秘密の小屋創作掲示板


肥満防止法 その30(中学2年冬:女の子と認められて)

1:夢喰 :

2014/04/21 (Mon) 19:45:42

 冬服になってから2ヶ月、社会的な意味での女性化が徐々に固定し、12月には、翔ちゃんもかなり自然にガールズトークに加わるようになりました。そうなると色々聞き出されます。翔ちゃんには女子に嫌われてはいけないという不安がありますから、ストレートに尋ねられたら隠しごとなど出来ません。だから抗男性ホルモン以外に女性ホルモンすら服用していることだって、皆に知られるのは時間の問題です。女性ホルモンに関しては、知られるきっかけとなったのは、クラスメートの中でも好奇心の強くて行動力のある一部女子が起こした、翔ちゃんを震え上がらせた事件です。

 翔ちゃんの女子制服や体操服から浮かび上がる女っぽいシルエットには女子生徒の多くが興味を持ちました。しかも抗男性ホルモン摂取の件は9月の女子制服着用の際に、女子を宥める意味で非公式にリークされていて、しかも、耳聡い女子から、それが可逆的ながらも化学的去勢に使うホルモンだという所まで、女子の共通認識になっています。となれば、どうせそのうち性転換手術を受けるに違く(と彼女達は思っている)、早かれ遅かれ翔ちゃんが女子更衣室を使うことは十分に予想されます。それならば、見られる前に、翔ちゃんの身体的な女子度を探りたいと思うのも自然な感情でしょう。ただただ、それを要求する手段が無いだけです。
 しかし、数多くいるクラスメートの中には、自分の下着姿を翔ちゃんに見られる引き換えに、翔ちゃんの下着姿、出来れば上半身裸を(『男なら問題ないよね』という感覚で)見ようとする者だって出て来ます。彼女達は虎視眈々ときっかけを狙っていました。1対1だと不安がありますが、女子3〜4人で一緒に翔ちゃんを着替えれば、十分に安全だし、人数の力で翔ちゃんの着替えに時間をかけさせてゆっくり吟味できるというものです。そこで、体育祭や文化祭など、女子更衣室が溢れるイベントで、翔ちゃん専用の身障者トイレで着替える形で翔ちゃんとの鉢合わせを狙いました。使用者のいないトイレ内が翔ちゃんの掃除で清潔なことは確認済みです。しかも、女子更衣室は体育館隣接でグランドから遠いから、教室から出るには身障者トイレのほうが便利で名目も立ちます。しかし、これは時間差で翔ちゃんにかわされました。となれば普通の体育での着替えしかありません。つまり
「時間が無いのでここで着替えさせて」
という名目で、翔ちゃんが着替えている最中に身障者トイレに入り込むことを狙いました。
 もっとも、そんな事をしなくても機会は向うからやってきました。故意か偶然か、翔ちゃんを含む数人が水遣りのホースの水を浴びてずぶぬれになったのです。しかも12月の初木枯らしの吹く日で、急いで体操服のジャージに着替えないと風邪を引きます。水を浴びた女子は翔ちゃん以外には、積極型の2人と八方美人系の真面目女子です。翔ちゃんが恋心を抱いている子ではありませんが、美人系には違いません。この日は、たまたま週に1度、身障者トイレの床面を思い切り水洗いする日だったので、身障者トイレで着替えるのは困難です。これらの事から、ホース事件は故意だったのではないかと、後日になって翔ちゃんは疑いましたが、証拠はありません。
 ともあれ、翔ちゃんは保健室でジャージに着替える事になりましたが、そこに3人の女子がついて来るではありませんか。彼女らの言い分では、他のクラスの体育の授業で女子更衣室がごった返しているのと、保健室の方が近いからという理由です。真面目系の女子は残り2人に言いくるめられたのでしょう。こうして、女子3人と一緒に着替える事になってしまいました。人数が4人なので養護の先生は外で待ってくれます。
 翔ちゃんは心は男だから、女子の下着姿を見るべきでないと思っています。だから、この期に及んでも女子の着替えを見ないように俯いて着替え始めました。しかし、翔ちゃんがスカートを履いたままジャージを履こうと手にすると、その前に既にわざとスカートを先に脱いでいた積極型の女子が、
「そんなことしたら、スカートにしわがよるわよ」
「濡れた服を脱ぐのが先でしょ」
と口々に翔ちゃんの着替え順を非難しました。この不意打ちには翔ちゃんも、思わず手を止めて彼女達を見ると、上着の裾からショーツをちらちら見えています。しかも彼女達は上着のボタンにすら手を掛けています。
 これが普通の男の子なら、股間が硬くなって女子に嫌がられるところですが、翔ちゃんは生体ボンドでタックしているうえに、抗男性ホルモンで生理的な性欲を抑えています。彼女達はスカート越しに翔ちゃんの股間を見ながら
「あ、男だから恥ずかしいんだ」
とか、わざとらしく
「キャ」
とか言いはやします。真面目系の女子のほうは
「あなたたち、からかうのはそのくらいにしなさいよ」
と他の女子2人をたしなめつつ、スカートを後回しにして、先に、より濡れた上着のボタンから外していた、翔ちゃんの目が向かった時には、ほとんど外していました。
 ここで翔ちゃんは考えました。スカートを先に脱いで、股間が女の子風のままである事を見せた方がよいか、それとも普通にジャージを先に履くのが良いか。いや、考えるまでもありません。そもそも服は上下とも濡れています。彼女達の言い分が正しいのです。そこで、まずは上着から先に脱ぎ、そこでジャージの上を着る代わりにスカートも脱ぎ、最後にコルセットも濡れていたので外し、そこでタオルで体を拭ってからジャージを履き始めます。
 その間にもコルセットの質問やら
「ねえ、好きな男の子って、もしかし○○君?」
というとんでもない質問が来ますので、その度に翔ちゃんは目を上げる事になって、とうとう女子3人全員の下着の色と柄を覚えてしいました。性欲が抑えられていても、翔ちゃんはやっぱり男の子なのです。
 そして、そうやって手間取っているうちに、女子の方は翔ちゃんの体、胸、股間をじっくり見て、腰のくびれがコルセットを外しても同級平均よりくっきりし、ブラジャー越しに見える胸の膨らみは本物で何も詰めていないこと、そして、自分たちの下着姿を見てすら股間に何の変化も無い事を見て取りました。抗男性ホルモンによる化学的去勢というのは間違いではありません。
 翔ちゃんの胸が本物で、翔ちゃんが女の子の下着姿に全く反応しない事は、あっという間に女子に、そして男子に広がりました。それは「翔ちゃんの本質はスケベな男だから、自分の下着を見せてはいけない」と最後まで思っていた女子の態度を完全に軟化させ、学年の全員から「完全な女ではないが、少なくとも男ではない」と認識されるようになりました。たとえば、ガールズトークで、ちょっとだけブラジャーを見せてブランド談義をしたりするような完全女子限定の話の際にも、誰も翔ちゃんの存在を気にしなくなりました。それどころか、他の男子がいないうちに、急いで教室で着替えるという早業の時ですら、翔ちゃんの存在はおかまい無しになりました。
 更に、翔ちゃんがいかにして女っぽくなったか、という疑問に対し、抗男性ホルモンという答えに満足しない女子生徒から女性ホルモンの使用について何度も尋ねられ、とうとう女性ホルモンの摂取すら知られるようになりました。それが効果を上げているかどうかは別の話ですが、女子にとっては、自分たちより女っぽい翔ちゃんの容姿に納得できる理由が見つかって満足しました。そして「女性ホルモン=男に戻れない」と単純に信じている大多数の女子生徒は、翔ちゃんに対する警戒を更に和らげました。かくて、冬休みまでには自然に女子の輪に入るようになり、更には、それをきっかけに翔ちゃん以外の女の子と仲の良い男子とすら少しずつ会話が始まりました。
 もっとも、見かけの平穏とは裏腹に翔ちゃんの心境は恐怖の塊です。というのも、女子の着替えを見る環境は翔ちゃんを更に男にもどりにくくしたからです。今までは「折角皆がお膳立てしてくれたのに」という道義的な意味で男に戻れない状態でした、でも、今や、女になることを止めたら、それまでの行為は女子更衣室に忍び込む痴漢行為と大差ないことになります。このままでは、転校しない限り、翔ちゃんは身体的にも確実に女の子にさせられてしまうでしょう。それは去勢と性転換手術を意味します。まだ、女性ホルモンの効果すら現れていないのに、そのような事態になってしまった事に気付いた翔ちゃんは、ますます自分の将来に恐怖を覚えたのでした。

 男を失う未来に悶々としているうちに1月も末となりました。それは女の子のイベントであるバレンタインまで半月しかないことを意味します。バレンタインセールが既に1月半ばから始まっており、2月はそれが狂騒曲のレベルにまで目立つようになります。
 翔ちゃんは男の心を持っていますから、本来は貰うことを期待する側ですが、今の翔ちゃんは、学校では「女の子になろうと努力している性同一性障害」という立場です。その立場で女子と普通に付き合う為には、女子の行動にあわせる必要があります。だから、ガールズトークで「誰にあげるの?」とか「きっと**君よね」とか言われ続けてた翔ちゃんに、チョコレートを誰にも上げないという選択はありません。
 実は、この頃になると、性同一性障害の正しい意味も少しずつ分かり始めています。にもかかわらず、他の女子の下着を見る機会すら増えてしまった翔ちゃんに、今さら「自分は女の子の心を持っていない」とは言えません。それが不本意であっても、男の心を持った翔ちゃんには破廉恥行為だという自覚があるからです。そして、男の心を持っているのに、自分が性同一性障害だと皆に言いふらし、それが認定されてしまった矛盾を自覚するからこそ、意識的に他の女子の要求する「女の子として当然の行為」をきちんと守らなければならないと余計に感じるのです。たとい、そういう「女の子行為」の結果、もっと深刻な事態になるだろうと容易く予想されてでもです。あたかも、蛇に睨まれたカエルのように、或いはギリシャ神話のカッサンドラやオデプス王のように、更なる女性化と男の喪失を止められないのです。それほどに学校での立場は修正が効きまっせん。
 誰かに偽の告白をしなければならないとしたら、誰が一番無難か。ここで大切なのは、まかり間違っても、告白相手の男子が翔ちゃんを好きになってはならないと言う事です。翔ちゃんは普通に女の子を好きな普通の男の子の性嗜好です。男と付き合うなんてまっぴらなのです。もちろん、クラスメートのどの男子もが女の子を好む事は、未だ翔ちゃんが男の子だった頃の会話から知っていますが、ガールズトーク、特にボーイズラブの空想物語を何度も聞かされている身としては不安が残るのです。そういう意味で一番良いのは、告白を冗談と受け止めてくれるような男子ですが、誰も思い当たりません。
 そこで思いついたのが、女子に人気のある男子です。競争率の高い男子なら、自分みたいな半男半女で妥協する筈がありません。そんな男子の中から、一番堅実と思われる奴にチョコレートを渡す事にしました。ちなみに、チョコレートは、ガールズトークの仲間からも奨められたままに、自作することになりました。ガールズトークの仲間には、ショタ系の女の子が翔ちゃんを観察する目当てに参加しているので、極端な意見が出るのは当然で、それを聞いた翔ちゃんが、女の子らしい女の子を演ずるために、その意見を聞いてしまうのも仕方ないのです。
 こうしてバレンタインになりました。チョコレートを作ったり、できたチョコレートに女の子らしいリボンを掛けたりするだけでも
「また女の子に近づいてしまった」
という喪失感があるますが、それ以上に、
「女の子として男の子にチョコレートを贈る」
という行為は、心が男の子の翔ちゃんにはきついものがあります。流されるように、どの女子にも負けないぐらいに女の子らしいチョコレートを、母親の積極的な協力のもとに準備したものの、いざ当日になると、チョコレートを渡すと言う行為がいかに「男の最後のかけら」を粉砕するかを自覚してしまいます。
 出来れば下駄箱で済ませたい所ですが、他の女子からは「手渡しなさい」とダメ押しされている以上、手渡しは避けられません。体調不全という名目での早退も今後の立場を考えたら出来ません。結局、最後まで渡す勇気がないまま、最終的には他の女子のお膳立てで、放課後に件のモテ男にチョコレートを渡す事になりました。その恥ずかしさは、普通の女子が男子にチョコレートを贈る恥ずかしさの比ではありません。顔は真っ赤にゆであがり、心臓すら400m全力疾走後の如く脈打ってしまいました。
 それはまさの社会的な意味での「男の完全喪失」の瞬間ともなりました。実際、チョコレートを贈るという行為は「私の心は女の子で、好きなのは男の子」と宣言するのも同然なのですから、恥ずかしいのも当然です。いかに当の翔ちゃんは普通に女の子が好きでも、この学校で男に戻る事は不可能です。

 こうして社会的に完全な女の子になってしまった翔ちゃんが、己の立場を思いつつ自分の身体を気にするようになったのは自然な流れです。女性ホルモン処方から既に3ヶ月を経て、何らかの影響が出始めているだろうという意識もあります。いかに1年後までは元に戻れるぐらいの少量投与とはいえ、他に今でも処方され続けている抗男性ホルモンの効果があります。それは性器以外から出される男性ホルモンすらブロックし、結果的に、一般男性にも元々分泌されている僅かの女性ホルモンだけの残すことで、既に女性化する準備が十分に整っていたのです。そこへ女性ホルモンが外から加わる訳ですから、普通の男性がいきなり女性ホルモンを摂取した場合と同じく、3ヶ月もすれば、少しずつ影響が出始めるのも当然でしょう。
 実際、2月下旬の産婦人科訪問の際に身体的な女性化が指摘されることとなりました。それは胸や骨盤ではなく、皮膚です。
「ああ、すこし女の子らしい肌になったね」
と産婦人科医に云われ、確かに皮膚に女の子のような弾力が出てきたことを自分でも確認しました。骨盤や胸の膨らみに比べて効果が早かったのは、それまでの抗男性ホルモンで失った筋肉から抜け出した脂肪の再配置だけだったからです。そして、その効果がもっとも大きいのは尻の部分です。
 その後も女性ホルモンの効果が着実に出始めました。2月下旬に産婦人科医に指摘された肌の弾力は、3月には翔ちゃんも普通に実感するようになり、更に3月下旬には、女性化の象徴ともいえる胸の変化すら、産婦人科医に指摘されるまでになりました。胸の膨らみこそ、肥満の名残と女性化乳房の影響と抗男性ホルモンの副作用で得た状態から余り変わりませんが、乳首は違います。それは些細な変化ながらも、指摘された翔ちゃんにも
「あ、確かに」
と納得出来るものです。
 この変化に翔ちゃんはちょっぴりだけ嬉しかったものの、それ以上に後悔しました。というのも、先ず第一に、元に戻れるホルモンの量ということで安心したけど、それは男性機能を完全に破壊しない程度であって、女の子風になってしまった乳首が戻るとは信じられなかったからであり、第2に、今まで自分を性同一性障害と思っていた理由である「女の子風の胸」が、もしかしたら勘違いだったのでは、と思ったからです。その両方の理由から、女性ホルモンが早まった決断だったかも知れないと頭の片隅で思うようになりました。
 とはいえ、それ以上に至近の問題があります。経緯はどうあれ、今は確かに本物の女の子の胸になってしまったという事実です。それがどんなに慎ましくても、他の男達の性欲をかき立てる存在で、決して男の前で曝すことの出来ないものです。特に少しだけ男性恐怖症気味になってしまっている翔ちゃんにとっては、普通の女の子以上に、他人の目に見られたくない、感づかれたくないと思うようになりました。こうなると、乳首がうっすら盛り上がるようなソフトタイプのブラジャーでは安心出来ません。本物の女の子であれば、そこまで気にしないでしょうが、翔ちゃんは本物でない分、そして男のスケベ心を持っている分、余計に気になるのです。こうして、翔ちゃんは硬めのブラジャーで隠さないと安心出来なくなってしまいました。それも今だけではありません。たといホルモンを全て止めたとしても、将来にわたって硬めのブラジャーを常時装着しなければならないのです。現実にどうなるかは分かりませんが、少なくとも翔ちゃんは
「もう、一生女装、ブラジャーを止めることができない」
と感じてしまいました。それはブラジャーの紐に合うアウターを着続けること、つまり将来に渡って女装しなければならないことをも意味します。
 身体への効果は女性ホルモンだけではありません。既に1年3〜4ヶ月処方させている抗男性ホルモンの効果と副作用も大きくなっています。抗男性ホルモンは、処方1〜3ヶ月で、大人の男性にすら勃起が減るという効果を及ぼすほどです。それに加えて股間をタックしてきた翔ちゃんに至っては、勃起はおろか、朝立ちとも無縁となって、そればかりか男性器の縮退すらみられます。小用を座ってしつづけているので本人は気付いていませんが、今、即座に男に戻っても、アサガオを使うのに相当の苦労が必要となるでしょう。逆にいえば、タックのしやすい股間となっていて、ガードルどころか、ペラペラのセクシーなショーツでも股間を隠すことが出来るほどになっています。そして、そんなショーツが物理的に無理無く履けるとなると、
「わたしは女の子にならなくちゃ」
という義務感や
「これでも股間を誤摩化せるかしら」
という好奇心から履いてみたくなるのが人情です。履いた結果、「あ、また男としての一線を越えてしまった」という喪失感とともに、新しい倒錯した恥ずかしさを感じるにしてもです。
 こうして、身体の女性化と、それに伴う、よりセクシー、より女性的な下着やアウターの着用というループを繰り返すようになってしまいました。それはブラジャーも同じで、だんだん隠す為のブラジャーから、より見栄えを良くする為のブラジャーと、それに相応しいアウターへと変わっていったのです。しかし、それでも翔ちゃんは女装趣味者ではありません。本心としては男装がしたいのです。ただただ、男装は出来ないと思っているのです。あたかも、男の心を持った女性のように。そして、どうせ男装出来ないなら、ガールズトークなどで皆が目を輝かせるように、出来るだけお洒落を楽しむべきだと洗脳されつつあったのです。お洒落は消費社会の生み出す集団洗脳で、そこに男の心も女の心もありません。

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