ごく一部が、女装のきっかけとなった私の元に来ているのです。考えてみれば当りまえです。

興味が出た私は、更にサンプルを増やす事にしました。この程度では、まだ鬼にはならない筈だからです。その結果、もともと女装を少しだけ始めていた男の子を女装にのめり込ませても精は入ってきませんが、女装に興味程度しかなかった男の子を女装趣味に目覚めさせると毎日の精力の10000分の1程度、ネカマしかしたことのない男の子だと毎日の精力の3000分の1程度、ノーマルに近い男の子で毎日の精力の1000分の1程度が入ってくる事がわかりました。

女装を毛嫌いしている子も調べたのですが、私が輪廻の輪に戻る前には分かりませんでした。というのも、私は緊急に輪廻の輪に戻らなければならないと感ずる事態が生じたからです。

それは2年の在世期限の2種間前の事でした。いきなり大量の精が入ってきたのです。人ひとりを2ヶ月かけて取り憑き殺して得る精の総量の半分程度といえば、その凄まじさが想像できるでしょう。その元となる人はまだ生きていて、彼の元に行って理由が分かりました。なんと、去勢手術(いわゆるタマ抜き)を受けていたのです。しかも彼は、私が
「貴方が女の子になってくれたらいいのに」
という夢を見せ続け、かつ別れる際にも
「女の子じゃないとこれ以上は一緒にいられない」
という夢を見せて別れたサンプルの一人です。
あまりにも可哀想になって、その夜は久々に具現化してあげました。そして、その時に気付いたのです。私の男性器が既に10歳児並みまで回復し、しかも勃起を始めてしまった事に。

目の前にいるのは、女性器こそないものの、完全な女装をしたニューハーフで、しかもどうやら女性ホルモンに手を出しているらしく、彼がブラジャーを脱いだあとに見える乳首が腫れ上がっています。

その時に直感したのが、ここで私が欲望に負けたら、鬼に堕ちてしまうだろうことです。必死に我慢して、慰める事だけに専念しましたが、今後理性が続くか自信がありません。彼(彼女)だけでなく、女装趣味が嵩じて去勢するかもしれない候補は他にもいます。

こうして、突如私は輪廻の輪に戻ることにしたのです。

ただ、最後に、私の得た吸精の秘密を、ターゲットの一人に夢の中で話聞かせることだけは忘れませんでした。知識とは、それを得てしまうと、誰かに話したくなるものだからです。そうする「知識に関する欲望まみれ」の行為が私を鬼に近づけるとしてでもです。私が無事に輪廻の輪に戻れたのは、本当にギリギリの幸運だったかも知れない。

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

幽鬼の転生譚(止)

こうして主人公の幽霊が男への転生を遂げた。しかし因果応報とは良く言ったもので、彼は男の娘として育ち、結局童貞のまま一生をおえた。そして、その後何度輪廻転生しようとも、彼は二度と「マトモ」な男には転生できなかった。

夢で吸精の秘密を聞かされた男が、それをどうしたかについては、日記に書いた言われているが、その行方は分からない。ただし、何処かの幽霊がその日記を読んだのではないかという噂はある。それが草食男子や男の娘を更に流行させたのではないかとも言われている。真相は闇の中だ。

執筆 2017年8月
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -


Copyright © 1999- FC2, inc All Rights Reserved.